報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“愛原リサの日常” 「国道139号線の戦い」

2020-01-21 21:42:46 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[1月3日15:30.天候:晴 静岡県富士宮市・国道139号線 タクシー車内]

 まかいの牧場閉園時間を待たずして、タクシーで移動するリサ・トレヴァーと斉藤絵恋。

 リサ:「ごめん。私、どうしても先生達と一緒にいたくて……」
 絵恋:「しょうがないよ。私も正直、寂しいんだ。先生や高野さんは優しいし、高橋さんも面白いお兄さんだし、リサさんは大好きだから一緒にいられるだけでも幸せなんだけど……。やっぱり、今頃クラスの皆は家族と一緒なんだって思うと……」
 リサ:「うん……」
 運転手:「あ、あのー、お嬢ちゃん達……」
 絵恋:「あ、大丈夫ですよ。お金ならあります。それに、こんなこともあろうかと、父からタクシーチケットはもらってて……」
 運転手:「いや、そうじゃなくて、まさか家出とかじゃないよね?」
 リサ:「家出?」
 絵恋:「ま、まさか!そんなわけないじゃないですか!たまたま私達は旅行に来てて、大人の人達とはたまたま別行動してて……。あの、行き先の大石寺まで行ってくれれば分かります!」
 運転手:「それならいいんだけど……。まさか、警察とか探偵さんが出動している騒ぎになってなきゃいいと思ってね……」
 リサ:「その探偵さんと一緒に旅行に来てるんだよ」
 絵恋:「そう!だから、目的地に行ってくれれば分かりますって!」
 運転手:「探偵さんと?それはそれで珍しいねぇ……」

 と、その時だった。
 背後からパトカーのサイレンが突然聞こえてきた。
 後ろを走っていたのはシルバーのクラウンだったが、どうやらそれは覆面パトカーだったようだ。

〔「緊急車両、追い越します!道を開けてください!」〕

 運転手:「何だ。これじゃないのか。びっくりしたぁ……」

 運転手はすぐにタクシーを減速させて、覆面パトカーに道を譲った。
 ではそのパトカーは、何の為にサイレンを鳴らしたのかというと……。

〔「そこの白いトラックの運転手さん、左に寄って止まってください」〕

 どうやら、タクシーの前を走っていたトラックに用事があったようである。

〔「富士山130 あ【以下略】。左に寄って止まってください」〕

 パトカーは何度も停止命令を出している。
 だが、トラックは一向に止まる気配が無い。
 段々、停止命令の口調が強くなる。

〔「止まりなさい!」〕

 ついにトラックはパトカーを挑発するかのように右に左に蛇行し……というよりは、コンテナが揺れているかのようだ。
 そしてトラックは急停止!
 直後、コンテナのドアが破られた。

 運転手:「わあっ!?何だ!?」

 パトカーの後ろを走っていたタクシーも急停車。

 絵恋:「きゃあっ!り、リサさん!あれ!」
 リサ:「は、ハンター!?」

 それは昨日現れたハンターと同種のBOWに相違無かった。
 リサと比べて下級のモンスター。
 昨日と違うのはそれが一匹だけでなく、数匹はいたことだった。

 リサ:「αにβ、γに……えーと……あれ何だっけ?!」

 トラックから飛び出したハンター達は1種類だけではないということだ。
 リサの知ってる種類もあれば、知らない種類もあるようである。

 警察官A:「ぎゃあっ!」
 警察官B:「わーっ!」

 パトカーの警察官達はすぐに降りて、拳銃で応戦しようとした。
 だが、ただの一発も当てられずにハンターに首狩りされたり、鋭い爪で引っ掻き攻撃されて流血の惨を展開することとなった。

 絵恋:「きゃあっ!」

 絵恋がリサに抱き着く。

 リサ:「運転手さん!早く逃げて!」
 運転手:「む、無理だ!前後とも挟まれて……わあっ!」

 その時、一匹がタクシーのボンネットの上に乗っかった。
 リサがそいつを睨み付ける。

 運転手:「わああああっ!!」

 リサ・トレヴァーという上級BOWに睨み付けられたハンターは一瞬怯んだが、恐怖に負けた運転手がタクシーを放棄して逃げ出した途端我に返り、すぐさま運転手を追い掛けて首狩り攻撃という即死攻撃を行った。

 リサ:「このままじゃまずい!サイトー、逃げよう!」
 絵恋:「リサさん!助けてよぉ!」
 リサ:「分かってる!サイトーは私が守る!!」

 リサはタクシーのドアを開けて、外へ飛び出した。
 と、すぐ近くに別のトラックが止まっていた。

 リサ:「チャンス!あの中に隠れよう!」

 リサは絵恋の手を取って、トラックに近づいた。
 と、上空からヘリコプターの音が聞こえる。

 リサ:「救助のヘリ!?良かった!しばらくしたらきっと助かる!」

 その時、リサのスマホに愛原から着信があったのだが、この騒ぎとヘリの騒音で聞こえなかった。

 リサ:「サイトー、早くこの中へ!」
 絵恋:「う、うん!」

 それは宅配便のトラックだった。
 このトラックの運転手もいなくなっていた。
 逃げたのか殺されたのかは分からない。

 絵恋:「一体……何が?」
 リサ:「分からない。だけど、ここにいれば安心。助けが来るまで、ここで……」

 その時、リサはやっと愛原から着信があったことに気付いた。

 リサ:「愛原先生から着信があった!」
 絵恋:「えっ、ほんと!?」
 リサ:「うん!これで愛原先生にも助けを呼ぶ!」
 絵恋:「うん、そうして!」

 リサは急いで愛原のスマホに掛け直した。

 愛原:「リサか!?今どこにいる!?」
 リサ:「あの……」

 バリッ!

 絵恋:「きゃっ!?」

 その時、壁の向こうから鋭い爪が突き立てられた。
 アルミ製のコンテナタイプのトラック。
 内側はベニヤ板張りだ。
 頑丈そうに見えて、実はそんなでもなかった。
 長くて鋭いハンターの爪を完全に防ぐほどではなかった。

 リサ:「先生!大変なことになった!ハンターが暴れてる!」
 愛原:「おまっ……!まかいの牧場にいたはずじゃ!?」
 リサ:「ごめんなさい。どうしても寂しくなって……そしたら、サイトーがタクシーでお寺まで行こうって言ってくれて……。向かってる最中、前を走ってたトラックからハンターが飛び出して来て……」

 リサはその後、ハンターが5~6匹いること。
 それも何種類もいることを話した。

 愛原:「絵恋さんは!?絵恋さんは無事なのか!?」
 リサ:「サイトーは大丈夫!だけど、もうコンテナが持たない!」

 リサは絵恋と一緒にトラックのコンテナに隠れていることも話した。

 愛原:「待ってろ!“青いアンブレラ”が向かってるから、それで何とか……!」

 バァン!(ついにコンテナのドアがこじ開けられた)

 絵恋:「きゃーっ!!」
 リサ:「コンテナが破られた。こうなったら……!」

 リサは電話を切った。
 そして獲物を見つけてニヤリと牙を剥き出し、涎を垂らして見据えてくるハンターαを睨み付けながらリサの取った行動は……!?
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