報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

人間模様

2013-06-26 19:37:46 | 日記
 初音ミクはネギが好きだ。あいにくと、私は嫌いだ。

 先輩Tは初めて乗った野田線で、早々と60000系に乗れたそうだ。しかし、8000系に乗ったことはない。

 友人Tは高速バスで日野・新型セレガによく乗ることがあるが、三菱ふそう・新型エアロに1度も乗り合わせていない。私は新型エアロばっかりで、正直飽きている。

 友人Nは学会員の熱心な折伏に悩まされている。私は法華講員の熱心な折伏に悩まされた。

 友人Sは日・祝しか休めない仕事のために、平日私事が頻発すると困る。私は日・祝休めない仕事のために、休日私事があると困る。

 同志Hは絵が上手いが、文章を書くのが苦手だ。私は絵を描くのは苦手だが、文章を書くのが好きだ。

 同志Kは曲を作るのが好きだが、作詞が苦手だ。私は作詞もできるが、曲作りはできない。

 でも皆、ボーカロイドが好きだ。

 嗚呼、人間模様。

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 “ボーカロイドマスター”より。更に続き。

 南里の緊急手術が行われた。
 後で駆けつける敷島達。
「先生の具合はどうだ!?」
「今、手術が行われています」
 ルカは俯き加減に、平賀の質問に応えた。
「院長先生が、全力を尽くしてくれるそうですが……」
「この病院の院長先生と、南里先生は旧友だからな。……くそっ!何でこんなことに……!」
 平賀は拳を壁に叩きつけた。
「ちょっと失礼します」
 敷島はケータイ片手に、通話可能場所まで移動した。
「ルカ、経緯を説明してくれないか?ここ1年、先生の体調は良かったはず。それが急に心臓発作なんて……」
「そ、それは……」
 ルカは敷島が立ち去った方向を見た。
「敷島さんが・原因です」
「え、エミリー!」
「なに?どういうことだ?」

「ええ。どうやら、事態は深刻のようです」
 敷島はケータイで、大日本電機本社の上司と通話していた。
「手術成功の是非を問わず、プロジェクトを推進するなら今のうちです。今なら本人も口出しができないでしょう。大丈夫です。エミリーは他のボカロ達と違って、南里所長が私有しているものです。また、彼は天涯孤独で財産を相続する遺族もいない。我が社でエミリーを手に入れることは可能です。そうすれば、量産化プロジェクトを進めることができるかと。……ええ。既にそのプランは立っています。……ありがとうございます。それではまたご連絡します。……ええ。手術後にでも。失礼します」
 ピッと電話を切る。その時、気配を感じた。
「あっ、平賀先生?すいません。本社から着信があって……ははは……。手術、成功するといいですね」
「敷島さん……。自分はどうやら、敷島さんという人間を見誤っていたようだ……!」
「な、何がです?」
「あんたは先生の財産を乗っ取る気か!?」
「財産乗っ取りなんて、人聞きが悪い。私はただ最悪の事態を想定して、これから取るべき行動を……」
「主人公が悪役だったなんて、普通のラノベにすら無い話ですね!」
「何の話ですか?」
「敷島さん。私は・ドクター南里が・亡くなられたら・完全機能停止する・システムが・組み込まれて・います。メモリーも・何もかも・消去されます」
「な、何だって?……あ、いや、それでもいいさ。設計図と元となるボディが手に入ればな」
「やっぱりそうだったか!本音が出たな!」
「プロデューサー。冗談ですよね?」
 ルカが懇願するような顔をした。
「アイドル活動が重点過ぎたせいでボカロの量産化は遅延したが、エミリーのようなターミネーチャンが量産化できればいいことになったんだ!」
「ミクが悲しみます!」
「ああ、ミクね。残念だったな。大日本電機でイチオシだったのに。せめてミクだけでも、先に量産化したかったけどな。それも妨害したジジィが悪い」
「先生は妨害なんかしてない!強過ぎる商業主義に警鐘を鳴らしただけだ!」
「平賀先生、私は大日本電機からの出向社員ですよ?商業主義なのは当たり前でしょう?」
 そこへ、院長が走ってきた。
「ここにいましたか!」
「院長先生、南里先生は!?」
「全力を尽くしましたが、残念ながら……」
「そ、そんな……!」
「!!!」
「プロデューサー!?何してるんです!?」
 ルカが叫んだ。敷島はエミリーの口の中に何かねじ込んだ。
「舌は噛ませんぞ!今からお前は大日本電機の所有だ!こっちへ来い!」
「なっ……!?そんなことまで知ってたのか!?」
「平賀先生も人が悪い。エミリーが自分自身で完全に機能停止すること、メモリーも何もかも消去する為には“舌を噛み切る”のが起動スイッチだったことを教えてくれないんですから」
「誰がそんなこと教えられるか!いい加減にしろ!ルカ、こいつを引き離せ!……ルカ、何やってる!?」
「もう……何もかもダメね……」
「泣いてないで、何とかしろ!」
「……ん?」
 その時、敷島の動きが止まった。
「これは……?」
 平賀も気づいた。どこからか歌声が聞こえる。
「これは、ミクの声?」
 ルカがそれに気づいた。
「どうしてだ?研究所にいるはずなのに……」
 敷島の耳に聞こえてきたのは、ミクが初めて敷島の前で聞かせた歌。
「お、おい!ミクはどこにいる!?やめさせろ!」
「敷島さん!?」
 平賀は敷島の様子がおかしいことに気づいた。
 ルカは意を決して、ミクの歌に合わせて自分も歌い出した。いつの間にか、リンやレン、MEIKOやKAITOの声も聞こえてくる。
「うっ!」
 振り払ったエミリーが、敷島の後頭部に衝撃を与えて気絶させた。
「エミリー!?」
 エミリーは詰め物を取り出した。
「ご安心ください。今すぐには・起動しません。ドクター南里の・遺言が・ありますので」
 エミリーは倒した敷島を抱え起こすと、静かにそう言った。
「遺言?」
コメント (4)
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梅雨空

