報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「『1番』からの果たし状」

2021-03-07 20:02:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月5日10:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は善場主任の方から私の事務所を訪ねてくれた。

 善場:「先日は東京中央学園への捜査協力、ありがとうございました」
 愛原:「いえいえ。お役に立てて何よりです」
 善場:「便槽から発見された少女の遺体については、新型BOWエブリンで間違い無かったようです。解剖中に石灰化したので、間違いないと思います」

 特異菌の特徴として、宿主が生命活動を停止すると石灰化するというものがある。
 これ以外にもエブリン自身が寄生先の特異菌を石灰化させることもできるという。
 だが、自分が石灰化するとは皮肉以外の何物でもない。

 善場:「それと、旧校舎の屋根裏から見つかった鞄についても、『1番』の物というのが分かりました。
 愛原:「やっぱり。何か手帳が入っていたと思いますが……」
 善場:「その中にエブリンを殺したのは自分であることと、それと『2番』に対する怨嗟の言葉に挑戦的な文章が書かれていました」
 愛原:「ほう?ついに『1番』が出て来るということですか?」
 善場:「そうかもしれません。どこかで『1番』がエブリンと戦った機会があったのでしょう。『2番』のリサの見立てだと、『1番』は臆病で逃げ回っているということでしたから、エブリンの方から襲ったのかもしれません。しかし、『1番』はそれを倒してしまった。それが自信に繋がり、これなら『2番』も倒せると思ったのかもしれません」
 愛原:「リサの見立てでは、『1番』は強いみたいです。最悪、自分より強いかもと言ってました。強いくせに臆病なのだと」
 善場:「実はエブリンは、確かに新型ではありますが、コンセプト的には日本版リサ・トレヴァーの方が進んでいるんです。正直、特異菌を使わなくても、強いBOWは作れるんですよ。それが日本版リサ・トレヴァーです」
 愛原:「ふむふむ」
 善場:「『1番』がどこにいるのかは分かりませんが、私は近いうち『2番』を襲ってくると思います。もしかしたら、『0番』の私も対象かもしれません」
 愛原:「どうしますか?どこかで迎え撃ちますか?」
 善場:「私は霧生市がいいと思います」
 愛原:「霧生市!?」
 善場:「霧生市が全ての始まりですし、あの廃墟の町でなら、どんなに暴れても迷惑は掛かりません。それに、最後の危険BOWが倒せたとあらば、政府はようやく霧生市に『安全宣言』を出すことができるでしょう」
 愛原:「なるほど。それは名案ですね」

 私は早速リサにLINEを送った。
 明日は学校が休みで、特に予定も無いという。
 中学校の卒業式は3月15日である為、授業もそんなに忙しくないのだろう。
 もっとも、今は高等部にだけ影響が出ているが、中等部にもそれが波及しないとは限らないのだ。
 恐らく今の高等部の校長並びに理事長辺りは、無事では済まないだろう。
 例え黒木や白井が働き始めた後に就任したとしても、立場上の責任を問われるのは致し方ないことだ。

[同日20:00.天候:晴 東京都区内某所 某ラブホテル]
(この項は三人称かつ18禁です)

 明らかに援助交際と思しき、歳の差の男女。
 女の方はどこかの学校の制服を着ている。

 中年男:「はぁ、はぁ、はぁ……!い、イクよ!イクよ、イチカちゃん!」
 イチカ:「うんっ!キて!」
 男:「い、イクッ……!あぁッ!」

 男はイく直前、チン○を引き抜き、少女の顔にブッカケた。
 だが、それが少し外れて少女の着ているセーラー服にも掛かってしまう。

 男:「あっ、ゴメンよ!制服に掛かっちゃった……」
 イチカ:「もー……!だから制服脱ぎたいって言ったのにぃ……」
 男:「ご、ゴメン!JCとヤってる雰囲気を忘れたくなくて……!お、お掃除フ○ラしてくれる!?お掃除……」
 イチカ:「うん……」
 男:「ああッ、くすぐったい!……ありがとう、イチカちゃん」
 イチカ:「ティッシュ。もー、学校の制服なのにィ……」
 男:「ご、ゴメン」

 イチカと呼ばれた少女はセーラー服を脱いだ。
 その下はキャミソールではなく、直にブラジャーを着けている。
 左腋の下に何かタトゥーが入っているのを男は見つけた。

 男:「なに?イチカちゃん、タトゥーなんか入れてるの?」
 イチカ:「うん、まあね」
 男:「聖クラリス学院って御嬢様学校なんでしょ?それなのにタトゥーなんて……。何て入れてるの?」
 イチカ:「『1』。数字の『1』」
 男:「へ、へぇ……。それはイチカちゃんだから?」
 イチカ:「そうだね。でも、そういう意味じゃないの」
 男:「どういう意味?」
 イチカ:「そんなことより、ちょっとオシッコしたくなっちゃった。トイレ行って来るね」
 男:「あっ、だったら!」
 イチカ:「うん?」
 男:「オシッコするとこ見せて!JCがオシッコするところ見たい!」
 イチカ:「ええ~?オジサン、ヘンタイだぁ!」
 男:「JCとシたいだけでもう十分ヘンタイだってことは分かってるよ!ね?追加料金払うから!」
 イチカ:「うーん……。分かったよ。じゃあ、一緒にトイレ行こう」
 男:「いや、ここでして!」
 イチカ:「えっ?」
 男:「僕がベッドの上に仰向けになるから、イチカちゃんはその上に立って、僕の顔の上でして」
 イチカ:「それだとオジサンの顔にかかっちゃうよ?」
 男:「いいんだ!イチカちゃんみたいな15歳の美少女のオシッコなら飲める!」

