報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“Gynoid Multitype Cindy” 登場人物紹介

2016-02-19 19:28:09 | アンドロイドマスターシリーズ
 “ボーカロイドマスター”→“アンドロイドマスター”→“新アンドロイドマスター”に続く第4段目です。
 人間とロイドの模様の物語なのはそのままですが、それまでは人間からの視点だったものを、今度はロイドの視点にしてみることにしました。
 登場人物の中で、1番人間臭いシンディの視点にすることにします。

 シンディ:Multitype 3

 女性型アンドロイド(ガイノイド)。
 下ろせば腰まである金髪を向かって右側にサイドテールにしている。
 紺色のノースリーブに、スリットの深いロングスカートのワンピースを着ている。
 その下は同じ色のチューブ・ブラとビキニショーツ。
 前作に引き続き、オーナー登録をアリス敷島、ユーザー設定を敷島孝夫にしたまま、前期型からの贖罪を続けている。
 敷島エージェンシーの拡充に伴い、自身も活動拠点を変える。
 KR団崩壊に伴い、平和になったこともあって、右手に取り付けられていた銃火器は模擬弾に全て交換されている。
 製造コンセプト上、銃火器は標準装備なので、取り外しができないため。
 敷島エージェンシーの社員が増えたこともあり、シンディの敷島監視役の仕事も軽減された。
 その為、ボーカロイドの警護役や、不具合を起こしたロボットの取り締まりなんかをやることが多い。
 4月に本格開業するロボット科学館においては、よくイベントに呼ばれるようになる。
 人間に対して愛想が良く、多弁であるため、ボーカロイド並みの人気を誇る一方で、過去の事件についてなじられることも多い。
 ユーザーの敷島に対してもフレンドリーに接する。
 但し、礼儀を知らないわけではなく、敷島やボカロ達と営業に行った際など、目上の人間(イベント主催者、制作会社の担当者など)には礼を失することはない。
 アンチからは、暴走して製造者のウィリアム・フォレスト(通称ドクター・ウィリー)を惨殺したことを責められることもある。
 ロイドやロボットに対しては最上位の地位にある為か、居丈高に接することが多い。
 その為、鏡音リン・レンからは『鬼軍曹』と呼ばれたり、バージョンシリーズ(KR団崩壊の際に9割方破壊されたり、機能を停止したが、一部は改造して再利用されている)からは『シンディ様』と呼ばれている。
 しかし、従う者には必要以上に威張らず、ボカロからは頼りにされている。
 リンからは『鬼軍曹』とは呼ばれつつも、甘えられる相手とも思わている。
 武器は右手に狙撃用ライフル、マシンガン、パイソンと強い物が取り付けられていることから、白兵戦ではなく、長距離からの狙撃を得意とする。
 左手には有線ロケットパンチ、そこから高圧電流を流して掴んだ相手を感電させることができる。
 左手は人間に使うことはなく、言う事を聞かないロイドに対してお仕置きで使うことが多い。
 両足のブーツには、緊急脱出用の中小型ジェットエンジンが装着されている。
 弱点は1号機のエミリー。