2013-06-26 15:09:31 | 日記
 家を出る時にはパラついていて、空を見るとまだ明るかったので傘を持って行くかどうか迷ったが、持って行って正解である。仮に出る時に雨が降ってなかったら、
「まあいいか」
 とタカをくくって、大変な目に遭っていたことだろう。これもまた御加護の1つであると、捉えておきたい。
 とはいうものの、今日の外出はあくまで癒し目的であり、こんな雨の中わざわざ行く必要があるのかというと【お察しください】。

 こんな平日でもアニメ関係のショップはそこそこ賑わっているもので、恐らくは私のような平日休みの仕事に就いている者が客として訪れているのだと信じたい。ああ、分かっている。中には自宅警備員みたいなのがいるが、あえてそれには目を向けない。
 つぶやきで、恐らくはラノベに分類されるであろう小説を10万部売り上げたことを自慢していた顕正会男子部員がいたが、アニメイトに行ってみて気づいた。
 確かに10万部売れるのはヒットである。ヒットではあるが、ああいった店で大々的に紹介されている作品群は、更にその10倍以上売れているものなのである。
「業界ナメるな!」
 とは、私の同志(違うサークルの知り合いのクリエイター)の言。
 法華講の同志より、こっちの同志の方がどうしても繋がりが濃い。

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 “ボーカロイドマスター”より。前回の続き。

「兄ちゃん、早く早くぅ!」
「プロデューサー、もっと急いで!」
「無茶言うな、お前ら!速過ぎるって!」
 ボカロの中で1番身体能力に優れているリンとレンが敷島を急かす。
 だいたい、MEIKO達が対処できなかったら、エミリーは自身に搭載されているブースターや超小型ジェット・エンジンを駆使して、すぐ敷島に追い着くだろう。
 ところが、だ。敷島達の脇を赤色灯を点灯させ、けたたましいサイレンを鳴らした救急車が通り過ぎて言った。
「…………」
 敷島は嫌な予感がした。
 その時、ケータイが鳴り響く。
「はい、もしもし!?」
{「プロデューサー。KAITOですが、大変なことになりました」}
「MEIKOとルカが負けたのか!?」
{「いえ、勝負は中止です。ドクターが倒れました」}
「はあ?!」
{「僕が発見した時には、既に心肺停止状態で。さっき、119番通報をしたのですが……」}
「な、何だってー!?」

 敷島達が研究所に取って返した時には、既に救急車が病院に向けて出発したところだった。
 因みに付き添いには、エミリーとルカが乗っている。
「エミリーをぶん殴っといたよ。ドクターが倒れてるのに、何してんのって!自分の親の命令じゃなくて、命が最優先だろって言っておいたよ」
 MEIKOが腕組みをして言った。
「その通りだな」
「何とか救急隊が駆けつける前にAEDを使用してはみましたが、果たして上手くできたかどうか……?」
 KAITOはAEDと心臓マッサージをしたという。
「いや、よくやった。お前にそんな特技があったとはな。……ん?」
 そこで敷島が気づく。
「ちょっと待て。この研究所、AEDなんてあったか?」
「プロデューサー。僕達も電気で動く者です。僕の予備バッテリーを使いましたよ」
「そ、そうか」
 右手と左手をパット代わりにして、そこに電気を流せばAEDの代わりになるという。 敷島は事務室にいて、財団を始めとする関係各所に電話していた。
 しばらくすると、電話が引っ切り無しに掛かってくる。
「たかおさんは、病院に行かなくていいんですか?」
 と、ミクが言う。
「電話番してないとさ」
「いいよ。電話番なら、私がするから」
 と、MEIKO。結局仕事はキャンセルしてしまった。
「そういうわけにはいかない。アイドルに電話番させる事務所がどこにある?」
「もうすぐ平賀博士と七海さんが来るみたいですから、七海さんと交替して行かれるといいでしょう」
「……そうだな」
 すると、MEIKOが敷島の胸倉を掴む。
「いつまでもヘソ曲げてんじゃないよ、ヘボプロデューサー!」
「MEIKOさん!」
 ミクが慌てて止めに入る。
「これでドクターが死んじゃったら、プロジェクト自体が中止になるかもしれないのよ!?」
「……分かったから、放してくれ」
「兄ちゃん、平賀博士が来たよ!」
 窓の外を見ていたリンが言った。
「すぐに七海と交替して、病院に向かうよ」
 敷島はそれだけ言うと、上着を着込んで事務室を出た。
「……たかおさん、遠くへ行っちゃった……」
 ミクが寂しそうに言った。
「え?病院、そんなに遠いの!?」
 レンが驚く。
「いや、同じ区内の泉北病院と聞いてるよ」
 KAITOが言った。
「まあヘタしたら、心臓専門の病院に転院することになるかもしれないが、それだって市内だろう?」
「ミクの言ってることは、そういうことじゃないの、男ども」
 MEIKOは腰に手を当てて言った。
コメント
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