 すると左脇腹に『1』というタトゥーが彫られ、イチカと呼ばれている美少女はニヤリと笑った。

 男:「えっ!?」

 男は一瞬、イチカと呼んでいる少女の瞳が赤く光ったように見えた。
 が、もう一度見ると、黒い瞳だった。

 イチカ:「ん?どうしたの?」
 男:「い、いや……」
 イチカ:「早く横になって」
 男:「う、うん」

 少女は男の顔の両脇に自分の両足を置くと、少し間を置いて放尿した。

 イチカ:「んっ……!やだ……!足に寄っちゃう……」
 男:「わっぷ!」

 男は少女の性器から放たれた聖水を喜んで受け止めた。

 イチカ:「どう?美味しかったぁ……?」

 イチカはまたもやニヤリと笑った。
 再び彼女の瞳が赤く光る。
 今度は男に対して、それを隠そうとはしなかった。

 男:「ああ。幸せ……だ……よ……!?」

 男の体に変化が現れ始めた。
 ボコボコボコと全身に瘤が波打つように現れる。
 イチカ……日本版リサ・トレヴァー『1番』は制服についた汚れを落とし、それを再び着ながら男の変化を見届けた。
 自分も第1形態たる鬼の姿になる。
 『2番』と違って、角が2本生えていた。
 そして最後に脱ぎ捨てた白いショーツを穿くと、男の体は断末魔も上げずに破裂してバラバラになった。

 『1番』:「バカなオヤジ。リサ・トレヴァーの排泄物なんて、Tウィルスの宝庫だってのに。あまりにも濃度の高いTウィルスを摂取すると、ゾンビ化すらせずに体が変化に付いて行けず、破裂して死ぬって本当だったんだね。間近では初めて見たよ」

 そして『1番』は男の財布から現金を全て抜き取った。

 『1番』:「霧生市か……。やっぱり、あそこで戦うのがいいよね。『2番』のヤツ、イイコぶったって無駄だってこと、教えてあげる」

[同日21:00.天候:晴 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
(ここから愛原視点での一人称です)

 リサは明日出発の準備をしていた。
 リビングにて善場主任から電話が掛かってきたみたいなので、それを取っている。

 リサ:「はぁい。……はい。それじゃ」

 リサは電話を切った。

 愛原:「善場主任、何だって?」
 リサ:「リサ・トレヴァーの下半身から出る物はウィルスまみれだから、絶対他の人には触らせるなだって」
 愛原:「何だそりゃ?」

 それくらい今の私達には常識だ。
 というか私も高橋も、既にTウィルスに対する抗体は持っている。
 Gウィルスのことを言ってるのかもしれないが、私の場合、それで変異型Tウィルスの暴走を抑えることができたわけだからな。
 私に関しては、リサに対して言えることではない。
 するとリサは自分の下半身を指さして言った。

 リサ:「この前、ナプキン切らして危うくここが血まみれになりそうになったことがバレたみたい。多分そのお説教」
 愛原:「ああ、そうだったのか。男の俺からは何ともコメントしがたいな。明日からまた泊まり掛けになりそうだから、そういう『女の子のアイテム』の弾切れには気を付けろよ」
 リサ:「うん、分かった」

 リサには悪意が無く、また、高野君や善場主任みたいにアドバイザーがいたから良かったのかもしれない。
 後に聞く『1番』の被害状況を見聞きするにつけ、私はそう思うのだ。
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“私立探偵 愛原学” 「エブリンの死体」

2021-03-07 11:14:15 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[3月2日10:30.天候:晴 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]

 旧校舎の裏手にある便槽を警察が調べている。

 警察官A:「あったぞ!」
 警察官B:「こっちだ!」

 旧校舎のトイレは古式ゆかしい汲み取り式であり、トイレのある場所の裏手には便槽がある。
 そこに糞尿を溜めた後、バキュームカーがやってきて、汲み取りをするのだ。
 さすがに汲み取りをした後で、もう2度と使われなくなったトイレのはずだが……。

 警察官C:「1人だけじゃないぞ!複数いる!」
 警察官D:「何て学校だ!」

 私達は少し離れたところで、警察官達のやり取りを見ていた。

 愛原:「主任、これも黒木源三のしわざでしょうか?それとも……」
 善場:「現時点ではまだ何とも言えませんね。白井の関係かもしれませんし、ヴェルトロかもしれませんし、あるいはもっと別に容疑者がいるのかもしれません」

