報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の富士旅情」 富嶽天母を仰ぎ見て

2020-01-14 15:45:32 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日16:15.天候:晴 静岡県富士宮市 富嶽温泉花の湯]

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今日は仕事で富士山の麓の町までやってきたのだが、まさかまたバイオハザード絡みの事件に巻き込まれるとは……。

 愛原:「ここが部屋か」
 高野:「おー、広いですねぇ」
 愛原:「和洋室だからな。えーと……」
 高野:「今回は私達が和室で寝ます。先生とマサは……って、マサ、コラ!何いきなり布団敷いてんの!しかも1つの布団に枕2つ!」
 高橋:「あぁ?」
 絵恋:「違うんですよ、高野さん」
 高野:「えっ?」
 絵恋:「これはきっと高橋さんが私とリサさん用に敷いてくれたんですよぉ~、キャッ
 高橋:「いや、全然違ェから。おい、戻って来い、2つの意味で」
 愛原:「分かった。今日は俺と高橋がベッドだな。ちょうど2つあるしな」
 高野:「布団だと今みたいに、先生が襲われそうですから……」
 愛原:「そうだな」

 ぶっちゃけベッドでも大して変わりは無いと思うが、フラットになってないだけまだマシか。

 高野:「この引き戸を閉めれば、ちょうど男女別にできます」

 和室と洋室の間に引き戸がある。

 愛原:「それはいいアイディアだ」

 とはいえトイレは洋室側にあるので、そこに行く時だけはベッドの前を通ることになるが。

 愛原:「まあ、今からバイオハザードを気にしてもしょうがない。せっかく来たんだから、まずは温泉に入って来よう」
 高橋:「了解っス!」

[同日16:45.天候:晴 同市内 花の湯・大浴場]

 高橋:「それでは不肖、高橋正義が先生のお背中を流させて頂きます」
 愛原:「ああ、頼むよ」
 高橋:「ハッと来て~♪グッと来て~♪」

 ヒドい歌。
 こいつ音痴だな。

 高橋:「私バカよねぇ~♪」
 愛原:「全くだよ……」
 高橋:「え?何すか、先生?」
 愛原:「いや、何でもない」

 むさ苦しい男湯ばかりでは何なので、ちょっとカメラを女湯に回すことにしよう。

 ケンショーグリーン横田:「クフフフフフ……。先般の“大魔道師の弟子”出演における大感動は、未だ冷めやらぬものであります」
 ケンショーブラック矢島:「それでは、ケンショーグリーンが高野芽衣子のスリーサイズをスカウターで測ります」

 ドゴォッ!(高野のハイキックが見事に決まる)

 横田:「ブォッ!?」

 ハイキックの衝撃で眼鏡が飛んでいく。

 横田:「メガネ、メガネ……」

 バキィッ!ドカッ!ゲシッ!(今度はブラックに斉藤絵恋の空手技が決まる)

 絵恋:「キャーッ!痴漢チカンちかんよーっ!!」
 ケンショーブラック:「そ、それでは只今を持ちまして、ここ富嶽天母を仰ぎ見る地、花の湯から女湯レポートを終了致します!ご苦労様でした!」

 ガシッ!ガシッ!

 リサ:「こいつら突き出せばいい?」
 高野:「さすがは力持ちのリサちゃんね」

 リサ、グリーンとブラックという大の男を2人とも軽々と掴み上げる。

 女性警備員:「それでは警察に通報しましたので、あとはこちらにお任せください」
 高野:「よろしくお願いします」

 グリーンとブラック、連行されて行く。

 グリーン:「あ~れ~……!」
 ブラック:「それではグリーンが警察に逮捕されます」
 女性警備員:「アンタもだよ!」
 ブラック:「わ、私はただの司会者で……アッー!」

 2人の変態レンジャーが連行されるのを見届けた後、再び大浴場に戻る3人。

 高野:「何だかゾンビを相手にするより疲れるわ」
 絵恋:「高野さんも凄いんですね。あのゾンビと、緑の怪獣を相手にしても怖くないなんて……」
 高野:「いや、怖いから。ただ、あの場合は先生とマサを援護するべきだと思った。ただそれだけ」
 絵恋:「リサさんも凄いね!あの緑の怪獣を一睨みしただけで追い払うんだから!」
 リサ:「それ、さっきから何度も聞いてる。大丈夫。ハンターなんかザコ同然」
 高野:「そりゃ、リサちゃんにとってはね」

 リサにとっては、カエルがケロケロ鳴いて跳んで来る程度のものだ。

 リサ:「サイトー、そっちに座って」
 絵恋:「ええっ?も、もしかして、わ、私の背中流してくれるの?」
 リサ:「いつもやってもらってるから。今度は私がやる」
 絵恋:「し、幸せーっ!」
 高野:「斉藤さん、顔から涎やら鼻血やら涙やらダダ洩れよ」

