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ゼウスの餌食

 ギリシャ神話に出てくるゼウスは神々の王、つまり神様の中で一番えらい。神々の守護神なのだが人間の守護神でもある。

 この守護神、手が早い。手当たりしだいと言ってもよい。オリンポスの神々とのあいだに大勢の子をもうけた。アポロやディオニソスがそうだ。

 神々だけではなく、人間の女性との間にも沢山の子供がいる。ペルセウスやヘラクレスがそうで、彼らも下級の神として祭られている。

 一番えらい神様だから自由勝手にこんなことが出来るのだろうと、うらやましく思うかもしれないが事実は少し違う。ゼウスは正妻ヘラに不貞を知られないようにあらゆる手段を講じた。ゼウスが人間と交わる時、動物に変身したりしていたのはそういう訳だ。

 有名なのは人妻レダの誘惑。白鳥に化けたゼウスがレダを誘惑しへレンが生まれた。これが有名なトロイのヘレンになる。夏の夜空を飾る白鳥座はゼウスが変身したものといわれている。この逸話は有名で、多くの画家によって描かれている。コレッジョの「白鳥を伴うレダ」がこれじょ。

コレッジョの白鳥を伴うレダ

 昨日、夜中に電話がかかってきた。

 「天の川はどの辺に見えるの」

 何年ぶりかで星座早見の出番だ。回転する内側の円盤を今日の日付と今の時間に合わせると空に見える星の名前が分かる。

星座早見

 白鳥座を見つけることが出来たら、天の川はそこを流れている。しかしよほど暗いころで無いと天の川は見ることが出来ない。多分都会では無理だろう。ついでに言うと白鳥座の中で一番明るい星がデネブ。そのそばに天の川をはさんで二つ明るい星があり、それがアルタイルとベガ、日本では彦星と織姫と呼ばれていて七夕の主役だ。

 「東の空を北から南へ流れているはずだけど」と私。

 「雲で見えないわね、七夕だから織姫と彦星が見られるかと思って」

 年に一度の逢瀬だが最近七夕に晴れることは少ない。中国から伝わったと言うこの七夕伝説、晴れているとどこからかカササギが飛んできて天の川に橋を架けてくれ、二人が会えるというのが言い伝えだ。雨空の今年もきっと会えなかったのだろう。

 しかしここには天気よりもっと大きな問題もある。このカササギ、西洋では白鳥座と呼ばれているのだ。中学生でも分かると思うが、白鳥に変身したゼウスの背中を歩いて織姫が彦星に会いに行こうというのは危険極まりない。猫にまたたび、鳶に地下足袋、飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ。織姫とゼウスの子供がオリンポスの山中で人目を忍び、ひっそりと暮らしていたとしてもまったく驚かない。私としては彦星の背中をやさしくぽんと叩いて、「いいじゃないか、もう諦めろよ」と言ってやりたい心境なのだ。



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