草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 盆梅/龍峰

2022-02-15 | Weblog

                庭の盆梅

この春も引き続き寒いのか、梅の出足が鈍いようだ。近所の梅林に行ってみたが、3分咲きぐらいだった。世の中なべて縮み込む、人も万象もか。否、左様なことはあるまい。
今回も乱れ打ちとなった。

         盆梅の耐へ耐へぬいて咲きそろふ
         紅梅の一輪咲いて声上げし
         石段の目と目の会釈梅見かな
         海見えて梅の遅速を楽しめり

         明け六つを聞き一ねむり春障子
         代替わり塀直したる余寒かな
         獺祭りの魚魚棚に勝りけり
         夜な夜なに引き留めらるや浮かれ猫

         春浅し潮騒未だ荒荒し
         朝市のいか干す軒や春疾風
         春の海日の沈むころ静もれり
         春の雪なほ降り来しと兄の文

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8 コメント

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好きな句 (葉有露)
2022-02-15 23:29:36
龍峰様

 そろそろ樹木の芽吹きが欲しい季節になりました。
我が家の青猩々の枝に、一つ二つ紅い色の芽吹きを発見しました。少しは、春が近づいたのでしょうか。
 共感を覚える次の三句を頂きます。

・盆梅の耐へ耐へぬいて咲きそろふ
・紅梅の一輪咲いて声上げし
・朝市のいか干す軒や春疾風

  小生は、正月用の「松竹梅」仕立てのため
 盆梅を数鉢持っていたことがあります。
  御句がこれを思い出させてくれました。
 「朝市」の句は、かって、輪島に高校同期と
 出かけて事がありました。能登の海の風景を思い
 出します。
お礼 (龍峰)
2022-02-16 11:34:47
葉有露 様

早々にお目通し頂き、3句取り上げて頂き有難うございます。
中々実感として春は来ていないですね。未だ春遠からじですか。
盆栽を愛でておられる葉有露さんからのコメントは重みがあります。

 盆梅の句、去年の暮れに娘が届けてくれた紅白の二株を育てていますが、冬は長く寒さが厳しいゆえか、なかなか開花しない状態だったのですが、最近ようやく綻び始めたところです。

 紅梅の句、沈黙を破って開花を見つけた朝、思わず声を上げたということです。

 朝市の句、いつ頃朝市に行かれたのでしょうか。輪島の朝市も最近では整備されてきれいになりました。何となく昔のごちゃごちゃしていた方が、味わいも深かったようにも感じますが、いつまでも残って欲しいものです。
好きな句 (九分九厘)
2022-02-16 16:27:38
龍峰さま
 今回は好きな句が六句と数が多いです。情景をとてもうまく詠んでおられます。

   盆梅の耐へ耐へぬいて咲きそろふ
   紅梅の一輪咲いて声上げし

 「耐え耐えぬいて」「声あげし」はまともに読めば主人公は「梅」であろうと思いますが、此れ等いずれも育ての親の龍峰さんと理解してもよし。二つの意味を表と裏で詠まれたところがお上手です。写真を見ると尚更の印象を持ちます。
      
    海見えて梅の遅速を楽しめり

 この句は作者の自宅からの風景とみました。海までの距離感とご自宅の六甲山の高さが,景の中にみられます。「海見えて」が効いていて、何か「豪勢」といった感じの句です。好きな句です。

   明け六つを聞き一ねむり春障子
   代替わり塀直したる余寒かな

手慣れた句ですね。いずれも春先の平和な日常が読まれています。江戸時代の作品とみても通用しますね。
  
   春の海日の沈むころ静もれり

 何ともないような句ですが、この句を読んだときふと、私の死ぬときの景かな?と思いました。縁起の悪いコメントでごめんなさい。
好きな句鑑賞他コメント (かつらたろう(桑本栄太郎))
2022-02-16 18:29:11
龍峰様

今日は!!。
日毎に日差しは力をみなぎらせて居りながら、春寒料峭の毎日ですね?このコロナ禍の中では、流石に行動的な龍峰様のお出かけもままならず、すっかり終息の暖かい春が待ち望まれますね!!。
今回は特に、「耐へ耐へ」、「目と目」、「魚魚」、「夜な夜な」、「荒荒し」などリフレインの措辞がとても効果的であり、感嘆するばかりです!!。その佳句の中で、敢えて下記の御句を選び鑑賞させていただきます。