 リサ、何故かタオルではなく、自分の手や胸にせっけんを付け……。

 リサ:「確か、こうやって……」

 リサ、絵恋の背中を自分の手と、まだ幼い胸の双丘を押し当てて擦る。

 絵恋:「も、萌えぇぇぇぇぇぇっ!!」
 高野:「リサちゃん、何やってるの!」
 リサ:「愛原先生のパソコンの秘蔵動画の中に入ってた」
 高野:「そういうのはダメ!」

 高野が後で愛原に説教したことは言うまでもない。

 リサ:「あと、『貝合わせ』?とか……」
 高野:「そういうのも忘れなさい!」

[同日18:00.天候:晴 花の湯・レストラン]

 ここからまた私の視点となる。
 大浴場を楽しんだ後は、夕食だ。

 高橋:「先生、どうぞどうぞ」
 愛原:「おっ、ありがとう」

 因みにビールはピッチャーにした。
 私もそうだが、高橋や高野君も飲む方だからである。

 リサ:「ねーねー、先生。私も飲みたーい」
 愛原:「んー?そうだなぁ……」
 高野:「何言ってるの。先生もそこは早めに答えを返さないとダメです」
 愛原:「……だな。というわけだ、リサ。あと6~7年待とうか」
 リサ:「ぶー……」
 愛原:「まあまあ。ドリンクは飲み放題だからさ」

 大人の私達はビールをグラスに注ぐと……。

 愛原:「それではカンパーイ!」
 高橋:「カンパーイっス!」

 風呂上がりにはビールがいいねぇ!

 リサ:「ねーねー、あのテーブルの上にあるのは?」
 愛原:「あそこにあるのが、食べ放題、飲み放題だよ。これから運ばれてくるおかずに合わせて選ぶといいよ」
 リサ:「おー!」

 リサは食欲全開にして、バイキングに向かった。

 リサ:「……肉が無い」
 絵恋:「ごはんとかスープとかドリンクとかはあるけどね。……あっ、そうか!ここはサラダバーなんだわ!」
 リサ:「肉がいい」
 絵恋:「野菜は美容と健康にいいから、こういうのを食べといた方がいいかもね」
 リサ:「むー……」
 絵恋:「あら、パスタもある。……タコスもあるし!」
 リサ:「たこす?蛸の巣?」
 絵恋:「違う違う。タコスってのはメキシコの料理の1つ。まさか、こういう所で出てくるなんてねぇ……!これも食べ放題なの?」
 店員:「そうですよ。もし宜しかったら、お1つどうぞ」
 リサ:「これがタコス……」

 思ったより肉食ができなかったリサは多少不機嫌になったが、まさかのタコス登場により、機嫌を直したようだ。
 自我を持ったBOWの御機嫌取りも、なかなか大変だ。
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“私立探偵 愛原学” 「探偵の富士旅情」 花の湯

2020-01-14 10:12:05 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月2日16:00.天候:晴 静岡県富士宮市 花の湯]

 日本アンブレラの保養所が市内にあるらしい。
 善場氏の情報だ。
 それは千葉にもあったが、実際は保養所でカムフラージュした秘密研究所である。
 もちろん、日本アンブレラは潰れたからそれを管理する者などいないし、“青いアンブレラ”が対応に当たっているはずだ。
 だが、日本国内においてはそれが後手に回っている。
 日本アンブレラは基本的にアンブレラの『表の顔』を演じる為に設立された日本法人である為、裏の顔を知り尽くした“青いアンブレラ”からは問題視されていないという。
 もちろん陰でコソコソ違法な研究もやっていたことは知っている。
 だが、欧米の施設ほど危険な物は無く、仮にあったとしてもそれは過去の遺物程度にしか思われていないのだそうだ。

 善場:「そこで日本政府としては“青いアンブレラ”と契約し、国内に残る日本アンブレラの置き土産の掃討作戦に出ることにしました」

 私達は車の中で善場氏から話を聞いている。
 黒塗りのミニバンの中だ。

 愛原:「この前、宮城でもそれが行われていたようですが、餓鬼を逃がすなど、あまり頼りがいのある組織では無さそうですな」
 善場:「ええ。宮城の場合もBSAAの依頼で行っていたようですが、何せ日本人がいないもので……」
 愛原:「日本人がいない!?」
 善場:「BSAAには自衛隊出身者とかが在籍していますが、“青いアンブレラ”には基本的にいません」
 愛原:「日本アンブレラの出身者は?」
 善場:「現在、拘置所か刑務所にいるか、或いは国外逃亡したり、バイオハザードに巻き込まれて死んだりしています」
 愛原:「日本アンブレラは個人単位でもロクな目に遭わなかったんだねぇ……」