 エミリー:Multitype 1

 女性型アンドロイド(ガイノイド)
 赤いボブヘアに、シンディのコスチュームを黒にしたものを着用している。
 オーナーはかつて製造者の南里志郎であったが、死去に伴い、弟子の平賀太一に変更されている。
 南里の遺言に、自分が死亡したら共に機能を停止するようにとあったものの、同時に平賀の言う事を聞くようにというのもあり、平賀の命令で機能停止できずにいる。
 オーナー設定は平賀太一、ユーザー設定は敷島だったが、この作品より平賀奈津子に変更された。
 それでも長い付き合いからか、敷島の言うこともちゃんと聞く。
 妹機とは違い、寡黙でクール。
 古い音声ソフトを使用していることもあってか、いわゆるロボット喋りになっている(文節ごとに「・」で区切って喋る)。
 そのソフトウェアの更新は何故かしないよう、南里が遺言で残しているため、平賀は素直に従っている。
 クールな為に大きく笑うことはないが、それはシンディと同様、贖罪の為に笑わない設定に自らしたため、この設定をオーナーである平賀ですら解除することはできない。
 但し、大きく笑わないというだけで、微笑などを浮かべることはできる。
 それでも意外と表情は豊かであり、特に怒りの表情は全てのロイドをフリーズさせ、シンディですら行動にエラーを起こさせるほど。
 普段は宮城県仙台市内の大学にある南里志郎記念館に“常設展示”されているが、たまにイベントや出張講座などで外に出ることはある。
 ピアノが得意で、毎日17時に記念館のエントランスホールにあるピアノを弾いている。
 近接戦が得意で、逆にシンディのような狙撃の性能については全く期待できない。
 その為か、右手に装備している武器はショットガン、マシンガン、火炎放射器とそんなに遠くへ飛ばないものだけである。
 尚、シンディとはパイソンと火炎放射器をこの作品から交換した。
 左手の武器はシンディと同じ。
 調子に乗った妹をこれでお仕置きすることもある。
 かつては彼女が『鬼軍曹』だったが、敷島達の活動拠点が東京に移ってからはボカロ達と接することも少なくなったため、その座をシンディに譲っている。
 但し、最上位ロイドにいることに変わりはなく、バージョンシリーズからは『エミリー様』と呼ばれている。

 アルエット:Multitype 8

 女性アンドロイド(ガイノイド)
 マルチタイプの最新型であるが、シンディ達とは小型化・軽量化したフルモデルチェンジであるため、実妹というよりは従妹もしくは義妹のように思われている。
 それでも1号機と3号機を姉として慕い、シンディ達も可愛がっている。
 前作終盤で、原発に自爆しに向かうバージョン1000を強制自動遠隔操作する装置が取り付けられており、シンディが無理やりそれを引きちぎったことで、機能停止寸前にまで追い込まれた。
 アリス敷島の手によって、鋭意修理中。
 何とかロボット科学館完成に間に合うよう、入念な修理が行われている。
 それまでの旧型機が高身長のモデル体型の成人女性みたいに作られたが、小型化・軽量化をコンセプトに作られたため、女子中学生くらいの見た目になっている。
 体内に燃料電池を有しており、バッテリーと油圧で動く姉達よりも長く活動できる。
 マルチタイプである為、歌は歌えないが、アイドルの活動はそれだけではないため、敷島エージェンシーに引き取られた。
 基本的には、ロボット科学館専属のコンパニオンとして働く予定。
 右手には出力を自由に調節できる光線銃を装着している。
 左手の装備については明らかにされていない。
 バージョン400に乗って操縦するスキルを持っている。
 やはりロボットの世界では最上位のせいか、バージョンシリーズからは『アルエット様』『お嬢様』と呼ばれ、たまに複数機で担ぎ上げられることもある。
 服はベージュのブレザーに緑色のベスト、赤いリボンタイにグレーのプリーツスカートと、いかにも女子中学生の制服のような服を着ることが多い。
 ファッションで赤い縁のダテ眼鏡を掛けることもある。
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“大魔道師の弟子” 「ダンテ一門の魔女たち」

2016-02-19 13:47:16 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[2月某日09:00.天候:晴 長野県白馬村郊外・マリアの屋敷 稲生勇太&マリアンナ・ベルフェ・スカーレット]

