日々是好日

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菅内閣不信任案の行方が菅総理の正体をあらわす

2010-06-16 15:37:03 | Weblog
昼過ぎに自民党が菅内閣不信任決議案を衆院に提出した。曲がりなりに筋を通したと言える。


これは15日朝日朝刊第四面の記事である。自民党谷垣総裁は菅首相の旧著「大臣」(岩波新書、1998)の中の記述を取り上げ、衆議院解散を迫った。確かに55ページには次のように著されている。

政策的に行き詰まったり、スキャンダルによって総理が内閣総辞職を決めた場合は、与党内で政権のたらいまわしをするのではなく、与党は次の総理候補を決めたうえで衆議院を解散し、野党も総理候補を明確にしたうえで総選挙に挑むべきであろう。

鳩山内閣は普天間基地問題では政策的に行き詰まり、政治とカネのスキャンダル漬けになった。まさにこの著者の述べる通りである。もっとも菅氏は53-54ページで

内閣の任期は衆議院議員の任期に連動すべきで、それは原則四年だという認識から、不信任案が可決されたときと総理が交代したとき以外、衆議院の解散はやたらにすべきではないと考えている。

と述べて、衆議院の解散に慎重な姿勢は示しているが、それでも「総理が交代したとき」と明記して、衆議院の解散と総選挙を容認している。決して上の主張と矛盾するものではない。そして民主党は野党時代にこの論法で自民党政権を責め立てた。

この谷垣氏の質問に対して菅総理は「国民の信を参院選で問うていきたい」と答えたのにとどまる。総理大臣になってから気が変わったので、とでも言い訳をした上での返答ならまだしも、これでは対話が成り立たない。それに誰しも考えれば分かることであるが、参院選はそもそも国民の信を問う場ではない。衆議院と参議院の誰にでも分かる唯一の違いは、衆議院が議員の任期半ばでも解散される場合があるのに対して、参議院は解散されることがない。そう定まっているからである。だからその時の風の吹き具合で議員に一度選ばれると、世論がどのように大きく揺れ動こうと6年間その席を温めることになる。国民に信を問うのであれば、衆議院の解散・総選挙しかありえない。

日本国憲法第69条(衆議院の内閣不信任)には「内閣は,衆議院で不信任の決議案を可決し,又は信任の決議案を否決したときは,10日以内に衆議院が解散されない限り,総辞職をしなければならない。」とある。自民党が不信任案を提出しても可決される可能性はないだろうが、これを引き金に菅総理が決断すれば衆議院解散・総選挙は現実のものとなる。菅内閣はなぜ衆議院解散・総選挙をしないのかとは私のかねてからの主張であるが現在午後4時前、もう答えは出たのだろうか。菅総理がかって清新の気持ちで政治に真摯に立ち向かっていた頃に著した本で宣言したことを今こそ実行し、自分の言葉に忠実な政治家としての根性を国民の前に示して欲しいと思う。