報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

本日2本立て

2013-06-14 20:50:57 | 日記
 ついにソッカー動き出す!大宮の町は大丈夫なのか!?旧中山道スクランブル交差点の混雑は解消されるのか(←関係無い!)!?自分の車でなくても、スクランブル交差点に閉じ込められた時の気まずさは【お察しください】。

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 “新人魔王の奮闘記”より。まだ、続けられる……なぁ。

 元は先王ガリバルディ3世がふんぞり返っていたであろう玉座。
 しかし今そこに座っているのは、隣国より嫁いできたはずの王子であった。
 難しい顔をしているが、そこに座っている金色短髪の男は、間違いなくスティーブン本人であった。
 本当なら同窓会ものであるが、しかしここは立場を弁えなければならない。
「スティーブン殿下におかれましては【中略】、僭越至極に存じます。……」
 春明は右手を胸に当て、深くお辞儀をして口上を述べた。
「此度はルーシー・ブラッドプール1世陛下の名代として親書を預かり、まかり越して参りました」
 スティーブンは宰相シドに受け取るように指示した。
 スティーブンは相変わらずニコリともしない。
 パーティを組んでいた頃は、ほんわかした人物だった。
 それが王族に戻ってから冷たくなった。そんな印象だった。
 だが、春明自身も政治に携わるようになってから、その理由が痛いほどに分かっている。もし変わったのが外面だけであるなら、もしかしてこの後……。
「ルーシー殿の御厚意、真に痛み入るものである。しかし我が国は政権交代直後で、安定期に入っておらぬ。仮に支援を求めることになる時は、具体性を持って支援を願うことになると思うので、今ここではっきりとした返事をすることはできない。名代のアベ首相におかれては、返書をしたためるまで、別室にして休憩なされよ」
「ははっ……」
 昔は対等の立場だったのだが、たった数年で変わってしまった。
 そしてそれは、もちろん役職という外面だけである。

 春明が豪華な調度品が並んだ応接室で休んでいると、スティーブンが入って来た。
「やあ、さっきはゴメン」
「いやいや、分かってるよ」
 スティーブンは白い歯を輝かせていた。そのあまりの豹変ぶりに唖然とするサイラス。
「慇懃な態度を取らないと、なかなかこっちの国の連中は言うこと聞いてくれなくてさ。悪かったね」
「いや。多分そんなことだろうと思ったよ。うちも似たようなものだから」
「しかし珍しいね。ダークエルフの護衛を連れてるなんて。やっぱり“魔の森事件”は本当だったんだ」
「まあね。こっちも前政権を駆逐するのは大変だったよ。そっちも、ガリバルディ王とゼルダ王女、その他の政権幹部を全員死刑にしたんでしょ?」
「直接俺が討ったのはガリバルディ王だな。救い難い悪辣王だったからね。その他の近臣達も一部を除いて、公開処刑にするしか無かったな」
「その度にスティーブンの支持率が上がったんだから、随分ボロいよな?え?」
「それだけ前政権がメチャクチャな政治をしていたってことだよ」
 スティーブンは紅茶を口にしながら言った。
「いつ決断した?」
「結納の時。明らかに城下の様子がおかしい。貧しい国だと思っていたけど、王城はご覧の通り、国の財政に似合わぬ豪華絢爛ぶりだ。案の定、国王と王女がやりたい放題で、国民から搾取していた」
「結婚したらこの国の実権も少しは手に入るだろうから、その時に是正するという手は?」
「“マスオさん”状態でそれができると思う?『傀儡王子』になるのが見え見えだった。だから決行した」
「いい判断だ。もう1度言うけど、支援については本当に遠慮しなくていいんだよ?いざとなりゃ、ルーシーなだめて王室予算回すから」
「いや、何とかやっていける。逆に国民に対して減税しても大丈夫なくらいだ。それだけの重税を、あいつらは課していたんだ。俺がやらなくても、いずれ国民達が立ち上がっていただろう」
「そのレジスタンスに協力してたこともあったな、昔?」
「ああ。懐かしいな。ジョージのヤツ、バズーカぶっ放してたよな?」
「いや、確かAK-47程度だったと思うよ、あの時は」
「そうだっけ?」
「だって今俺が持ってるAK-47、ジョージからもらったヤツだし」
「そうだったか。さすがは武器商人の息子。今何やってる?」
「人間界に戻って、今頃はソマリア辺りで暴れ回ってるんじゃない?」
「あれ?この前、俺が聞いた時はスーダンだって聞いたけど?」
「南スーダンが独立したんで、次の紛争地域に向かったらしいぞ。それがソマリア」
「あいつはこの世界より、人間界の方が向いてるのか」
「だろうね。剣と魔法のファンタジーの世界で、ランチャーぶっ放されちゃたまらんよ」
「ははははは!」
 と、そこへ、衛兵が慌てて入ってきた。
「失礼します!殿下!」
「バカ者!国賓と会談中であるぞ!ノックくらいせんか!」
 スティーブンは衛兵を叱り付けた。
「も、申し訳ありません!」
 衛兵は慌てて敬礼した。
「まあまあ、殿下殿。(どうせただの昔話なんだし……)で、何かあったの?」
「大変です!ゼルダ王女が脱走しました!!」
「え!?処刑してなかったの!?」
「バカ者!国賓の前でそんな重大なことを報告するな!!」

