日々是好日

身辺雑記です。今昔あれこれ思い出の記も。ご用とお急ぎでない方はどうぞ・・・。

海野弘著「海野弘 本を旅する」を買った理由

2006-06-05 18:48:26 | 読書

神戸元町風月堂の地下二階のホールで午後二時半からコンサートが始まる。少し早めに着いたので元町通りを少しくだり海文堂に入った。この書店は私が学生時代からよく立ち寄るところである。もう半世紀以上になろうか、神戸の目抜きにある書店で生き残っている唯一の書店であると思う。その間経営者が変わったと聞くが、営業方針などがそのまま引き継がれているせいであろうか、本の品揃えにも細かい心配りが感じられる。

海野弘著「海野弘 本を旅する」がカウンター横の台に山積みされている。掲示が出ていて著者のサイン会が午後二時(六月四日)からとある。もう時間だと思って横手を見るとテーブルの後ろに著者がお座りになっている。本屋を訪れるのは私の生き甲斐の一つのようなもの、だから海野弘という名前は記憶にあるが、彼の著書をいまだに買ったことはない。

本を手に取ってみた。第一部は「百冊の本の再訪」ということで、著者がかって出会い、影響を受けた本について語っているとのことである。そして百冊の本のカラー写真が四ページにわたって掲載されている。この写真を見て「さもありなん」と思った。どれ一冊も読んだことのない本なのである。それぐらい好みが離れている、だからこの著者の本を私は一冊も読んでいないのだ。

この本の見開きに著者の写真が一ページ大に出ている。まずこれが気に入った。帽子をかぶっているのだが、まさに私が当日もかぶっていた帽子にとてもよく似ている。それに私より五歳はお若いのだが、写真を拝見する限り私よりも五歳は年長に見える。それだけでなんだか嬉しくなった。

百冊の本を最初から少し挙げると、エウヘーニオ・ドールス「バロック論」、ウラジミル・ウエイドレ「芸術の運命」、ジャン・カスー「近代芸術の状況」・・・・と続き、ようやく七冊目に日本人が顔をだす。瀧口修造「近代芸術」である。このような本のどこが面白くてこの著者は読んだのだろう、と急に好奇心が湧いてきて、一冊でも面白い本に出会えば儲けものとこの本を求め、サインをしていただいた。挨拶を交わす、一期一会であった。


なんとなくわかった「インサイダー取引」の怪

2006-06-05 15:13:24 | 社会・政治
村上代表、インサイダー容疑認める 5日午後にも逮捕 (朝日新聞) - goo ニュース

本日午前11時からの記者会見で、村上氏自身が「インサイダー取引」容疑を認めた上で謝罪した。一見一件落着のようである。

何が「インサイダー取引」なのか。この記事によると《村上氏は、検察側から、公開買い付けをしたいと聞いたことなどが5%以上を買い集めることの準備に当たると言われたと説明。「(LD側から)聞いちゃったかと言われれば聞いちゃった」と述べ、12月から1月にかけて同ファンドが同放送株を買い続けたことがインサイダー取引にあたることをほぼ認めた。》とのことである。

しかしこれだけではまだ分かったことにはならない。私が分からないのも当然、村上氏自身も当初は「インサイダー取引」の認識がなかったというから、よほど分かりにくい規定に引っかかったのであろう。

そこで今日のサンケイを見てみる。欲しかった「インサイダー取引」の解説がようやく出て来た。

《■インサイダー取引 内部情報によって株の高値売り抜けなどを図る不公正取引で、証券取引法で禁止されている。

 上場企業の役員らがその地位や職務によって知った未公表の重要事実を利用し、自社の株などを売買する「会社関係者による内部者取引」と、株式公開買い付け(TOB)をする者の関係者(TOB関係者)がその発表前に株を買う「TOB関係者らによる内部者取引」の2つがある。

 後者はTOBなどによる株価高騰を見込み、安値のうちに大量取得することを防ぐ規定。同法施行令で、議決権総数の5%以上に当たる株の買い付けもTOBに準じる行為とされる。罰則はいずれも3年以下の懲役または300万円以下の罰金。》

いわゆる「インサイダー取引」には二種類あるのだ。私がこれなら分かると昨日述べたのは「会社関係者による内部者取引」に相当するものであり、今回村上氏が罪を問われているのは二番目の「TOB関係者らによる内部者取引」の「インサイダー取引」に相当するらしい。

堀江氏のライブドアは公開買い付けをしたわけではない。だから村上氏がTOB関係者ではありえない。それなのになぜ内部者になるのか。議決権総数の5%以上に当たる株の買い付けもTOBに準じる行為とされるというのがミソで、それを検察が持ち出した。

村上氏がライブドア側から《公開買い付けをしたいと聞いたことなどが5%以上を買い集めることの準備に当たる》と検察から説明されて、それでようやく株のプロが「恐れ入りました」と屈服したことになる。この通りだと検察が一枚上だったのだ。

昨日私は《堀江氏は村上氏を合法的に犯罪者にすることが出来るではないか。村上氏が聞きたくもないのに「私はニッポン放送株をジャンジャン買いますよ」と村上氏の前で一言いえば済むのだから。》とブログに記したが、村上氏をやっぱりそれを「聞いちゃった」のが真相らしい。ご愁傷様と申し上げよう。