 玄関からエントランスホールに入って、左に曲がると観音開きのドアがある。
 そこを開けると大食堂に出るわけだが、そのテーブルの前に座って談笑するのはマリアと同期の魔道師達。
 いたのはエレーナとクリスティーナ、そしてもう1人は稲生も名前は分からない。
 ただ、右目が金色の髪で隠れていた。
 稲生が入って来ると、途端にピタッと話し声が止む。
「! あ、あの……ちょっと、出掛けてきますので……」
 魔女達に冷たい目で見られる稲生。
 別に稲生が何かしたわけではなく、クリスティーナともう1人の魔女は明らかに人間時代、性暴力の被害者だったからだろう。
「ああ。気をつけて」
 マリアは普通に答えた。
「どこまで行くの?」
 別に男嫌いではないエレーナは(人間時代、特に性被害者ではなかったからか)、マリアより笑みを浮かべた。
「大町市までちょっと買い物に……」
「私のホウキ、使う?」
「い、いえ!僕は空飛ぶ魔法は使えないので、普通にバスと電車で行きます」
「迎えが欲しかったら連絡して」
 と、マリア。
「はい。一応、最終バスに間に合うようにはするつもりです。それじゃ」
 早く行けという顔をクリスティーナと目隠れ魔女にされていたので、稲生は逃げるように大食堂を出た。
「せっかく、初乗り5000円っていう交渉をしようと思ったのに」
 エレーナは苦笑を浮かべて、クリスティーナ達に言った。
「日本のタクシーと同じ、2キロくらいか?」
 マリアも口元を歪めるように笑う。
「どうやって、メーター取り付けるんだよ……」
 クリスティーナも、エレーナの商売根性に呆れた。
「マリアンナも、どうしてあの男と?ただの弟弟子でいいじゃん」
 クリスティーナは眉を潜めた。
「ユウタは弟子入りする前から、私と会ってたからね。確かに、感覚は違う」
「イリーナ先生、絶対、マリアンナとユウタがくっつくことを狙ったと思うよ?」
 と、エレーナ。
「……呪いなら、いつでも相談して……」
 右目を前髪に隠した魔女は、黒い水晶球を出した。
 エレーナはその前髪をかき上げた。
「あうっ!や、やめてください!!」
 右目は大きな切り傷の跡があり、完全に潰れていた。
「アリスも大変な目に遭ったのは分かるけど、その黒い水晶球は無闇に出すものじゃないと思うよ」
「ごめんなさい……。それじゃ……。スプラッタショーの……始まり?」
 今度はドクロの付いた魔法の杖を出す。
 それがチェンーソーに変化した。
「最近、性的虐待のクソ親の“粛清”ができなくて、溜まり気味らしいよ」
 と、クリスティーナ。
 彼女もまた“魔女”の目つきになった。
「怖い怖い。何か情報あったら教えてあげるよ」
 エレーナは肩を竦めた。

「ふー、怖かったー……」
 稲生は人形達が除雪した私道を歩いて、バス停まで向かった。
(怖い魔女さん達だぁ……)
 そう思いながら、片側1車線の山道沿いにポツンとあるバス停でバスを待つ。
 時刻表には午前中に1本、昼間に1本、午後に1本あるだけの寂しい路線であることが分かる。
 やってきたバスに乗り込むと、車内はガラガラだった。
 これでも白馬村の中心部に行くに従って、まあまあ乗客は増えて行くのだが。
(それにしても……)
 稲生は先ほどの屋敷内でのことを思い出した。
 クリスティーナ達は恐らく、マウンティングを掛けてきたのだろう。
 エレーナは既に稲生をよく知っているからいいのだが、クリスティーナとアリスと呼ばれた少女は稲生のことをよく知らない。
 稲生に対して警戒心を露わにすることで、稲生がどんな男かを見極めようとしたのだと思われる。
 既に人を殺したことのあるような目つきだが、特に右目の隠れていた魔女はまだ幼さが残る感じであったのだが、一体何があったのだろうか。

[同日16:40.天候:晴 長野県白馬村郊外の山道 稲生勇太]

