[5月8日06:30.天候:晴 栃木県那須塩原市 ホテル天長園1Fロビー→大浴場]
〔ピーン♪ 1階です〕
私と高橋は朝風呂に入るべく、エレベーターで1階に降りた。
〔ドアが、閉まります〕
エレベーターを降りると、仲居の着物を着た上野凛がいた。
愛原:「おっ、凛ちゃん」
凛:「おはようございます!」
愛原:「おはよう」
高橋:「おース」
凛:「? リサ先輩はどうされました?」
愛原:「いや、実はさ……」
私は昨夜あった話をした。
凛という半BOWだからできることで、相手が普通の人間なら正直には話さない。
凛:「あっ、それ、聞いたことあります」
愛原:「えっ!?」
凛:「天長会に出てくる『鬼』は一切の飲食ができないんですよ。人間の血肉しか食らうことができません。でも、裏技があって、泥酔した人間の血を吸うと、自分も酔っ払えるんだそうです。そういうことですね」
愛原:「先に言ってよ~」
高橋:「言えや、コラ!」
凛:「そ、そんなこと言われましても……」
そりゃそうだ。
それじゃ、酔っ払った人間の血を吸った蚊やダニも酔っ払うのかと思うが……。
愛原:「ゴメン。とにかく、まだ寝てるから起こさないでおこうと思うんだ。こりゃ、二日酔いになるかもしれんな」
凛:「売店でソルマックとか売ってますから、もしよろしければ……」
愛原:「ああ、そうだな。考えておこう」
私はそう言うと、大浴場に向かった。
高橋:「センセ、未成年で飲酒なんて、俺より不良ですね」
愛原:「? オマエは未成年飲酒をしなかったのか?」
高橋:「とんでもない!酒はちゃんと、20歳になってからですよ」
愛原:「おー、偉いな」
高橋:「酔っ払い運転なんてダサいじゃないですか」
愛原:「そっちか!……まあいいや。因みにタバコは?」
高橋:「タバコは……【お察しください】」
愛原:「コラぁっ!」
とにかく、大浴場に入る。
朝風呂の方が賑わっていた。
愛原:「天長会信者の皆さんだな、きっと」
高橋:「そうっスね」
どこかで誰かが、御詠歌らしき歌を上機嫌で歌っているのも聞こえてくる。
どうも昨夜、夜通し何かの儀式が行われたようだ。
それが無事に終わったので、ホッとしているように見えた。
何の儀式が行われたのか気になるところだが、それだけ聞いても非信者の私が理解できるとは思えなかったので、聞くのはやめておいた。
愛原:「よし。今日は直に露天風呂に行こう」
高橋:「ういっス」
体を軽く流した後、私達は露天風呂に行った。
昨日のゲリラ豪雨が嘘みたいに晴れていて、水面に朝日が反射して眩しいくらいだ。
愛原:「昨夜より少し熱いかな?」
高橋:「水で埋めますか?」
愛原:「天然温泉で、どうやって埋めるんだよ?」
近くには天長会信者と思しき60代くらいの男性2人がいる。
信者A:「いやあ、それにしても昨夜の巫女さん、凄かったなぁ……」
信者B:「日本人かね?あんなプリケツのボインボイン、久しぶりに見たよ」
信者A:「俺もっと若かったら、ムスコがビンビンで儀式どころじゃなかったなぁ?w」
信者B:「シッ!バチ当たんべw」
そうして2人で笑う。
高橋:「先生、すっげぇ美人ですって」
愛原:「ということは、凛ちゃんじゃないか」
恐らく、海外のポルノ女優とかにいそうな感じなのだろう。
ホテルでは見ていないので、ずっと聖堂とかにいたのだろうか。
尚、海外ポルノ女優にもロリ系はいるので、全てのポルノ女優がグラマラスなボディをしているわけではない。
信者2人の話を聞いていると、顔は分からないようである。
まあ、天長会の巫女は白い仮面を着けて顔を隠すようなので、そのせいだろう。
信者A:「あれ?あなた達はひょっとして……」
その時、1人の信者が私達を見て何かに気づいたようだ。
信者A:「白井さんから指名手配食らってた人?大変でしたねぇ……」
愛原:「は!?指名手配!?」
高橋:「どういう意味だ、コラァッ!!」
愛原:「高橋、落ち着け。指名手配って、どういうことなんですか?」
信者B:「逆指名手配って言った方がいいんでね?」
信者A:「うーん……それとも違うような……」
愛原:「白井って、白井伝三郎のことですか?」
信者A:「あ、やっぱり知ってるんだ」
愛原:「知ってるも何も……。その白井がどうして指名手配を?」
信者A:「あなた達から逃げる為でしょ。あなた達、このホテルに何回か来てるでしょ?その度に白井さん、慌てて逃げて行ったから、それであなた達が来たらすぐに教えるようにって、私達に指名手配写真を配ってたんですよ」
愛原:「な、何ですって!?」
それで私達がホテルに来ても、何の情報も得られなかったのか!
