[11月26日09:20.天候:晴 千葉県成田市 成田空港第2ターミナル]
稲生達を乗せたバスが目的地に到着する。
稲生:「平日だから少し渋滞してましたねー」
これでも余裕を持って出発した稲生。
因みに今は乗り物でのセキュリティチェックが無くなった為、その分のロスは無くなった。
バスを降りて、荷物室に預けていた荷物を取り出す。
率先して荷物降ろしをしていたのはアナスタシア組の男性魔道士達であったが、もちろんアナスタシア組が1番人数が多く、その分荷物も多い為。
稲生:「お世話さまでした」
運転手:「ありがとうございました」
エレーナ、ルーシーの荷物を出してやる。
エレーナ:「ほら、ルーシー」
ルーシー:「Thank you.」
ルーシーが自分の荷物を手に取るが、エレーナはすぐに渡さず、耳元で囁く。
エレーナ:「オメ、絶対ェ言うんじゃねぇぞ?」
ルーシー:「分かってるって」
バスを降りて荷物を受け取る面々。
稲生:「忘れ物は無いですかー?それでは参りますよー」
稲生が先頭になって歩き、ターミナルの中に入る。
稲生:「先生。今度のモスクワ行きは10時50分発だそうですが、チェックインは1時間前までですか?」
イリーナ:「でしょうね。ていうか、『1時間前までに終わらせろ』だからね?」
稲生:「ということは……あと30分も無いですね」
イリーナ:「お茶会やる前に、ダンテ先生とはお別れか……」
稲生:「す、すいません」
イリーナ:「いや、いいんだけどね」
マリア:「今度のモスクワ行きは、ファーストクラスが無いみたいですよ」
稲生:「ということは、ビジネスクラスが最上級ですか。その下はプレミアムエコノミー?」
マリア:「いや、普通のエコノミーだ」
イリーナ:「すると、ダンテ先生とナスっちがビジネスで、ナスっちの弟子のコ達がエコノミーか」
稲生:「先生と言えども、ファーストクラスにホイホイ乗れないわけですね」
イリーナ:「まあね。因みに帰りの新幹線も、ビジネスクラスにしてくれたでしょうね?」
稲生:「もちろんです」
北陸新幹線にもグランクラスはあるのだが、イリーナ達はそれに乗ることを遠慮し(仮にダンテが乗るのであれば、随伴者として同席しただろうが)、そうでない場合は基本的にはセカンドクラス(2等車、ビジネスクラス、グリーン車)に乗ることを選んでいる。
もちろん弟子たる稲生達はエコノミークラスだ。
新幹線で言えば普通車。
そんなことを話しているうちに、保安検査場の入口に到着する。
見送りはここまでとなる。
ダンテ:「それでは皆の衆、今回もまた大変世話になった。短い間だったがここでのビジネスもできたし、成果は上々といったところだろう。聞いた話、教会の長は午前中まで都内に滞在するという。彼が離日しても、しばらくの間、教会の者達の熱気は冷めやらぬものと思われ、本日中にあっては油断の無いようにしてもらいたい。今から国外に発つ者、国内に残る者全てにおいてそれは対象内である」
そこまで言うとダンテは山高帽を被り、イリーナ組の所へ歩み寄った。
ダンテ:「日本でのアテンド、ありがとう。また渡日の予定があれば、頼みたいと思ってるよ」
イリーナ:「お褒めに預かりまして、大変光栄です」
稲生とマリアもダンテと固く握手をした。
ダンテ:「これからも魔法道の高みを目指しなさい」
マリア:「はい」
稲生:「分かりました」
マリアは緊張した様子で頷いただけだったが、稲生はもう少し落ち着いていた。
稲生:「僕は仏法と並行したままでよろしいのでしょうか?」
ダンテ:「特に大きな問題はない」
稲生:「かしこまりました」
アナスタシア:「ダンテ先生、そろそろチェックインの時間ですので……」
ダンテ:「分かった」
ダンテは今度はアナスタシア組のアテンドで、保安検札場に入って行った。
そうでない者達はダンテが見えなくなるまで見送った。
この後は他の国へ出発する者達は他のゲートに向かったり、或いはターミナルごと移動という者達もいた。
稲生:「先生、僕達はまだ少し時間がありますが……」
イリーナ:「そりゃそうよ。ダンテ先生の飛行機を見送るんだから」
稲生:「えぇっ!?」
マリア:「そういうことですか」
エレーナ:「えっ、マジっすか?今日は外チョイ寒いっスよ?コーヒーでも飲んで……」
だがエレーナの頭を後ろからポコッと叩く者がいた。
エレーナ:「いてっ!?」
ポーリン:「エレーナや。ダンテ先生は唯一絶対の存在じゃ」
エレーナ:「せ、先生っ!?さ、サーセン!」
ベイカー:「稲生君、展望デッキはどこかしら?」
稲生:「あ、はい。ご案内します」
今、稲生達は3階にいる。
展望デッキは4階だ。
