報恩坊の怪しい偽作家!

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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「リサの目覚め」

2024-08-02 16:25:51 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[期日不明 時刻不明(夜間) 天候:晴か曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・旧校舎2階女子トイレ]

 リサ(ここはどこだ……?)

 リサはいつの間にか、旧校舎2階の女子トイレにいた。
 視野が狭いのは、久しぶりに白い仮面を着けているからだと分かった。

 リサ「!?」

 奥から2番目の個室のドアが、ゆっくりギィィィっと音を立てて開いた。
 そこから現れたのは、東京中央学園の旧制服たるセーラー服を着た仮面の少女。
 リサを見て手招きする。

 リサ「“トイレの花子さん”?昭和の“トイレの花子さん”」
 トイレの花子さん「そして、あなたは“令和のトイレの花子さん”」
 リサ「いや、わたしは……」

 トイレの花子さんは、女子トイレの外へとリサを連れ出した。
 そして、階段へと連れて行く。

 リサ「ん!?」

 ここは2階のはずだが、何故か3階に行く階段があった。
 花子さんは、一気に踊り場までジャンプした。
 ジャンプしたというよりは、スーッと昇った感じ。
 どうやら、本当に幽霊のようだ。
 リサはリサで、踊り場まで一気にジャンプした。

 リサ「3階があるの?」

 3階は2階よりも荒れ果てており、割れた窓ガラスが床に散乱していたり、古い釘などが落ちていたりした。
 それでも女子トイレの明かりは煌々と輝いていて、花子さんはその中に入っていった。

 リサ「この中に何が?」

 入った瞬間、リサは血の匂いに包まれた。
 しかし、床に誰かの死体が転がっているというわけではない。
 匂いの元は……。

 リサ「!?」

 花子さんは黙って、天井を指さした。
 そこには天井に貼りつけられた男女数名が五寸釘で磔にされており、そこから血がボタボタと垂れていたのだ。

 リサ「こ、これは……!?」

 人間なら絶叫モノだろう。
 リサはそうではなく、むしろ何があったのかが気になってしょうがなかった。

 リサ「何があったの!?」

 リサは目を丸くして、花子さんに問うた。
 しかし、花子さんは手を伸ばしてリサの仮面を取り去るだけだった。
 と、同時に、リサもまた引力が逆転したかのように天井に叩き付けられる。

 リサ「いてっ!?」

 そして、仮面の少女がリサに言う。

 花子さん「お前……、この六人の……地獄への……案内人……となれ……。やっと……私は救われ……る……」
 リサ「何言って……!」

 そして、仮面の少女はその仮面を取った。
 その下にあったのは……。

 リサ「エレン……!?」

 斉藤絵恋の顔であった。

[4月24日15時00分 天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校・現校舎1階保健室]

 リサ「……はっ!」

 リサはそこで目が覚めた。
 目が覚めた時、リサはベッドの上ではなく、その下にいた。
 頭を下にしていたから、どうやらベッドから落ちてしまったらしい。
 夢の中にあった天井に叩き付けられるシーンというのは、これだったのか。

 リサ「えっと……」

 リサは体勢を整えて、何とか起き上がった。
 制服がシワにならないようにする為か、上着は脱がされ、スカートも脱がされて、下に穿いている緑のブルマだけになっている。

 

 リサ「一体何が……」

 リサは何とか思い出そうとしていた。
 確か……。

 リサ「感電したんだっけか……」

 電撃を使える鬼型BOWが、逆に感電させられたという話である。

 リサ「くそ……」

 その時、保健室のドアが開いた。
 そこに入ってきたのは、養護教諭。

 養護教諭「あっ、起きた?」
 リサ「あっ、先生……」
 養護教諭「体の具合はどう?」
 リサ「いやー……何か頭がボーッとして……」
 養護教諭「それ以外は?」
 リサ「いや、特に無いですね……」
 養護教諭「特に無いなんて凄いわね。感電したって聞いたから、普通命に関わるわよ」
 リサ「ん、でしょうね」

 だからリサも、愛原が『浮気』しようとした場合は電撃を食らわせる場合があるが、感電死しないように力を調節している。

 リサ「それより、愛原先生は?」
 養護教諭「担任の坂上先生から、連絡してもらいます。着替えて、職員室に行って」
 リサ「はい!」

 リサはハンガーに掛けられたブレザーとスカートを取った。

 リサ「これは……!」

 電撃を食らった割には、全く焦げなどが付いていなかった。
 普通、感電したら服も焦げ付いたりするものだが……。

 リサ「先生、これはわたしが着てた制服?」
 養護教諭「そうよ。どうかしたの?」
 リサ「いや……。感電した割には、無事だなぁと思って」
 養護教諭「そういえばそうね……」

 そういえば、制服の下に着ているブラウスもブルマも下着も全く無事だった。
 本当に自分は感電したのだろうかと、リサは首を傾げた。
 火傷の痕が無いのは、自分がBOW(歩く生物兵器)だから仕方が無い。
 一時火傷の症状が出ても、体内に有しているGウィルスや、偽性とはいえ特異菌がすぐに治癒してくれるからだ。

 リサ(あいつは一体……)

 リサは制服を着ると、職員室に向かった。

[同日15時15分 天候:晴 同高校1階・職員室]

 坂上修一「保健の先生から聞いたぞ。本当にケガが無いんだってな?」
 リサ「まあ……BOWですから」

 担任の坂上と副担任の倉田は、リサの正体を知っている。
 彼らはこの学校の卒業生で、現役生時代、科学講師として潜り込んでいた白井伝三郎からの恐怖の実験に晒された経験を持つ。
 なので、白井伝三郎を通してアンブレラの裏の顔は知っていた。

 坂上「保護者の愛原さんには連絡した。至急こちらに向かうそうだから、ここで待ってるといい」
 リサ「職員室は落ち着きませんねぇ……」
 坂上「まあ、そう言うな。ああ、あとそれと、これ、お前のだろ?」

 坂上はスマホを取り出した。

 リサ「これは?……ああ、わたしのだ。あれ?」
 坂上「校庭に落ちてたそうだぞ」
 リサ「そう、ですか……」

 恐らく、2階から飛び降りた時に落としたか、仮面の少女から電撃を食らった時に落としたのだろう。
 電源は切れていたが、それを入れると、ちゃんと起動した。
 リサが滅多に電撃を使わないのは、自分も放電する為に、手持ちの電子機器が全て感電して壊れるからである。
 なので、できれば口からの火炎放射の方が使い勝手が良いくらい。

 リサ「わたし……弱いかな?」
 坂上「何が?」
 リサ「いえ、何でも……」
 坂上「ケンカのことなら、お前は強いだろう?化け物は素手で倒すし……」
 リサ「まあ、モールデッドみたいなザコくらいは……」
 坂上「普通の人間は、ザコモンスターすら、素手で倒せませんw」

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