報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

ユタさんぽ

2013-06-15 19:19:48 | 日記
復興庁幹部ツイッターで暴言、市民団体に「左翼のクソども」 処分検討(産経新聞) - goo ニュース

 プロ市民の対応もしなきゃいけないから大変だ。今は左翼系の方がプロ市民が多いというから、ツイートしたくなる気分も分かるがね。
 何もツイートしなくてもさ、匿名でヤフコメか2ちゃん辺りに書き込めばスッキリするぜ。多くの“住民”達が賛同してくれるよw

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 “ボカロマスター”より。

「そこを是非何とかなりませんかね?」
「私も同意見なのですが、いかんせん財団が首を縦に振ってくれないんですよ」
 敷島は劇団幹部2人と話していた。豊田と鈴木といった。
 ミュージカルが大成功裡に終わってから3ヶ月が経った。
 ミュージカルの原作は続編があることから、劇団ではそれもミュージカルにしようという意見が上がっているのだそうだ。本田事務局長も乗り気らしい。
 しかし続編の主役と準主役はリンとレンではないものの、2人が登場することに変わりはない。
 ネックなのはレンの謹慎が未だに解除されていないことなのだ。当然ながら謹慎中は、一切の仕事が許されていない。
「しかしレン君を唆したMEIKOさんは謹慎が解除されてるんでしょう?」
 豊田は眼鏡を押し上げて言った。敷島は困惑するような顔をした。
「財団側の主張ですと、レンの方が知名度が高く、また日本一の劇団で準主役を務め上げたボーカロイドが実行犯になったことの方が罪が重いとのことです」
「しかし……」
「ええ。唯一の被害者である私は、元より被害届など出す気は無いんですが。出すとしたら、そもそも大元のウィルスを開発してばら撒いたウィリアム・フォレスト博士に対してですね」
 鈴木が豊田に言った。
「豊田さん、何とか台本をレン君が登場しないようにして……」
「いや、そりゃ無理だ。原作者から、『あくまで原作に忠実にするように』という絶対条件が出されてる。続編と言えど、原作ではそれでもレン君が登場していることから、それはできない」
「困りましたね……。何とか財団の理事長を説得するしかないでしょうか?」
「そういうことになるかな」
「申し訳ありません」
「いや、敷島さんが悪いんじゃないんですよ」
「ネットでは、続編もミュージカルにしてほしいという意見が殺到してるんですよね」
「ええ」
「一部のファンは、レンの謹慎処分を『不当だ』として、財団にも苦情が行ってるんですよ」
 と、敷島は明かした。
「それなのに解除しないんですか?」
「『ロボットが人間に殺人未遂などけしからん。壊してしまえ』という理事会の意見もまだ根強いので……」
「あ、そうだ。確かこの前、過激なファンから『財団事務所に爆弾を仕掛けた』という書き込みがあって、大騒ぎしたそうですね?」
 鈴木が思い出したかのように言った。
「ええ。昨日も書かれたそうですよ。さすがによくやりますよねぇ……」
 敷島が頷いた時、自分の携帯電話が鳴った。
「ちょっと失礼します」
「いえ」
「はい、敷島です。……あっ、赤月先生。今、商談中でして……どうしました?……は?え?財団事務所が爆発!?」
「!」
「!?」
「……今、テレビで!?」
 豊田は咄嗟に手持ちのスマートフォンを見た。それでワンセグを見る。
「……あっ!?」
 鈴木が覗き込む。
 財団事務所の入っているビル。財団事務所が入居しているフロアの窓ガラスが吹き飛び、黒々とした煙がモクモクと噴き出ていた。
「赤月先生、大丈夫なんですか!?」

「私はたまたまお手洗いにいたので、直接爆発に巻き込まれることはなかったんですが……」
 赤月はビルの外に避難していた。
「もう少し下がってください!!」
 警察が黄色いテープで規制線を張り、赤月はそこから追い出された。
 そして、急に涙声で言う。
「リンとレンがまだ中にいるんです!」
{「何ですって!?……あ、いや、ちょっと待った。彼らは攻撃力は持たないけど、結構な耐久力はあるはずですよ」}
「理事長室が……火に包まれて……」
{「げっ!」}

 敷島はタクシーに飛び乗り、財団事務所へ向かった。
 隣の区まで行くのに、かなり時間が掛かった気がした。
「ここから先は行けません」
 爆弾が爆発したということで、大通りですら交通規制が敷かれていた。
「ここで降ります」
 敷島はタクシーを降りた。
 もちろん、現場に行けないのは知っていた。警察官に止められるのがオチだろう。
「ん!?」
 その時、規制線の最前辺りにできている人だかりから大きな歓声らしいのが上がった。
「ちょ、ちょっとすいません!通してください!すいません!」
 敷島は人だかりをかき分けて進もうとするが、思うように進めない。諦めて、人だかりの外に出て、ワンセグを見てみた。多分今、テレビなどが中継をしているはずだ。
 赤月も現場から離れているとのこと。
〔「正に、奇跡です!ビルの中から日本アンドロイド研究開発財団の熊谷理事長が助け出されました。助けたのは……金髪の、えー……男の子と女の子ですね。あっ、今女の子の右腕から火花みたいなものが……あっ、今度は男の子の左足から火花が飛び散りました」〕
「リン、レン!無事だったのか!」
 だが、画面を見るに、満身創痍といった感じだった。
 敷島は必死の思いで人混みをかき分け、規制線内に飛び込んだ。
「あっ、ちょっと!」
 警察官が咎めるが敷島はそんなことは聞かず、リンとレンの所に駆け寄った。
「リン!レン!」
「兄ちゃ……」
「プロデュ……サ……」
「無事だったんだな!良かった良かった!」
「理事ちょ……が……」
「分かってる!分かってるよ!」
 熊谷は意識が無かったが、すぐに救急隊がやってきた。

『ボーカロイド、お手柄!』『熊谷理事長を咄嗟にかばう』『満身創痍の救出!』
 地元の新聞に、こんな見出しが躍った。
 しかも敷島がリンとレンを抱きしめている所まで写真に撮られて、掲載されていた。
「そうですか。理事長もリンもレンも無事だったんですね……」
 赤月が研究所に戻ってきた。
 あの時、赤月はリンとレンを連れて熊谷理事長に直談判に行ってたそうだ。そこへ隣の倉庫が爆発を起こし、理事長室の壁が崩れたところをレンが庇ったのだという。
「全員大ケガですが、理事長の命に別状は無いですし、リンとレンも所長と平賀先生に修理してもらっています」
 敷島はホッとしていた。
「しかし……肝心の理事長が入院中じゃ、直談判はもう無理か……」
「それなんですよねぇ……。財団があんな目に遭っては、そもそもレンの謹慎解除云々どころじゃないですよね」
「いっそのこと、ドサグサに紛れて勝手に謹慎解除にします?」
 敷島は目の奥を光らせて言った。
「な、何言ってるんですか、敷島さん!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする