日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

大学の研究者に研究費を株取引で稼がせてはいかが

2006-06-27 18:11:55 | 学問・教育・研究
『剛胆』な教授がいたものである。毎日新聞は次のように報じている。

《早稲田大は23日、理工学部化学科の松本和子教授(56)が、国などの研究費約1470万円を不正に受け取り、うち1010万円を私的流用していた、とする同大調査委員会の中間報告を発表した。(中略)
 早大によると教授は99~03年度に、実際には働いていない学生ら延べ15人に対し、研究費を管理していた大学当局から「アルバイト代」計約1470万円を支払わせた。学生らには、受け取った金を教授名義の口座に振り込ませた。研究費は、文部科学省の科学技術振興調整費などだった。
 教授は02年4月に口座から1010万円を引き出し、900万円を投資信託で運用した。》

文部科学省の科学技術振興調整費の一部を学生の名義を借りて現金化して自分名義の口座に入れる、この手口は一部の国会議員でも秘書の給与の不正流用に使っていたので目新しいことではない。ユニークなのは現金化した研究費を900万円分投資信託で運用したという発想である。これは断じて家計にも疎い男の発想ではない。女性ならではのことである。投資信託先は公表されていないが、もしこれが福井日銀総裁が支援する村上ファンドなら確実に倍にはなっているだろう。

昨日(6月26日)の朝日新聞社説によると、松本教授は《今月初めに辞任するまで、文部科学省の研究不正防止のための委員会の主査代理》であったとのことである。『研究不正防止』というとよく問題になるのがデータの改竄とかでっち上げであるが、研究費の不適正使用も含まれるのだろうか、この辺りのことは今のところ分からない。

『アルバイト代』の金の流れは、その記録が銀行口座に残っているとのことである。このように堂々と記録を残しているのは、松本教授に『不正』という発想がもともとないのかもしれない。だからこそ投資信託という発想も素直に浮かんできたのだろうか

作らなくてもよい法律を作ると、その法律に反したということで罪人が生まれる。
確かに『公金』を私事に使えば何らかの法律で罰せられる、というのは私にも分かる。しかし松本教授のように『公金』を投資信託資金として流用して、たとえば一年間に倍増させてそのすべてを研究目的に使用したとする。これだと国が実害を受けたわけではない。このようなケースで松本教授が『公金』を不正流用したとして罰せられるとしたら、それはこのような行為を『公金の不正流用』と断じる法律に基づく決まりがあるからだ。

最終的には利益も含めてすべてを研究費として使用するのだから『きまり』に反したことは悪いとしても、それ以外の何が悪いのか、私はすぐには思いつかない。このような『きまり』を作らなければそれまでである。松本教授の場合、『不正流用』した研究費をたとえ一部と雖も明らかな私用に使っておればこれは司直の裁きを受けるべきであると思う。それは今後の展開を見守るとして、私は松本教授のユニークな発想を現実に生かしたらどうかと提案したいのである。投資信託でも何でも株の取引で研究者に研究費を稼がせるというシステムを作るのである。

以前ブログに書いたことでもあるが、大学の研究者が研究費を獲得するのは『おおごと』なのである。人によっては肝心の研究に費やすエネルギーより研究費獲得に費やすエネルギーの方多いということすらあり得る。若い研究者ほどその負担が重い。そのエネルギーをたとえば『デイ・トレード』に使う場合を考えてみる。

福井日銀総裁に倣い基本的な資金を1000万円とする。国は研究者に融資するのである。話を簡単にするために研究者を大学勤務者とすると、その退職金を担保に取ればいい。いまや『デイ・トレード』はIT時代の常識、研究者と雖も白眼視してはならない。それを個人の小遣い稼ぎではなくて研究費獲得という大義名分のもとに活用するのである。

風評では儲けている人はせいぜい一割程度らしい。既に何百万人が参加しているらしいが有資格研究者はせいぜい数十万人ていどではなかろうか。研究一筋に邁進すればノーベル賞も射程の内という素晴らしい頭脳の持ち主が株式市場でその人智を絞れば、稼ぎ頭がすべて研究者であるという事態もまったくの夢物語ではないはずだ。

ではどの程度の稼げるか、とらぬ狸の皮算用をやってみよう。マーケットが開いているのは一週間に五日で、一年を少なめに見積もって四十週とすると二百日になる。一日に1%以上値上がりする株はザラにあるから、仮に一日平均1%の利益を年間百日間上げるとすると、合計100%、すなわち1000万円を利益として手にすることが出来る。

『デイ・トレード』といっても一日中パソコンにしがみつく必要はない。ベテランともなれば一日に1時間も費やせば十分である。このように自分で稼いだ金を研究目的である限り設備費、消耗費、人件費に旅費など、どのように使うのも皆自分で決めればいい。巨大な国家予算を必要とする大型プロジェクトでない限り、一人の研究者にとっては十分な研究費である。

もし研究者がこのシステムを活用するとなると、国も年間何百億円を支出せずに済む。研究者もうるさい書類作りから解放され、研究費の使途に気を遣わずに使いたいように研究費を使うことができる。良いところずくめである。

以上が私の提案する「研究者が自ら研究費を作り出す」ための素案である。ひょっとすると「政府の科学技術政策の司令塔」である総合科学技術会議議員の松本和子教授は、このようなプランを政府に提出すべく予備調査並びにテストをなさっていたのだろうか。