まさか、教団ぐるみで隠していたとは……。
信者A:「私が『この人達、何かしたんですか?』って聞いたら、司祭様が笑って、『白井さん、この人達から借金して逃げ回ってる』なんて言うもんだから、私達も笑っちゃってねぇ……。それなら協力してあげようと思ったわけですよ」
ンなこたぁない。
嘘八百である。
あえてそういう笑い話にすることで逆に信者達を信用させ、協力させるという姑息な手口である。
善人を善人のまま悪に加担させるという、あくどい手口だ。
信者B:「当の白井さん、東京で車の事故で死んじゃったんですって?だからもう、借金はチャラですよね?」
愛原:「いや、その……まあ……」
信者A:「どうしても借金を払えというのなら、白井さんには御兄弟がいるから、そっちに請求してください。くれぐれも、教団に請求はなさらないように」
実際に借金はしていないのだが、何とも都合のいい。
ここでは、死んだ白井がどうなったのかは、新しい情報は得られないようだ。
愛原:「上がるか。一度部屋に戻って、リサの様子を見てこよう」
高橋:「うっス」
大浴場から出る時、詩吟にも似た御詠歌が再び大浴場内から聞こえたのだった。
〔ピーン♪ 1階です〕
私と高橋は朝風呂に入るべく、エレベーターで1階に降りた。
〔ドアが、閉まります〕
エレベーターを降りると、仲居の着物を着た上野凛がいた。
愛原:「おっ、凛ちゃん」
凛:「おはようございます!」
愛原:「おはよう」
高橋:「おース」
凛:「? リサ先輩はどうされました?」
愛原:「いや、実はさ……」
私は昨夜あった話をした。
凛という半BOWだからできることで、相手が普通の人間なら正直には話さない。
凛:「あっ、それ、聞いたことあります」
愛原:「えっ!?」
凛:「天長会に出てくる『鬼』は一切の飲食ができないんですよ。人間の血肉しか食らうことができません。でも、裏技があって、泥酔した人間の血を吸うと、自分も酔っ払えるんだそうです。そういうことですね」
愛原:「先に言ってよ~」
高橋:「言えや、コラ!」
凛:「そ、そんなこと言われましても……」
そりゃそうだ。
それじゃ、酔っ払った人間の血を吸った蚊やダニも酔っ払うのかと思うが……。
愛原:「ゴメン。とにかく、まだ寝てるから起こさないでおこうと思うんだ。こりゃ、二日酔いになるかもしれんな」
凛:「売店でソルマックとか売ってますから、もしよろしければ……」
愛原:「ああ、そうだな。考えておこう」
私はそう言うと、大浴場に向かった。
高橋:「センセ、未成年で飲酒なんて、俺より不良ですね」
愛原:「? オマエは未成年飲酒をしなかったのか?」
高橋:「とんでもない!酒はちゃんと、20歳になってからですよ」
愛原:「おー、偉いな」
高橋:「酔っ払い運転なんてダサいじゃないですか」
愛原:「そっちか!……まあいいや。因みにタバコは?」
高橋:「タバコは……【お察しください】」
愛原:「コラぁっ!」
とにかく、大浴場に入る。
朝風呂の方が賑わっていた。
愛原:「天長会信者の皆さんだな、きっと」
高橋:「そうっスね」
どこかで誰かが、御詠歌らしき歌を上機嫌で歌っているのも聞こえてくる。
どうも昨夜、夜通し何かの儀式が行われたようだ。
それが無事に終わったので、ホッとしているように見えた。
何の儀式が行われたのか気になるところだが、それだけ聞いても非信者の私が理解できるとは思えなかったので、聞くのはやめておいた。
愛原:「よし。今日は直に露天風呂に行こう」
高橋:「ういっス」