 街での用向きを終え、予定通りに最終バスに乗ることができた。
 電車の本数は少なく、バスの本数も雀の涙ほどしか無いが、多くの魔道師が交通不便な場所に住んでいることが多いので、マリアの屋敷の場合はまだマシな方である。
 さすがに仙人ではないので、車や徒歩でもアクセス不可な場所に住んでいる者はそうそういない。
 一応は、鉄道やバスが通っている所に住んでいるのが通常である。
(おっ、帰ったんだ)
 稲生は1番後ろの席に座っていた。
 もうまもなく下車バス停に着こうという時、上空を2つのホウキが飛んでいたのが見えた。
 1つはエレーナだが、もう1つはクリスティーナか?
(もう少し待てば夕食の時間……あ、ダメか)
 エレーナはともかく、クリスティーナとアリスが男嫌いなのであれば、稲生がいる時点でアウトか。
 例え同じ一門の者であったとしても、一緒に食事ができるほどまだ打ち解けていないということだ。
 エレーナが帰ったのは、クリスティーナ達が帰るから自分もというノリだろうか。
 それとも他に用事が……。

〔「峠道〜」〕

 プシュー、ガタッという音がして前扉の折り戸が開く音がする。
 アルピコ交通もワンステップバス、ノンステップバスが導入され、稲生が乗っているワンステップバスは前扉は基本的に折り戸である。
 稲生が降りてしまうと、もう他に乗客はいなかった。
 乗客のいなくなったバスは稲生を降ろし、バスは山の方へと走り去っていった。
 こんな路線でも運行が続けられているのは、このバスの終点である山の向こうに集落があるからだろう。
 稲生はバスを降りると、除雪されたバス通りから、一見して除雪されていない林道のような場所に入った。
 RV車でチェーンを巻いていても、スタットしそうなほど雪深い道である。
 まるで廃道のようだ。
 しかし稲生は構わずザクザクと進む。
 新雪が降り積もって、何だか足を取られそうな勢いであるが、何故かズボッと沈みこまない。
 この雪自体が魔法による幻であることは、秘密である。

 稲生が屋敷に向かうまでに薄暗くなっているのだが、途中に街灯が点いている。
 稲生が近づくと点灯し、通過すると消える。
 途中で道が分岐しているが、稲生にだけ正解を教えるというわけだ。

「ただいま帰りましたー」
 正面玄関の観音扉を開けて、稲生は帰宅した。
「お、帰って来たか」
 マリアが吹き抜け階段の上から降りて、稲生を出迎えた。
「さっきはクリスティーナ達が無礼なことをして申し訳無い」
「いえ、大丈夫です。事情は知ってますから。もう帰ったんですね」
「ああ。理由は……そこまで知っているんなら、言うまでもないな」
「エレーナさんが帰ったのは?」
「大きな荷物運搬の仕事が入ったから帰る、そうだ」
「まだ『魔女の宅急便』やってたんですか、あの人は」
「忙しいヤツだよ」
「てか、あまり大きいとホウキで運べないのでは?」
「あ、いや、大きいというのは荷物が大きいとかじゃなく、稼ぎが大きいという意味ね」
「ああ、なるほど。何か、怪しいなぁ……」
「怪しいものを運ぶのが、本来の『魔女の宅急便』だから。宮崎アニメをイメージしてはダメ」
「はあ、なるほど……。ああ、そうそう。マリアにさんにお土産が」
「?」
「新しいカチューシャです」
 稲生は緑色のカチューシャを取り出した。
「前回は赤いのでしたけど、今度は緑にしてみました。ほら、マリアさん、よく緑色のブレザー着るでしょう?それと合うかなーって」
 前回赤いのにしたのは、逆に緑のブレザーとのコントラストを考えてみた結果であったが、今度はあえて合わせるというものらしい。
「あ、ありがとう……。後で着けてみる」
 マリアは照れているのか、顔を赤くして受け取った。
「せっかくだから、ちゃんと髪を洗ってからにしたい。さっき、クリスティーナ達と走り回って、少し汗をかいたから」
「走り回った?」
「魔道師は体力が無いのがベタな法則だから、少し運動して体力を付けようってことになって……」
「そうでしたか。まあ、気が向いた時にでも着けてくださいよ。カチューシャ、いっぱい持ってるみたいですね」
「まあね。ありがとう」

