木村正治のデイリーコラム

木村正治(きむらまさはる)が世の中の様々な事項について思う事や感じた事を徒然に綴っています。

富士山が見える西の限界

2004-03-22 02:08:50 | インポート
 日本の秀峰、富士山の山頂は雲より高く円錐状の頂の
姿は二つと無い。世界にも誇れる名山である。
 さてその富士山を私は関西から見たことがある。なか
なか信じてもらえない話なのだが、近畿の屋根と言われ
る奈良県の大台ヶ原の台地から東の方向にうっすらと白
い円錐状の山が見える。富士山が見える西の限界であるら
しい。
 
 大台ヶ原は標高が高いこともあり、近畿でも最も雨が
多い地域である。近畿で最も標高が高いこの地は断崖が
連なり、岩盤の台地が広がっている。雲が頭上の近くを
早く流れて、すぐに天気が変わる様は圧巻でもある。
 前方には熊野灘や尾鷲湾が眼下に見えるこの地は古代
より山岳信仰の対象ともなっていた。雄姿や美しい姿形
の山々が多く、そこに霊や神が宿ると古代の人々は信仰
したのである。

 雨が多い大台ヶ原の麓の集落では明治の頃まで、この
山岳は台状になっていて、そこに湖があり、風の強い日
にはそこの水が溢れて麓の村々に雨を降らせるのだと信
じられていたという。
 数年前に訪れた大台ヶ原であるが、いかにこの地が人
々を寄せ付けない厳しい環境にあったかが分かる。

 この辺りには平家の落ち武者が隠れ住んだという里も
散在しており、山間のいで湯も良質のものも多く、十津川
などかつて年貢を免除されて、かつ歴史にも重要な役割を
担ってきた地域もある。
 まさに地域の歴史の深さと様々な側面を知ることがで
きる。

 なかなか自由な目的で広範囲に動く時間が取れない立場
になって、そういう遊学や周遊の機会が激減して残念だが
世の中を考えて行くには、こういう時間がとても大切だと
今更ながらに思わざるを得ない。
 動かなくなると、或いは動けなくなると視野が狭くなる。

 大台ヶ原から富士山が見えた時の視野の広がりは地理感覚
や机上の知識を瞬時にして一掃する爽快で快活な一瞬であった。
 いずれ又、そういう一瞬に出会いたい。

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