“新人魔王の奮闘記”より。
アルカディア王国の王都アルカディアシティの街角、それに魔界高速電鉄駅構内の壁新聞が賑やかだった。
『ルーシー・ブラッドプール1世陛下、正式に戴冠へ』『第4回共和党大会で満場一致の採決!』『国民の声。人間:「大賛成」 亜人:「どちらでもよい」 魔族:「時期尚早」』
「バカな……!」
魔界高速電鉄の地下鉄線のある駅にて、壁新聞を見ていた1人の市民。
黄色一色の電車がホームに滑り込んでくる。その風圧で、新聞がバサバサと音を立てた。
「あの不良娘が……?信じられん!」
その頃、王宮では……。
「いや、ローラから聞いたんだよ」
「あのお喋りが!」
春明はルーシーの執務室で、ルーシーの過去を知った経緯について話した。
「まあ、とにかく、その“不良娘”がまさか魔王になれるなんて、普通はあり得ないわけだ。なっちゃおうよ。死んだローラも喜ぶと思うよ」
「そうかな……」
その時、横田が入って来た。
「先般の党大会における大感動は未だ冷めやらぬところでありますが、失礼致します」
「今度は何?私の下着ドロしたのを自首しに来たの?」
「ほんとかよ!?」
春明は目を丸くして横田を見た。
「め、滅相もございません。私の分析によれば、大いなる誤解でございます!」
「……ですってよ?陛下?」
「私の専属召使から聞いたんだけど、『陛下の下着はどれだ?』と、執拗に聞いてたらしいじゃない?」
「わ、私はただ、下着ドロから御守りさせて頂こうかとぉ……」
「何でそれをアンタがやるの!いい加減にしないと、本当に首刎ねるわよ!!」
「も、申し訳ございませんでしたーっ!」
横田は逃げるように執務室を飛び出していった。
「ったく……!理事は辞めてもらおうかしら?」
「まあ、いざとなったら、宮廷道化師代わりにいいんじゃない?」
「……で、結局アイツ何しに来たの?」
「あっ!?聞く前に追い返しちゃった。ルーシーが変なこと言うから……」
「何?文句あんの!?」
「いや、だからさ……」
そこへピエールが血相変えて飛び込んできた。
「大変です、陛下!閣下!」
「なに!?」
「城下で暴動です!魔族の国民が、陛下の正式戴冠に反対すると……」
「鎮圧しろ!首謀者は大逆罪で捕縛だ!抵抗する者もだ!」
春明が首相命令を下す。
「Wait!待って!」
ルーシーが春明の命令を差し止める。
「私の国民に対する理解が足りなかったようね。デモ隊を王宮前のバルコニーに集めて」
「何だって?危険だぞ!相手は人間のデモ隊じゃない!魔族の暴徒……ややもすれば、反乱軍まがいの……」
「だったら尚更、同じ魔族の私が直接説明する必要があるわね。こんなこと言ったら春明は怒るかもしれないけど、共和党議会というのは所詮、人間の集まり。だから人間の国民は私の戴冠に大賛成してくれてる。亜人は政治に無関心だからしょうがないとして、魔族はやっぱりこの魔界の大多数の国民だから……」
「しかし……」
そもそも、ルーシーを“魔王の代役”とすら認めていない者も結構いる。暴徒のほとんどは、それだろう。
「春明。私の命令よ。やりなさい」
「……どうなっても知らないよ」
アルカディア王国の王都アルカディアシティの街角、それに魔界高速電鉄駅構内の壁新聞が賑やかだった。
『ルーシー・ブラッドプール1世陛下、正式に戴冠へ』『第4回共和党大会で満場一致の採決!』『国民の声。人間:「大賛成」 亜人:「どちらでもよい」 魔族:「時期尚早」』
「バカな……!」
魔界高速電鉄の地下鉄線のある駅にて、壁新聞を見ていた1人の市民。
黄色一色の電車がホームに滑り込んでくる。その風圧で、新聞がバサバサと音を立てた。
「あの不良娘が……?信じられん!」
その頃、王宮では……。
「いや、ローラから聞いたんだよ」
「あのお喋りが!」
春明はルーシーの執務室で、ルーシーの過去を知った経緯について話した。
「まあ、とにかく、その“不良娘”がまさか魔王になれるなんて、普通はあり得ないわけだ。なっちゃおうよ。死んだローラも喜ぶと思うよ」
「そうかな……」
その時、横田が入って来た。
「先般の党大会における大感動は未だ冷めやらぬところでありますが、失礼致します」
「今度は何?私の下着ドロしたのを自首しに来たの?」
「ほんとかよ!?」
春明は目を丸くして横田を見た。
「め、滅相もございません。私の分析によれば、大いなる誤解でございます!」
「……ですってよ?陛下?」
「私の専属召使から聞いたんだけど、『陛下の下着はどれだ?』と、執拗に聞いてたらしいじゃない?」
「わ、私はただ、下着ドロから御守りさせて頂こうかとぉ……」
「何でそれをアンタがやるの!いい加減にしないと、本当に首刎ねるわよ!!」
「も、申し訳ございませんでしたーっ!」
横田は逃げるように執務室を飛び出していった。
「ったく……!理事は辞めてもらおうかしら?」
「まあ、いざとなったら、宮廷道化師代わりにいいんじゃない?」
「……で、結局アイツ何しに来たの?」
「あっ!?聞く前に追い返しちゃった。ルーシーが変なこと言うから……」
「何?文句あんの!?」
「いや、だからさ……」
そこへピエールが血相変えて飛び込んできた。
「大変です、陛下!閣下!」
「なに!?」
「城下で暴動です!魔族の国民が、陛下の正式戴冠に反対すると……」
「鎮圧しろ!首謀者は大逆罪で捕縛だ!抵抗する者もだ!」
春明が首相命令を下す。
「Wait!待って!」
ルーシーが春明の命令を差し止める。
「私の国民に対する理解が足りなかったようね。デモ隊を王宮前のバルコニーに集めて」
「何だって?危険だぞ!相手は人間のデモ隊じゃない!魔族の暴徒……ややもすれば、反乱軍まがいの……」
「だったら尚更、同じ魔族の私が直接説明する必要があるわね。こんなこと言ったら春明は怒るかもしれないけど、共和党議会というのは所詮、人間の集まり。だから人間の国民は私の戴冠に大賛成してくれてる。亜人は政治に無関心だからしょうがないとして、魔族はやっぱりこの魔界の大多数の国民だから……」
「しかし……」
そもそも、ルーシーを“魔王の代役”とすら認めていない者も結構いる。暴徒のほとんどは、それだろう。
「春明。私の命令よ。やりなさい」
「……どうなっても知らないよ」