 稲生はマリアと良い関係を築いているようだ。
 まだエレーナを除く他の魔女達からは警戒されているようだが、いつかは打ち解けられる日が来るのだろうか。
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本日の雑感 0219

2016-02-19 10:16:21 | 日記
 法華講川柳だが、あれを“あっつぁブログ”でやっていたら、間違い無くフクロにされていただろう。
 わざわざ当ブログまで来てくれて、漏れなく“放火”してくれたかもしれない。
 私は仏法の全てを理解しているわけではないから、やっているうちに矛盾点というのが見えてくる。
 大局的に見れば何かしらの整合性はあるのかもしれないが、荒凡夫の私にそれを理解しろというのはどだい無理な話だ。
 そこで法華講川柳でもやって、その辺の憂さ晴らしでもしようってのが趣旨であったわけだ。
 顕正会は突っ込み所満載だが、宗門・法華講にも突っ込み所はあるということ。

 さて、“大魔道師の弟子”はそろそろ一段落ってところで、あと残っているのは単発的なネタだけだ。
 そろそろ“アンドロイドマスター”の続編でも考えておきたい。

 魔法使いの話をやっていたら、昨晩は変な夢を見た。
 仕事の疲れもあるのだろうが、こういうものだ。

 ムスカ大佐。
 この名前を知っている人は、ジブリファンであることは間違いない。
 “天空の城ラピュタ”の大ボスだな。
 それが何やら電話で、“魔女の宅急便”のキキに仕事の依頼の電話をしていた。
 もちろん、キキに頼む仕事だ。
 荷物運送の依頼であることは間違いない。
 原作小説ではアニメの続きが書かれていて、空を飛ぶ以外の魔法も使えるようになったようだが、それは置いていて……。

 ムスカ:「ああ、キキ君。私だ。今日、例のブツを運んでもらいたいのだが……。なに!?今日はトンボとバレンタインデート!?……まさか魔女ともあろうキミが、西方教会の殉教者を追悼する行事に参加するとは……見損なったよ。よろしい!ならば救世軍一個連隊を派遣してやる!逃げるでないぞ!」

 というもの。
 ……どうやらムスカ大佐、リア充達に何か言いたかったようです。
 ってか、例のブツって何だよ?飛行石か?
 救世軍って、魔女狩りやってたっけ?
 てか、もはや救世軍の時点で西方教会じゃないし。
 疲れた時に見る夢は、とても変なものである。

 因みにうちの魔女は、エレーナしかホウキで空を飛ばんのだが。
 もう1人、ホウキで空を飛ぶ魔法使いでも考えておくか。
 変な夢は置いといて、今度は魔法から空想科学の方へのシフトを考えることにしよう。
 ……したら、今度は巨神兵が出て来たりしてな。
 ああ、そうそう。
 “新アンドロイドマスター”の終盤辺りに、日蓮正宗が出て来た(上に大石寺まで出て来た)けど、あれは全ての伏線が回収できなかった。
 全く、素人が書くと困ったものだ。
 いや、ケンショーレンジャーがサイボーグ改造されたという話があるのなら、当然ソッカーも……という風にしたかったんだけどね。
 本当は偽本尊だけが燃えてしまう設定にしたかったんだが、両方燃えてしまった展開になってからおかしくなったね。
 まあ、続編で改宗……おっと、回収できる分には回収しよう。

 今日は乗りバスでもやって、大宮にでも行ってくるか。
 往路の新幹線のキップは購入したので、今度は復路を買ってこないとね。
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“大魔道師の弟子” 「信州帰行」

2016-02-19 00:28:12 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月26日14:30.天候:晴 フジドリームエアラインズ212便機内 稲生勇太、マリアンナ・ベルフェ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