 私達がこんなやり取りをしていると……。

 警察官A:「比較的新しい遺体もあるぞ!まだ腐敗もしていない!」

 という声が聞こえた。
 便槽の中の遺体も白骨化しているとのことだが、1人だけ最近死んだばかりの遺体があるという。

 善場:「ちょっと待っててください」

 善場さんが政府機関のエージェントという立場を利用し、捜索隊の中に入っていく。
 いくら汲み取りをした後とはいえ、便槽の蓋を開けているわけだから、臭いは凄いものがある。
 私達はもう少しここから離れようとしたが、善場主任が戻って来た。

 善場:「日本にも……エブリンはいたようです」
 愛原:「えっ?」
 善場:「新しい遺体はエブリンです。特徴的に」
 愛原:「はあ!?」

 遺体は10歳くらいの女の子だったが、体には傷があり、そこから漏れなく黒カビのようなものが湧き出ていたという。
 新型BOWエブリンが駆使するのは黒カビの新種を利用した特異菌。
 エブリン自身もそれで造られたようなもの。

 善場:「問題は誰がそれを殺したかですが、恐らく『1番』でしょう」
 愛原:「どうして分かるんですか?」
 善場:「あの遺体には複数の穴が開いていて、その特徴がリサ・トレヴァーの触手を突き刺した痕に酷似しているんです。もちろん、これから調査しないと分かりませんけど……」
 リサ:「『1番』は新型より強いの!?」
 善場:「分からないけど、他にやりそうなリサ・トレヴァーはいないでしょう?」
 リサ:「それもそうか」
 愛原:「もう一度、あのトイレを調べられませんかね?」
 善場:「そうですね……。多分、警察がこれから調べると思いますが……。何を調べたいんですか?」
 愛原:「トイレにあったメッセージですよ。『3階へ行け』ってヤツ。この校舎には3階が無いのに、どうしてあんなメッセージが書かれたのかです。で、本来は誰に向けて書かれたのかのメッセージですよ」
 善場:「なるほど。それは気になりますね。もう1回だけならいいでしょう」

 私達は再びあのトイレに向かった。

 愛原:「あっ、そうだ!この臭い!」

 私は異臭の漂うトイレ痕に向かってから気づいた。
 汲み取り式トイレなのでその臭いが残っているのは当然だが、それ以外にも臭いが混じっているので異臭としか言いようの無い臭いになっていたのだ。

 愛原:「これ、カビの臭いじゃないですか!?」
 善場:「あっ、言われてみれば、アンモニア臭などに交じって、そんな臭いもしますね」
 リサ:「エブリン……だね」

 あの黒いネズミも、エブリンの特異菌に感染した物とすれば合点が行く。
 いくら新種の特異菌とはいえ、黒カビの一種であることに変わりは無く、温度の低い所や乾燥した場所には弱い。
 また、あれがドブネズミの成れの果てだとするならば、それは夜行性なので、夜に活動は活発になる。
 昼間でも地下道や下水道に出没するのは、そこが薄暗いからである。
 元々今の時期はカビにとって不利な寒い時期、乾燥した時期である為に十分な力を発揮できず、特異菌の送り主であるエブリンが死んだことで、私達が駆け付けた時には、ただの大きいネズミになっていたのだろう。
 アメリカの場合はエブリンが死んでも、モールデッドという、人が特異菌に感染して転化したクリーチャーはしばらく生きていたようだが……。

 愛原:「やっぱり。メッセージが変わっている……」

 私達が最初に見た時は、ただ単に『3階へ行け』だったが、今度はメッセージが書き足されて、『学校の3階へ行け』となっていた。

 愛原:「あの消火栓を調べてみましょう。さっき栗原さんが出してくれた線が、どうしてあそこを経由していたのか気になる」

 ということで、再び私達は2階に上がった。

 愛原:「この消火栓だ」

 私はもう一度、扉を開けてみた。
 今度はホースを取り出す。
 するとホースを巻き付けている器具が、クランクのようになっていることが分かった。
 実際に引っ張ると、クランクのハンドルのようになる。

 愛原:「よし。回してみよう」

 私がクランクをグルグル回してみると……。

 高橋:「マジっすか!?」

 ギリギリギリというチェーンと歯車のような音が聞こえて来た。
 そしてそれは、天井に収納されていた吊り階段が下りて来る音だった。

 愛原:「3階の出来上がり」
 善場:「やはり屋根裏部屋があったんですね」

 善場主任は納得したかのように大きく頷いた。

 愛原:「よし。行って見ましょう」

 私達は階段を昇ってみた。
 それにしても、何でこんな仕掛けが古めかしい木造校舎の中にあるのだろう?
 戦前からあった?
 それとも、戦時中に改造された?
 それとも戦後か?
 昇って見て、確かにそこは天井裏であることが分かった。
 2階から下よりも天井は狭く、窓も無い。
 だが、そこに『1番』がいた形跡があった。
 製クラリス女学院の鞄が放置されていて、そこを開けると手帳が入っていたからだ。

 善場:「これは私が預かります」

 とのことだ。
 他には何も無さそうだったので、私達はここで引き上げることにした。
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