エスカレーターで上がる。
稲生:「実はレストランなどもこのフロアです」
エレーナ:「何だ、スタバやマックもあるんじゃん。ここでコーヒー、買ってこ。先生、これくらい、いいっスよね?だってまだ飛行機の離陸時間じゃないッスよ?」
ポーリン:「……好きにせい」
イリーナ:「因みにお昼はどうするの?」
稲生:「新幹線旅を満喫して頂く為、東京駅で駅弁です」
イリーナ:「あら、それはいいわね」
エレーナが1人だけスタバでコーヒーを買ってきた。
エレーナ:「お待たせしましたー」
稲生:「それでは行きましょう」
展望デッキに出ると強い風が吹いてきた。
マリア:「!」
マリア、慌ててスカートを押さえたが黒いストッキング越しに一瞬パンチラしてしまう。
マリア:「……見た?」
稲生:「……いえ、大丈夫です。見てないです」
エレーナ:「その代わり、ルーシーのは見てたぜ」
エレーナ、コーヒーを飲みながらブチ壊しにする。
マリア:「!!!!!」
稲生:「わあーっ!ごめんなさーい!」
エレーナ:「もう体の関係なのに、随分と気にしやがるなぁ……?」
ルーシー:「いや、そういうことじゃないから」
ルーシーもスカートの裾を押さえながらエレーナの肩を掴んだ。
ルーシー:「あんたも少しは気にしなさいね?」
エレーナ:「ふえ?私ゃオーバーはいてるし」
ルーシー:「だから、そういう問題じゃないって。……男の体を使ってたのは、ほんの短期間なんでしょう?」
エレーナ:「いい女の体が見つかるまでの繋ぎだったんだけどな」
ルーシー:「僅かな期間でも、感覚が男みたいになる後遺症は結構残ってるってことよ」
エレーナ:「そうか。しょうがねーな。本当はあの世に行っても良かったんだけど、さすがにモンスター(妖怪。威吹)に殺されたままじゃ浮かばれないってんで、先生が生き返らせてくれたんだ」
魔道士は不老不死とされるが、手段によっては死ぬこともある。
ルーシー:「だったら命は大事にしないと」
エレーナ:「それよりルーシー。オマエもパンツはボクサーからビキニに変えたんだな。稲生氏の希望を受けて?」
ルーシー:「貨物機でウクライナに強制送還させてあげようか?」
エレーナ:「そいつぁ困るぜ」
エレーナは肩を竦めた。
そして残ったコーヒーを飲み干すと、ダイレクトにゴミ箱に放り投げた。
稲生達を乗せたバスが目的地に到着する。
稲生:「平日だから少し渋滞してましたねー」
これでも余裕を持って出発した稲生。
因みに今は乗り物でのセキュリティチェックが無くなった為、その分のロスは無くなった。
バスを降りて、荷物室に預けていた荷物を取り出す。
率先して荷物降ろしをしていたのはアナスタシア組の男性魔道士達であったが、もちろんアナスタシア組が1番人数が多く、その分荷物も多い為。
稲生:「お世話さまでした」
運転手:「ありがとうございました」
エレーナ、ルーシーの荷物を出してやる。
エレーナ:「ほら、ルーシー」
ルーシー:「Thank you.」
ルーシーが自分の荷物を手に取るが、エレーナはすぐに渡さず、耳元で囁く。
エレーナ:「オメ、絶対ェ言うんじゃねぇぞ?」
ルーシー:「分かってるって」
バスを降りて荷物を受け取る面々。
稲生:「忘れ物は無いですかー?それでは参りますよー」
稲生が先頭になって歩き、ターミナルの中に入る。
稲生:「先生。今度のモスクワ行きは10時50分発だそうですが、チェックインは1時間前までですか?」
イリーナ:「でしょうね。ていうか、『1時間前までに終わらせろ』だからね?」
稲生:「ということは……あと30分も無いですね」
イリーナ:「お茶会やる前に、ダンテ先生とはお別れか……」
稲生:「す、すいません」
イリーナ:「いや、いいんだけどね」
マリア:「今度のモスクワ行きは、ファーストクラスが無いみたいですよ」
稲生:「ということは、ビジネスクラスが最上級ですか。その下はプレミアムエコノミー?」
マリア:「いや、普通のエコノミーだ」
イリーナ:「すると、ダンテ先生とナスっちがビジネスで、ナスっちの弟子のコ達がエコノミーか」
稲生:「先生と言えども、ファーストクラスにホイホイ乗れないわけですね」
イリーナ:「まあね。因みに帰りの新幹線も、ビジネスクラスにしてくれたでしょうね?」
稲生:「もちろんです」
北陸新幹線にもグランクラスはあるのだが、イリーナ達はそれに乗ることを遠慮し(仮にダンテが乗るのであれば、随伴者として同席しただろうが)、そうでない場合は基本的にはセカンドクラス(2等車、ビジネスクラス、グリーン車)に乗ることを選んでいる。
もちろん弟子たる稲生達はエコノミークラスだ。
新幹線で言えば普通車。