「俺達はあまり長居しない方がいいんじゃない?」
 春明はスティーブンに耳打ちした。
「そういうわけにはいかない。せっかく遠くから来てくれたんだ。これじゃうちが国賓を追い返したことになってしまう」
「いや、だからそこはさ……」
「それに今、城下全域に戒厳令を敷いた。それと国中に触れを出している。すぐに捕まるだろうから、それまでゆっくりしててほしい」
「何だって脱走できたんだ?てか、何で処刑しなかったんだ?」
 内政干渉になるからあまり口出ししたくなかったのだが、春明には納得できなかった。
「ゼルダ王女も被害者だからだよ」
「えっ?」
「あんな暴君国王の下で育って、国民思いの王女様になれると思うかい?」
「一般民衆ならまだしも、王族は違うだろ?」
 そこは春明とスティーブンで意見が食い違った。
「禍根を残さぬためにも、俺なら全員死刑にするけどな」
「ああ。アベ、お前の言うことは正しい。でも、王女には生き残ることで、贖罪してもらいたいと思っているんだ。彼女は被害者でもあり、加害者なのだから……」
「ダメだったじゃないか。脱走したってことは、全然反省していないってことだ」
「そうだな。とにかく、場合によっては死刑も止むを得ないだろう」
(そういうところ抜けているのは、スティーブンは昔から変わらんな)
 と、春明は思った。
(暴君親父の下で生まれ育った箱入り王女が、今更反省するわけねーだろが!)
 心の中でそう吐き捨てた。
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温泉でまったりした後は……。

2013-06-14 15:03:48 | 日記
 “新人魔王の奮闘記”より。

「偉大なるヴァール大魔王陛下の遺産の1つ、“飛行石”です!」
 春明達を乗せた飛空艇の船長オーゼルグは、機関室に春明達を案内した。
「こりゃまたRPGではベタなアイテムだな。てか、前魔王は死んでないぞ」
 機関室の中央には水色に光る大きな岩が鎮座していた。大きさは軽自動車くらいだ。
「魔王城旧館地下の“大水晶”に似通うものがあるな。あれじゃ、空飛べないけど」
 閉鎖された旧館には、やはり同じような大きさの水晶球が保管されている。
 魔王のみが持つことを許される“魔王の杖”で、いつでもON・OFFが可能な大魔力を持つ水晶球だ。
 国民の大多数である魔族を凶暴化させ、人間界に攻め込むことも可能にする兵器でもある。無論、ルーシーの政治理念に沿うものではないので休止状態だ。旧館自体、立入りが禁止されている。
「飛行石1つにつき、ルーシー陛下は飛空艇1艘の建造を命ぜられました」
「俺に内緒で王室予算こんな所に使ってたのか……」
 春明は呆れた。
「で、何艘あるの?」
「現在のところ4艘です。これで世界中どこへでも飛んで行けます」
「だろうなぁ……」
 今のところただの“空飛ぶ船”だが、これに大砲とか付けたら、立派な戦闘機になれそうだ。
 恐らくルーシーもそれを狙っているだろう。今の魔王軍に何か兵器を導入したいと言っていた。あくまでも目的は国防のためで、他国や人間界侵略のためではないというが……。