         ☆盆梅の耐へ耐へぬいて咲きそろふ
見事な紅白の盆梅ですね?この冬は特に寒さが厳しく、長引くようです。厳しい寒さに「耐え耐え」て漸く咲きそろう嬉しさですね!!。         

         ☆紅梅の一輪咲いて声上げし
当地でも寒さの所為でしょうか?遅かった梅も漸く開花です。弾けるような一輪の梅の開花を見つければ「思わず」声が上がりますね!!。小生の大好きな句服部嵐雪の「梅一輪いちりんほどの暖かさ」に通じるようです。         

         ☆海見えて梅の遅速を楽しめり
神戸の山の手の梅林へ梅見に出掛けられた光景でしょうか?梅の木によっては開花の遅速があり、未だ堅いつぼみのもの、三分のもの、それに紅白とあって内海も臨め良い風情ですね!!。
         
         ☆明け六つを聞き一ねむり春障子
夜明けもかなり早くなり、夕方もかなり日が永くなって、春は確実に到来しつつあるようですね?寒い冬にも耐え、暖かい春を迎える事が出来た感謝の日々です。未だ薄暗い未明の6時に目覚めても、暖かい寝床の「うまい」を楽しみます。ささやかながら幸せを感ずるひと時でもあります。         

         ☆夜な夜なに引き留めらるや浮かれ猫
真夜中にふと気づく恋猫の鳴き声です。甘く尾を引くようなその鳴き声に、思わず背中の「盆の窪」あたりがこそばゆく感じますね?
又一方では雄猫同士が威勢をはり唸りあい、突然「フ~!!、フギャ~!!」と取っ組み合いが始まりました。         

以下の三句は貴兄の故郷での海辺の想い出の光景と拝察致しました。         
         ☆春浅し潮騒未だ荒荒し
小生も今頃の時季となれば、メンソレータムの蓋にゴムを通し、指に引っ掛けて行った岩海苔掻きを想い出します。一人でお椀一杯程でも大変な作業でしたね?時折海面が膨れ上がり、お尻を濡らし岩海苔ならぬ「べそを掻いて」て居ました。岩海苔の磯の良い香りが想い出される程です。       

         ☆朝市のいか干す軒や春疾風
「春に三日の晴間無し」とも云われるように、天候が猫の眼のように変わる今の時季ですね?特に日本海側は風も良く吹き、どの家も同じようにイカを乾す朝市の景色が想われます。         

         ☆春の海日の沈むころ静もれり
日中は風もあり、うねりによる波もあったものの、日本海に春の夕日が沈む頃ともなれば漸く静かな凪となり、まさに「絶景」となりますね!!。
        
お礼 (龍峰)
2022-02-16 20:36:49
九分九厘 様

早々に拙句にお目通し頂き有難うございます。
6句という沢山の句をお取り頂き、個々の俳句への深い洞察とコメント頂き痛み入ります。
いつも惰性で句を詠みがちですが、このコロナ騒ぎで自由度が制限されていることもあってか、色々今を、そしてこれからを考えるところとなった。
俳句作りは心の感動の反映と端折って考えれば、その感動が複雑性を増してきているように思う。

盆梅の句、暮れに届いた二株を植え替えたものの、なかなか動きはなく、一月に入ってようやく蕾に変化が出てきた。そして10日前あたりから開花し始めた。「耐へ耐へぬいて」は梅自身であり、ご指摘のように当方も含めてです。又来し方を眺めれば、やはり耐えることが多かった。では今が開花しているか問われれば、これまたどうなのかと思ってしまう。

紅梅の句、歳時記によれば紅梅は白梅に比べて開花は遅いと言われている。それ故にか、歳時記では、梅(白梅を含む)とは別に紅梅として独立している。ともあれ、遅れて咲くだろうと思っていた紅梅が白梅と同じころに開花し、思わずええっと思った次第です。

海見えての句、拙宅の2階や屋上に上がると海が見えます。狙いとしては景の広がりと目の前の小さな梅との対比に面白みを感じました。

明け六つの句、小生の起床の冬時間は7時半、起床までにまだ1時間あるという、安堵と満足感を詠みました。

代替わりの句、住宅街を散策しているとぽつぽつ、家の建て替えや補修が進み、静かに街の容貌も変化していくことに気づかされる。恐らく住人の代も変わってのことだろうと思う。