そんなことを話しているうちに、保安検査場の入口に到着する。
見送りはここまでとなる。
ダンテ:「それでは皆の衆、今回もまた大変世話になった。短い間だったがここでのビジネスもできたし、成果は上々といったところだろう。聞いた話、教会の長は午前中まで都内に滞在するという。彼が離日しても、しばらくの間、教会の者達の熱気は冷めやらぬものと思われ、本日中にあっては油断の無いようにしてもらいたい。今から国外に発つ者、国内に残る者全てにおいてそれは対象内である」
そこまで言うとダンテは山高帽を被り、イリーナ組の所へ歩み寄った。
ダンテ:「日本でのアテンド、ありがとう。また渡日の予定があれば、頼みたいと思ってるよ」
イリーナ:「お褒めに預かりまして、大変光栄です」
稲生とマリアもダンテと固く握手をした。
ダンテ:「これからも魔法道の高みを目指しなさい」
マリア:「はい」
稲生:「分かりました」
マリアは緊張した様子で頷いただけだったが、稲生はもう少し落ち着いていた。
稲生:「僕は仏法と並行したままでよろしいのでしょうか?」
ダンテ:「特に大きな問題はない」
稲生:「かしこまりました」
アナスタシア:「ダンテ先生、そろそろチェックインの時間ですので……」
ダンテ:「分かった」
ダンテは今度はアナスタシア組のアテンドで、保安検札場に入って行った。
そうでない者達はダンテが見えなくなるまで見送った。
この後は他の国へ出発する者達は他のゲートに向かったり、或いはターミナルごと移動という者達もいた。
稲生:「先生、僕達はまだ少し時間がありますが……」
イリーナ:「そりゃそうよ。ダンテ先生の飛行機を見送るんだから」
稲生:「えぇっ!?」
マリア:「そういうことですか」
エレーナ:「えっ、マジっすか?今日は外チョイ寒いっスよ?コーヒーでも飲んで……」
だがエレーナの頭を後ろからポコッと叩く者がいた。
エレーナ:「いてっ!?」
ポーリン:「エレーナや。ダンテ先生は唯一絶対の存在じゃ」
エレーナ:「せ、先生っ!?さ、サーセン!」
ベイカー:「稲生君、展望デッキはどこかしら?」
稲生:「あ、はい。ご案内します」
今、稲生達は3階にいる。
展望デッキは4階だ。
エスカレーターで上がる。
稲生:「実はレストランなどもこのフロアです」
エレーナ:「何だ、スタバやマックもあるんじゃん。ここでコーヒー、買ってこ。先生、これくらい、いいっスよね?だってまだ飛行機の離陸時間じゃないッスよ?」
ポーリン:「……好きにせい」
イリーナ:「因みにお昼はどうするの?」
稲生:「新幹線旅を満喫して頂く為、東京駅で駅弁です」
イリーナ:「あら、それはいいわね」
エレーナが1人だけスタバでコーヒーを買ってきた。
エレーナ:「お待たせしましたー」
稲生:「それでは行きましょう」
展望デッキに出ると強い風が吹いてきた。
マリア:「!」
マリア、慌ててスカートを押さえたが黒いストッキング越しに一瞬パンチラしてしまう。
マリア:「……見た?」
稲生:「……いえ、大丈夫です。見てないです」
エレーナ:「その代わり、ルーシーのは見てたぜ」
エレーナ、コーヒーを飲みながらブチ壊しにする。
マリア:「!!!!!」
稲生:「わあーっ!ごめんなさーい!」
エレーナ:「もう体の関係なのに、随分と気にしやがるなぁ……?」
ルーシー:「いや、そういうことじゃないから」
ルーシーもスカートの裾を押さえながらエレーナの肩を掴んだ。
ルーシー:「あんたも少しは気にしなさいね?」
エレーナ:「ふえ?私ゃオーバーはいてるし」
ルーシー:「だから、そういう問題じゃないって。……男の体を使ってたのは、ほんの短期間なんでしょう?」
エレーナ:「いい女の体が見つかるまでの繋ぎだったんだけどな」
ルーシー:「僅かな期間でも、感覚が男みたいになる後遺症は結構残ってるってことよ」
エレーナ:「そうか。しょうがねーな。本当はあの世に行っても良かったんだけど、さすがにモンスター(妖怪。威吹)に殺されたままじゃ浮かばれないってんで、先生が生き返らせてくれたんだ」
魔道士は不老不死とされるが、手段によっては死ぬこともある。
ルーシー:「だったら命は大事にしないと」
エレーナ:「それよりルーシー。オマエもパンツはボクサーからビキニに変えたんだな。稲生氏の希望を受けて?」
ルーシー:「貨物機でウクライナに強制送還させてあげようか?」
エレーナ:「そいつぁ困るぜ」
エレーナは肩を竦めた。
そして残ったコーヒーを飲み干すと、ダイレクトにゴミ箱に放り投げた。
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