 日本の検察官はしっかりしているんだよ、検察官は。
 弁護士はクソだがな。
 アメリカの場合は司法取引でもって、早くにシャバに出したりしている。
 その代わり、“青いアンブレラ”に加入させて活動させているわけだ。
 ほら、向こうは刑罰の代わりに奉仕活動とかあるだろう?
 その奉仕活動が、元アンブレラ職員にあっては掃討作戦参加というわけだ。

 愛原:「一応はもう安全なのかい?」
 善場:「そうですね。感染者も愛原さん達が対応した3名だけのようですし……」

 Tウィルスはばら撒かれた当初は空気感染もするが、その後は接触感染くらいしかしない。
 だからゾンビに噛まれたり、引っ掛かれたりしただけで感染してしまうのだ。
 そして、ハンターもTウィルスで製造するから、それに攻撃されてもやはり感染する。

 善場:「あとは例のトラックと、運転手を調べるだけです」
 愛原:「そうですか」
 善場:「愛原さんはここに泊まるんですか?」
 愛原:「一応その予定です。まあ、これでも仕事ですから、何かあったら連絡してくださいよ」
 善場:「愛原さん達に手伝えるようなことがあれば、お願いすると思います。……リサ・トレヴァーは、今のところ正常のようですね」
 愛原:「ええ。よほど研究所に戻りたくないのでしょう。私の言う事は何でも聞くと約束してくれています」
 善場:「……でしょうね」
 愛原:「ん?」
 善場:「自我を持ったBOWは、皆そう言うそうです」
 愛原:「なるほど。うちのリサ以外にもいるんですか?」
 善場:「ええ。例えばアメリカのルイジアナ州で暴れたBOWエブリンも、テロ組織が欧州からメキシコへの移送中に貨物船内で暴走したのが始まりだそうです。当然、研究所から研究所への移送だったわけですが、それを拒絶したい意識が強くなった為に暴走したとか……」
 愛原:「じゃあ、うちのリサも研究所に戻されると知ったら暴走するかもしれませんね」
 善場:「可能性は十分にあります。できればこちらとしても、それは避けたいと思っております」
 愛原:「彼女を研究所に戻す予定は?」
 善場:「今のところありません。このまま愛原さんにお預けして、何の問題も無く大学卒業まで行ければ、あとは私の部下として面倒見たいと思っておりますので」

 なるほど。
 それは今から10年後くらいだな。
 善場さんも今は主任だが、その頃には課長くらいになっておられるかな。
 その時、リサを新米エージェントとして、それを指導する立場になっている……と。

 愛原:「リサ!」

 私が車を降りると、リサは外で待っていた。

 リサ:「先生!」

 前に名前で呼んでくれと言ったのだが、結局は高橋君みたいな呼び方になってしまったな。

 愛原:「寒くないのか?」
 リサ:「全然平気」

 私とリサが中に入ると、ロビーで高橋君達が待っていた。

 高野:「先生、話は終わりましたか?」
 愛原:「ああ。あとは善場さん達が、あのトラックや運転手を調べる。その後の結果次第では、俺達が手伝うことになるぞ?」
 高野:「まさか、あんな住宅街でハンターに襲われるとは思いませんでした」
 愛原:「霧生市の再来は何としてでも避けたいところだな」
 高野:「その霧生市なんですけど……」
 愛原:「ん?」
 高野:「山奥にあったお寺は覚えてますよね?大山寺というお寺」
 愛原:「忘れるわけがないさ。高野君とはそこで出会ったんだから」
 高野:「ええ。この町の郊外にも、大石寺というお寺があるそうですよ」
 愛原:「それで?」
 高野:「宗派は違うんですが、どういうわけだか、グーグルアースで見る限り、境内の構造はほぼ同じなんです」
 愛原:「そういうことってあるのか」

 宗派が同じで、しかも同じ大本山格であるなら、境内も似たり寄ったりということもあるだろう。
 しかし、宗派が違うのに同じとは……。

 高野:「これがバイオハザードが起こる前の、大山寺上空の映像です」
 愛原:「ふむふむ」
 高野:「これが現在の富士宮市郊外にある大石寺上空の映像です」
 愛原:「ありゃ、そっくり!?」

 細部は違うものの、私と高橋君が一時拠点にしていた大講堂とか、高野君と初見した大恩坊の位置とか、化け物と化した浅井主管と中ボス戦を繰り広げた壱之坊とか、全く同じだ。

 高野:「偶然ですよね?」
 愛原:「だと思うけどねぇ……。おっと、そろそろチェックインしないと」

 私はホテルチェックインのカウンターに向かった。

 愛原:「大人5名で予約している斉藤と申します」

 予約したのは斉藤社長なので、予約者はその名前になっている。
 ま、この辺は私も慣れたものだ。
 泊まり掛けの仕事の場合、クライアントが取ってくれたホテルに泊まることもあるし。
 今回もそういうことになるが。
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