体を軽く流した後、私達は露天風呂に行った。
昨日のゲリラ豪雨が嘘みたいに晴れていて、水面に朝日が反射して眩しいくらいだ。
愛原:「昨夜より少し熱いかな?」
高橋:「水で埋めますか?」
愛原:「天然温泉で、どうやって埋めるんだよ?」
近くには天長会信者と思しき60代くらいの男性2人がいる。
信者A:「いやあ、それにしても昨夜の巫女さん、凄かったなぁ……」
信者B:「日本人かね?あんなプリケツのボインボイン、久しぶりに見たよ」
信者A:「俺もっと若かったら、ムスコがビンビンで儀式どころじゃなかったなぁ?w」
信者B:「シッ!バチ当たんべw」
そうして2人で笑う。
高橋:「先生、すっげぇ美人ですって」
愛原:「ということは、凛ちゃんじゃないか」
恐らく、海外のポルノ女優とかにいそうな感じなのだろう。
ホテルでは見ていないので、ずっと聖堂とかにいたのだろうか。
尚、海外ポルノ女優にもロリ系はいるので、全てのポルノ女優がグラマラスなボディをしているわけではない。
信者2人の話を聞いていると、顔は分からないようである。
まあ、天長会の巫女は白い仮面を着けて顔を隠すようなので、そのせいだろう。
信者A:「あれ?あなた達はひょっとして……」
その時、1人の信者が私達を見て何かに気づいたようだ。
信者A:「白井さんから指名手配食らってた人?大変でしたねぇ……」
愛原:「は!?指名手配!?」
高橋:「どういう意味だ、コラァッ!!」
愛原:「高橋、落ち着け。指名手配って、どういうことなんですか?」
信者B:「逆指名手配って言った方がいいんでね?」
信者A:「うーん……それとも違うような……」
愛原:「白井って、白井伝三郎のことですか?」
信者A:「あ、やっぱり知ってるんだ」
愛原:「知ってるも何も……。その白井がどうして指名手配を?」
信者A:「あなた達から逃げる為でしょ。あなた達、このホテルに何回か来てるでしょ?その度に白井さん、慌てて逃げて行ったから、それであなた達が来たらすぐに教えるようにって、私達に指名手配写真を配ってたんですよ」
愛原:「な、何ですって!?」
それで私達がホテルに来ても、何の情報も得られなかったのか!
まさか、教団ぐるみで隠していたとは……。
信者A:「私が『この人達、何かしたんですか?』って聞いたら、司祭様が笑って、『白井さん、この人達から借金して逃げ回ってる』なんて言うもんだから、私達も笑っちゃってねぇ……。それなら協力してあげようと思ったわけですよ」
ンなこたぁない。
嘘八百である。
あえてそういう笑い話にすることで逆に信者達を信用させ、協力させるという姑息な手口である。
善人を善人のまま悪に加担させるという、あくどい手口だ。
信者B:「当の白井さん、東京で車の事故で死んじゃったんですって?だからもう、借金はチャラですよね?」
愛原:「いや、その……まあ……」
信者A:「どうしても借金を払えというのなら、白井さんには御兄弟がいるから、そっちに請求してください。くれぐれも、教団に請求はなさらないように」
実際に借金はしていないのだが、何とも都合のいい。
ここでは、死んだ白井がどうなったのかは、新しい情報は得られないようだ。
愛原:「上がるか。一度部屋に戻って、リサの様子を見てこよう」
高橋:「うっス」
大浴場から出る時、詩吟にも似た御詠歌が再び大浴場内から聞こえたのだった。
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