日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

米窪明美著「明治天皇の一日」を読んで

2006-06-23 17:30:58 | 読書

天皇の一日の生活を起床から就寝まで描くとは実によい着想だと思った。もちろん『週刊誌』にありがちの覗き趣味ではない。

著者は《明治宮廷の一日を事細かに再構成するために、本文中では明治天皇に直接仕えた人びとの回想録や手記から沢山引用》しているが、その核となっているのが『臨時帝室編修局史料「明治天皇紀」談話記録集成』である。堀口修監修・編集・解説でゆまに書房からこの本が刊行されたのは2003年だからごく最近のことである。全九巻で144,000円。専門家にとっても出費を強いられる大冊であるが、その『いいところ』を一般読者にさっそく紹介していただけるとは有難いことである。

平安の御代もかくやとばかりに雅な世界が広がる。ちぐはぐなのは明治天皇の『奥』での和服に『表』での軍服、それに女官の洋装ぐらいだろうか。

《宮廷の願は、現在が過去と同様に素晴らしいものであり続けることである。だからこそ、過去の理想世界を作り上げた制度は変えてはならない。身分は固定され、先祖と同じ役職につき、過去をなぞりながら生活することが求められる。効率性や合理性は、変化を求めない生活にはまったく必要ない。「改革」は、むしろ連綿と続く生活をゆるがしかねない危険なものですらあるのだ。》と述べる著者の眼力は確かである。

この本に紹介されている数々の挿話を読むと、著者の言っていることが素直に納得できるのだ。そして大正、昭和を経て平成の時代となった今、『宮廷人の常識』が守り伝えてきた日本の世界に誇れる『無形文化遺産』の根幹が『平民の理屈』の前に崩れいった喪失感は大きい。守らなければならないものがまだ残っているのだろうか。

さる火曜日(6月20日)の朝、新聞広告でこの本のことを知り、用事で出かけた京都四条の本屋で買い求めようとしたところ、同時に出版された新潮新書はかなり山積みされているのに、この本だけが見あたらない。店員に確かめたら入荷したけれど売り切れてしまったとのことであった。三宮に帰ってきて最寄りの書店に寄ってみるとちゃんとある。京都人の天皇に対する特別の思いを私は感じたが、これは思い過ごしだろうか。

ジーコ・ジャパン敗退 日銀総裁も国民もおなじようなもの

2006-06-23 16:45:13 | Weblog
ジーコ・ジャパンがワールドカップドイツ大会で1次リーグ敗退が決定したお昼のテレビ番組で、日本は敗退したけれど経済効果は4000億円あまりあったと報道していた。1次リーグを突破していたら5000億円を上まわっただろうとも。

やはりあの変に浮ついたフィーバーの裏には仕掛け人がいたようだ。となれば話は分かる。舞台は異なれど『金(かね)』に踊らされたのは日銀総裁だけではない、われわれ多くの国民もそうだったのだ。