 アルカディア王国の空艇団基地を飛び立ってから約3時間後……。
「まもなく着陸態勢に入ります」
「しかし、向こうさんには飛空艇発着場なんてあるの?」
 春明はオーゼルグに言った。
「ございませんので、近海に着水します」
「は!?」
 飛空艇は船長の言う通り、海に着水した。
「あとは港まで海上を行きますので」
「あ、そうか」
 着水すると、あとは普通の船となった。
 但し、帆船やガレー船が普通のこの世界、何かしらの自走機関を持って進む船はやはり珍しいだろう。
(何だかんだ言って、うちの王国は技術力がいいのかな?)
 と、春明は自惚れてみたり。

 それから更に1時間ほど掛かって、ようやくオーランド王国の港に接岸した。
 例え国王の名代でも、政権ナンバー2の首相が来たからには何らかの歓迎ムードがありそうなものだが、革命後のゴタゴタのせいなのか、あまり無かった。
 さすがに、向こうからも宰相が迎えには来ていたが。
「アルカディア王国より、遠路はるばるお疲れ様です。私、オーランド王国宰相のラドと申します」
 革命後に宰相になったらしく、春明の聞いたことがない宰相だった。
「アルカディア王国首相兼共和党委員長、安倍春明です。女王ルーシー・ブラッドプール1世陛下の名代を仰せつかり、親書を預かり、スティーブン殿下にお届けに参りました」
「では早速、王宮までご案内させて頂きます。どうぞ」
 ラドは春明とあまり歳が変わらぬようだった。鼻に掛けるタイプの眼鏡を着用している。用意していた馬車に案内した。

 馬車で王都の街中を進むが、立て直しの最中という感じが見て取れた。
 血の雨が降ったのは王宮内のみということもあって、城下においては圧政により荒廃した街が活気づいていると言った感じだった。
 ここでも異世界通信社が壁新聞を貼っていて、春明のかつての仲間の賞賛記事が目についた。
 アルカディアシティと違い、魔界高速電鉄が営業していないせいか、大通りも路面電車の姿はない。
(懐かしいな……)
 街中で時折見かける軽装な鎧姿の冒険者を見ていると、ほんの数年前まで、春明達もその姿をしていたのを思い出す。今は燕尾服に大きな蝶ネクタイという出で立ちだが、果たしてスティーブンはどんな姿をしているだろうか。
 “賢者”という役回りをしていたので、白いゆったりとしていたローブを着ていたのだが……。
 市民達はアルカディア王国から首相が来るというのは知っていたようだが、ようやく圧政から解放された喜びの方が大きいらしく、あまりこちらの馬車に関心が無いようだった。

 王宮に到着する。さすがにここでは歓待された。しかし、あちこちで城は修復中だった。宮殿内を進む。
(まあ、内戦直後のうちの城よりはマシか……)
 そう思った。何しろ旧館と新館に分けて、旧館は放棄状態にまでしないとダメなくらいダメージを受けた魔王城と違い、こちらはあくまで“剣と魔法”で戦ったのだから、ダメージも少ない。
(ジョージのヤツ、ロケットランチャーぶっ放しやがったからな……)
 ……剣と魔法のファンタジーから程遠い勇者一行だったようだ。
「さあ、どうぞ、アベ閣下。殿下がお待ちです」
 ラドは謁見の前の扉の前で立ち止まると、春明達の方を振り向いて言った。
「ありがとう」
 アベはネクタイを直して、謁見の間へと入った。
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