 稲生達を乗せたジェット機は5分遅れで、新千歳空港を離陸した。
 離陸する時の加速など、飛行機にまだ乗り慣れていない稲生には手に汗握るものであった。
 飛行機は大型機ではなく、中央の通路の両脇に2人席が並んでいるだけというものだった。
 窓側にマリア、その隣に稲生が座り、マリアの前にイリーナが座っている。
 イリーナの隣に座る者はいなかった。
 離陸後、水平飛行に入ってシートベルト着用サインが消えると、イリーナは空港で買った空弁に手を付けた。
 稲生達は、CAが配る飲み物を受け取る。
「マリアさんが鼻息荒くして、横田理事を追い回した時には驚きましたよ」
 稲生がコーヒーに砂糖を入れながら、マリアを見て言った。
「さすがに脱衣所忍び込みと、下着泥棒は立派な性犯罪だと思っている。あのヘンタイ野郎、10着も盗んでやがった」
「10着も!?ひえー……」
 その横田、盗んだ下着には大してこだわりは無いらしい。
 ただ、盗まれた被害者の女性達が、最年少は9歳、最年長が42歳と年齢にバラつきがあり過ぎた。
 横田にとっては、女児ショーツでも派手なヒモパンでも何でも良いらしい。
 マリアのような、女子高生向きのものでも似合う者など、しっかり対象に入っているということだ。
「じゃあ、今頃横田理事は警察の御厄介に……」
「いや」
 マリアは首を横に振り、そして不気味な笑みを浮かべた。
 目の瞳孔が収縮するのかブルーの瞳がグレーのようになり、中央に小さな黒点が入る。それは“魔女の目”である。
「“魔女”が性犯罪者を、フツーに警察に引き渡すわけがないだろう。日本の法律は緩いからな」
「で、では……」
「取りあえず、一緒に長野まで飛んでもらうことにした」
「は???」
 稲生は周囲を見たが、横田らしい姿を見ることはできなかった。
「私達からは見えない位置にいるよ」
「な、何か気になるなぁ……」

「……ハァ、ハァ……!も、もっとキツく縛ってくださいぃぃぃぃぃ!」
 盗んだ女性のショーツを頭に被りつつも、尾翼に括りつけられている横田。
 信州まつもと空港着陸後、彼の運命や如何に?

[同日16:50.天候:晴 松本バスターミナル 上記メンバー]

 飛行機はほぼ定刻通りに着陸した。
 その後、松本駅に移動する為にエアポートシャトル(アルピコ交通バス)に乗り換えた。
 といっても、乗車時間30分では、普通の路線バスであったが。
 バスターミナルと駅は、目と鼻の先である。
「先生、大糸線に乗り換えるには時間があります」
 稲生が残念そうな顔をした。
「それじゃ少し早いけど、ここで夕食でも取って行きましょう」
「いいんですか?」
「それなら時間ある?」
「ええ、大丈夫だと思います」
 稲生は頷いた。

「……止まった駅ごと〜♪変わる人達〜♪どこかで必ず〜♪また会える〜♪……キミは今〜♪北海道〜♪」
 マリアの使役人形、ミク人形ことミカエラとハク人形ことクラリスが、今さら“北の大地”を歌っている。
 JR北海道の社歌だが、ダークダックスの持ち歌でもある。
 本当に社歌として歌う場合、最後の歌詞が『JR北海道』に変わるらしい。

 バスターミナルのビルには飲食店が入居しており、そこで魔道師達は早めの夕食を取った。
「もう少しで帰れるね。あと電車の乗り継ぎはどれくらい?」
 イリーナが稲生に聞いた。
「松本発、信濃大町行き普通列車と、信濃大町発、南小谷行き普通列車に乗るので2回ですね」
「そうかい。なかなかいい旅じゃないか。でも、不便なようで便利でしょ?」
「そうですね。よく魔界では徒歩で旅をしたものですよ」
「人間界では、ローカル線とはいえ、ちゃんと電車が走っているんだから、これほど楽なことはないよ。あ、白馬駅からはさすがに迎えを呼ぶけどね」
「ありがたいです」
「でも、さすがに疲れました。帰って早く休みたい」
 と、マリア。
「まあ、気持ちは分かるけどね。日付が変わるまでには帰れるさ。ねえ、ユウタ君?」
「ええ。白馬着19時40分です。日本の鉄道はローカル線でも時間に正確ですから」
「だよねぇ……」
 魔界高速電鉄の電車には、基本的に時刻表表示が無い。
 地下鉄や路面電車だと、『現在、10分間隔』とか、高架鉄道だと『先発 急行。前駅発車』『次発 各停。前々駅発車』という表示があるくらいだ。

[同日17:59.天候:曇 JR大糸線3243M電車内 上記メンバー]

 日が暮れた頃に、長野県の北へ向かう電車が発車した。
 イリーナはドア横の席に座り、仕切り版にもたれ掛って寝入りの体勢を取っていた。
 マリアはそんなイリーナと稲生の間に挟まれるようにして座っているが、マリアは魔道書を取り出して、それを読んでいる。
 ダンテ著の魔道書はラテン語で書かれており、それはマリアも読めない為、専用の眼鏡を掛けていた。
 赤い縁の眼鏡である。
(マリアさん、眼鏡も似合うな……)
 夕方のラッシュのせいか、電車は211系3両編成で、それはロングシートのみの電車である。
 どうせならマリアと向かい合って座りたかった稲生だが、これはこれで体が触れ合うので、いいかもしれない。
「……ユウタ」
「はい!?」
「私を見るのもいいけど、そろそろ魔道書を読んでいた方がいいよ」
「あ、はい。そうですね!」
 そういえば魔界に行ってたり北海道に行ってたりしてた為に、なかなか魔道書を読む期間にブランクが出てしまっていた。
 稲生も荷物の中から魔道書を出すと、それに目を通した。

[同日20:15.天候:雪 長野県白馬村郊外・マリアの屋敷 上記メンバー]

 信濃大町駅から、また電車に乗り換えた。
 今度はE127系の2両編成だったが、こちらはボックスシートがあって、それに座ることができた。
 その電車で更に北上を続けると、途中で雪が降り出してきた。
 迎えの車はイリーナが頼んだこともあって、ベンツSクラスの高級車であったが、ちゃんとチェーンを巻いているほどの積雪であった。
「何だか、久しぶりに帰って来たって感じだなぁ……」
 稲生は車を降りながら、マリアの屋敷を見上げた。
 稲生を魔界に吸い込んだ魔法陣のあった場所は、雪に埋もれてしまっていた。
 だから、まだ魔法陣があるのか、はたまた消えてしまったのかは分からない。
 元々除雪をしない裏庭にあった場所だから、実際にあるかどうかは長野県北部に遅く訪れる春を待たないと直接確認はできないだろう。
「さあ、今夜はゆっくり休んで、明日に備えるよ。魔界に行ったことは実技修行ってことにするけど、それ以外の修行は疎かになってるからね」
 イリーナは弟子達に言った。
「はーい」
「分かりました」
 魔道師達は屋敷の中に入ると、各自分の部屋に向かった。

 稲生の部屋はメイド人形達が掃除してくれていたおかげできれいになっていた。
 シャワーとトイレ、洗面台は部屋備え付けだが、バスタブは共用である。
「あ、ダニエラさん。僕、今夜は風呂に入りたいんだけど……」
 メイド人形のダニエラに言うと、ダニエラは頷いて風呂の用意をしてくれた。
 エントランスホールを挟んで東西のエリアに分かれている洋館だが、東側を使っているのは稲生だけの為、共用と言っても、ほぼ稲生専用である。
 逆に西側に住んでいるマリアとイリーナに気を使って、稲生が西側のバスルームを使うことはない。

 こうして魔界への強制旅は終了し、無事に帰ることができた。
 それでも、“魔の者”からの脅威が消えたわけではない。
 しつこさが特徴の悪魔であるため、未だに稲生を狙っている恐れがある。
 脅威が無くなるまで、しばらく警戒は続きそうである。
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