熊本熊的日常

日常生活についての雑記

年暮る

2008年12月31日 | Weblog

今年の元旦に自分が書いたブログ、日記、年賀状には仕事をなんとかしたい、ということを年頭の抱負として書いてある。残念ながら、これはなんともならなかった。昨年9月にこちらへ渡ってからというもの、自分なりの生活をすることで精一杯というのが実情だった。それでも、なんとなく、視界に光が射す兆しを感じるようになった。

この一年、何か特別なことがあったわけではない。毎日の暮らしは3月30日付「修道僧か囚人か」に書いた通りである。職場での仕事は精神修養と割り切り、自分の内面の変化を観察することと地の利を生かした活動に注力したつもりである。50冊の本を読み、13本の映画を観て、のべ91の博物館・美術館を訪れ、毎日欠かさず日記をつけ、今日の分を含めて285日分のブログを書いた。その結果、自分自身の変化をかなり意識できるようになった。自分の年齢では、今更ものの考え方だの人に対する見方といったものは固定化されてしまって変わらないと思っていたが、そんなことは全くなかった。

日本を離れることで、それまで自分の生活を取り巻いていたものが、かえってよく見えるようになったことも予期せぬ収穫だった。ほんとうに必要なものというのは思いの外少ないということも確認できたし、ほんとうに必要な人間関係は必ずしも固定化されたものではないということも知った。

世界的な経済の混乱の影響も多少はあり、実利面では良いことは何一つ無かったが、それが殆ど気にならなくなった。老眼は進行したかもしれないが、自分の外にあるものと内にあるものとの関係を見通す心眼は、多少は改善したかもしれない。年齢を重ねるということの楽しさを実感できた年だった。出会った人、文物、出来事、全てに感謝する。