春の海の句、古里の日本海は冬の間は、無論毎日が大時化である。春になってようやく波の収まる日が現れる。時に昼は荒れていても日が沈むころに穏やかになる日もある。
九分九厘さんの思いは重たすぎますね。  
お礼 (龍峰)
2022-02-16 21:02:00
たらう 様

早々に8句もお取り頂き、丁寧な、過分なるコメント頂き有難うございます。
確かにコロナ禍で世の中も、自分も物理的にも精神的にも変わりましたね。例え、この先コロナが終息しても人も社会も元には戻らないでしょう。

盆梅の句、暮れに植え替えた二株の梅はなかなか動きがなく、1月半ばすぎてようやくつぼみに変化が出てきた。それから更に2週間たって開花し始めたところです。梅も人も耐えましたね。

紅梅の句、紅梅は白梅に比べて開花は遅いと言われているのに、同時に咲き始めた驚きです。

海見えての句、家から見える海の広がりと目の前の梅の対比を詠んでみました。

明け六つの句、ご指摘の通りです。起きるまでの時間は、まさに値千金です。

夜な夜なの句、春になれば、動かなかった猫が急に騒ぎ出す。猫から見れば人間も一年中騒いでいると見えるかもしれない。

春浅しの句、たろうさんは古里の海に特別の想い出をお持ちのようです。小生はこの時期でも波や風の地鳴りを寝床中で聞いたものです。

朝市の句、輪島は風の強い所、軒に下げたいかは風にちぎられそうになる。

春の海の句、日本海の春の海は決して「のたりのたり」ではないですね。ご指摘の通りです。それでも日の沈むころに穏やかになる日もあります。
好きな句 (ゆらぎ)
2022-02-17 10:45:57
龍峰様
 梅見にゆかれたとのことですが、岡本の梅林でしょうか?私もそこへは時々、行っています。家の近くにも梅林がありますが、紅白梅ともほぼ満開です。乱れ打ちとおっしゃっていますが、どうしてどうして。佳句がたくさんあって楽しませていただきました。

(好きな句)
○紅梅の一輪咲いて声上げし
 ~紅梅が咲いているのをみて、”あっ、紅梅が咲きだしている”と思わずつぶやかれたのでしょう。でも、梅自身も”もう咲いているわよ、見てく  ださい”と声を上げているのかも知れません。そんな事も思わせる、興趣溢れる佳句です。

○海見えて梅の遅速を楽しめり
 ~岡本では梅林の高みか茅渟の海が見えますね。そこで満開の梅を見たり、咲き始めたばかりの梅を見たり梅見を楽しまれたことでしょう。与謝蕪村  の”二もとの梅に遅速を愛すかな”の句を思い出しました。海見えて、という上五で、別な雰囲気が感じられて、趣を感じます。

○春の海日の沈むころ静もれり
○春の雪なほ降り来しと兄の文
 ~兄弟愛を感じる句です。男の兄弟で、こんなやり取りができるのは羨ましいです。一番好きな句です。
お礼 (龍峰)
2022-02-17 11:21:18
ゆらぎ 様

拙句より4句も取り上げて頂き、情味溢れるコメントを頂き有難うございます。
近くの梅林はおっしゃる通りです。見ごろはまだ少し先の感じでした。ご存知のように、奈良時代は花と云えば梅、平安以降は桜にとってかわったと聞ききますが、万葉人はこよなく「静」を尊び愛でたのでしょうか。

紅梅の句、二鉢並べて見てきましたが、まさか同時に開花するとは思っていなかった。その小さな驚きです。

海見えての句、岡本の梅林でも上へ上がれば海が見えます。家からも海が見えるので出足の遅い梅を絡めて詠んでみました。蕪村の句を引いての鑑賞、流石です。

春の海の句、日本海の春の海の一面を詠みました。

春の雪の句、面はゆいご感想を頂いて恐縮です。6人いた姉兄も、今はすぐ上の兄と二人だけとなった。外堀を埋められていく寂寥感を、時にひしと感じます。

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