報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の富士旅情」 多宝富士大日蓮華山

2020-01-18 17:06:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日10:00.天候:晴 静岡県富士宮市 花の湯・駐車場→国道139号線上]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は政府エージェントの善場主任の調査に同行することとなった。
 ようやく慰安旅行っぽいものから、仕事になったな。

 リサ:「いやだー!先生達と行きたいー!」

 困ったのは、同行できるのは事務所のメンバーである私と高橋と高野君だけ。
 残るJC2人はそれができず、ここに残ることになった。
 幸いここはホテルだけでなく、スーパー銭湯としての顔もある。
 ホテルを引き払っても、そこ利用であれば残ることができる。

 高橋:「リサ、てめぇ、先生を困らせるんじゃねぇ!ワガママ言うと、マグナム撃ち込むぞ!」
 斉藤絵恋:「わ、私はリサさんといられるなら、どっちでも……。あ、でも、先生、今回の件はまだうちの父と契約中のはずでは?私が家に帰るまで、任務は続行中ですよ?」
 愛原:「う……。そ、それもそうか」

 すると善場主任、自分のスマホを取り出す。

 善場:「あ、お疲れ様です。善場ですが、斉藤社長……はい」

 すると善場主任、ダイレクトに斉藤社長に電話を掛けた。
 そして、上手いこと斉藤社長を言い包めたようである。
 どうも、公共の福祉という名の国家の圧力が掛かったような気がしてしょうがない。

 善場:「斎藤社長には私が話を付けておきました。問題はクリアしたので、よろしくお願いします」
 高橋:「……だってよ?」
 絵恋:「くっ……!」
 愛原:「まあまあ、2人とも。今日中には戻って来るから」
 絵恋:「だったら、1つ条件がありますわ」
 善場:「条件?」
 絵恋:「わたし、ここの施設で過ごすのは飽きましたの。別の所に連れて行って欲しいですわ」
 善場:「なるほど……」

 善場主任は少し思案した。

 善場:「どこに行きたいですか?」
 絵恋:「先ほど愛原先生が言い掛けた、休暇村って所に行ってみたいです」
 善場:「なるほど。富士休暇村ですね」
 愛原:「まかいの牧場とかを考えてたんだ」
 リサ:「魔界の牧場!?ケンタウロスとかミノタウロスとかいる!?」
 高橋:「お、俺のマグナムで倒せますかね?」
 愛原:「お前ら、何を勘違いしてるんだ。字が違う」

 ひらがなで書くから誤解されるのだが、漢字で書くと『馬飼野』。
 これだといかにも牧場という感じなのだが、今度は素直にそう読んでもらえないというデメリットがある。

 愛原:「ていうか高橋は、俺と一緒に来るんだろうが」
 高橋:「そうでした」
 善場:「話は決まりましたね。それでは、車に乗ってください」

 善場主任が合図をすると、黒スーツを着た部下の男が頷いて、黒塗りのハイエースのスライドドアを開けた。

 善場:「子供達を降ろしてから行きましょう。先に休暇村まで行って」
 部下:「承知しました」

 車が走り出す。

 愛原:「今日もいい天気だから、富士山がよく見えますなぁ」
 高野:「これだけですと、とても昨日のことが嘘みたいですね」
 愛原:「昨夜は何も無かったが、その分、昼間に何かあったってことか。アニメやドラマの探偵は、旅行に行く度に殺人事件に巻き込まれるが、俺達はバイオハザードに巻き込まれるなぁ」
 高野:「本当ですね」

 もはやバイオハザード事件が、日常の会話になりつつある私達。
 本来なら関わることなど一生無かったはずの政府特務機関の仕事や、私達にだけ許可された銃の所持とか、もう私達は一般人ではない。

[同日10:45.天候:晴 同市内上条 大日蓮華山・大石寺]

 休暇村にてリサと絵恋さんを降ろした私達は、その足で本来の目的地に向かった。

 愛原:「こんな所にお寺が?しかも大きい……」

 すると高野君が……。

 高野:「先生、ここは大石寺ですよ。昨日お話しした、霧生市の大山寺に瓜二つの境内のお寺です」
 愛原:「なるほど。霧生市の生存者の私達に同行してもらいたい調査とは、このことですか」
 善場:「そういうことです」

 車を駐車場に止める。

 高橋:「! 先生、この駐車場は……!」
 愛原:「知ってるのか?」
 高橋:「ほら、アレですよ!あの特殊部隊の何とかというトラックが止まってた駐車場そっくりです!」
 善場:「UBCSですね。旧アンブレラの裏部隊です」
 愛原:「それだ!」
 善場:「調査に来たのはそのことです。霧生市の大山寺が、どうしてこちらの大石寺と瓜二つなのか」
 高野:「場合によっては、ここも旧アンブレラの息が掛かってる、もしくは掛かってたかもしれないってことですね?」
 善場:「はい。……あ、ちょっと待ってください」

 善場主任が車を降りようとする私を引き留める。

 善場:「これを付けてください」

 善場主任が人数分出したのは、何かの身分証……というか、何だこれは?

 善場:「正月三が日は大勢の信徒達が参詣しています。私達もそれに紛れて行きましょう」
 愛原:「浅間大社みたいに、普通の人は来ないの?」
 善場:「ここはそういうお寺なんです」
 愛原:「……密教か何か?」
 善場:「いえ、法華系の宗派ですね。でも、大山寺とは違います」
 愛原:「何だかよく分からん」

 とにかく、私達は信徒がぶら下げる札のようなものを首から掛けて車から降りた。

 高橋:「で、俺達に何をしろってんだ?」
 善場:「取りあえず、あの時の行動を再現して頂けないでしょうか?愛原所長方は霧生電鉄の駅から、大山寺の三門を潜って境内に入ったんですよね?」
 愛原:「そうです。この周辺にそれらしい駅は?」
 善場:「いえ、無いです。ですので、三門の前からスタートしましょう」
 高橋:「三門って、何か工事してるアレか?」
 善場:「そうですね。あそこからスタートしてみましょう」
 高橋:「ていうか、俺達とアネゴは途中で知り合ったんだ。アネゴの行動は別に……ぎゃん!」

 その時、高野君が高橋君をド突いた。

 高野:「私も先生達より先に着いたというだけで、三門から境内に入ったのは同じです。参考になるのは、先生達の行動ですよ」
 愛原:「そ、そうかな」

 高野君の今の行動が今一つ理解できなかったが、取りあえず私達は三門に移動することにした。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする