草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 万緑 / 九分九厘

2018-05-24 | Weblog

 5月の初め、名古屋のしらかわホールで『マタイ受難曲』を聴く。われら私設合唱団の指揮者がソロ出演をされると云うので仲間と集い楽しい一晩でした。三時間を越える演奏が終わったら深夜に近い10時前、外に出ると土砂降りの雨でした。
 翌日はゆらぎさんの事前の丁寧な案内に従って、郡上八幡に行くことにした。天気は快晴となり運の良い旅となる。名古屋から東海道本線で岐阜に、岐阜から高山線富山行の列車で岐阜大田まで。そこから一時間に一本しかない長良川鉄道に乗り換えて郡上八幡に向かう。一両だけのディーゼル車は、数多くの駅に各駅停車して郡上八幡までほぼ1時間半かかるが、沿線に長良川が見え隠れして風景に飽きが来ない。途中に「日本の真ん中の駅 八坂駅」なる駅がある。真ん中である理由は「日本人口の重心平衝地点」という。日本の人口分布を国民一人の体重を同じと仮定して計算したもの。因みに、経緯度からの中心地は兵庫県西脇市になる。
 郡上八幡は戦国時代からの城下町である。古い町並みと豊富な水が特徴で、夏の郡上踊りで有名なところである。一日で見どころを歩いてめぐることが出来る。郡上八幡城に登りきったところでの新緑の風景はまさに絶景であった。和紙店で版画に恰好なる美濃紙を見つけた。店の主人との会話も楽しいものだ。万緑と水の流れに感動した旅であった。

  長良川そは緑をよしとする
  万緑や郡上八幡光りをり
  ゆれゆれて人を惑わす若葉かな  
  万緑を超えて歴すや天守閣
  奔る水みどりを捉へ流れ去る
  延命の地蔵ありしや花卯木
  初夏や町の古きがくだちゆく

   

 

「連句のお誘い」

本ブログ「草若葉」にて連句を楽しむことを提案いたします。ゆらぎ・龍峰・九分九厘の三人の同意を得ましたので今回から始めましょう。連句は初めてですのでルールを調べました。歴(12句)歌仙(36句)百韻(100句)と一巻の句数の違い、或いは古いしきたりのある式目連句や勝手気ままの自由連句などあれこれと楽しみ方の違いがあります。式目連句の歌仙などはあとのことにして、ともかく自由連句で始めてみましょう。但し、以下のことについてはとりあえずスタートの最小限度の規則として守ることを提案いたします。

1,12句(歴)で満尾とします。

2,発句はまずは九分九厘が致しますが、5・7・5にて季語を入れます。なるべく    「や」「かな」「けり」の切字を入れます。

3,次の第2句の「脇句」は発句と同じ季語が含まれ、発句に唱和するものとします。 7・7  でつくります。

4,第3句は5・7・5にて、思い切った連想や飛躍の句を詠んで下さい。下五を「して」「て」「に」「らむ」「もなし」の語でとどめて下さい。第3句の季節は発句が春・秋なら同季に、発句が夏・冬なら無季にして下さい

5,第4句以降は全く自由にします。

6,12句目は「挙句の果て」になりますから、うまく纏めて下さい。

では、最初の発句です。

    万緑を走り通すや我果敢

尚、連句は前の人の句も分かる連続した句の投句でお願い致します。第2句はゆらぎさんです。   以上

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6 コメント

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好きな句 (ゆらぎ)
2018-05-29 21:24:26
九分九厘様
 土砂降りの名古屋から萬緑の郡上八幡へ。良き旅をされましたね!古きよき町です。
 まるで天領のよう。またいい美濃紙を手に入れられたとか、羨ましい。今度行ったら
 小生も手に入れます。

 旅にまつわる句を楽しませていただきましたが、同じところでの旅の楽しさを共有した ものにとっては下記四句を頂戴いたします。日本語が不勉強なところもあって、十分に 咀嚼できたか、必ずしも自信がありませんが。

 万緑や郡上八幡光りをり

 ゆれゆれて人を惑わす若葉かな・・・この句の良さはよくわかりますが、ちょっとある 言葉遊びを思いつきました。”ゆれゆれて”を”さわさわと”と衣擦れの音を示すオノ マトペにしてみたらいかがでしょう。衣擦れの音を聞くと男なら惑わされるでしょう  
 万緑を超えて歴すや天守閣・・・すみません。”歴す”という言葉はしりませんが、歴 史を巡ってきたとでもいういみでしょうか。郡上八幡城は、古いお城でいろんな時代を くぐり抜けてきたでしょう。来る年も来る年も、萬緑は巡って来たのに。面白い視点に そった佳句かと思います。

 初夏や町の古きがくだちゆく・・・ほんま、漢字テスト古語テストには叶いません。で も、ここは降ちゆく・・でしょうね。時間が過ぎ去ってゆくという意味でしょうか?
 古いものが、町並みがさらに時間が過ぎてゆく・・・。これも町並みの光景を巧みに捉 えています。この句が、一番好き!

(連句のご紹介とお誘いありがとうございました。追って、別立てで書きます。)
好きな句 (龍峰)
2018-05-30 00:18:01
九分九厘 様

写真の郡上八幡はきれいな緑、正に万緑の真っ只中ですね。そして郡上八幡と言えば町じゅう綺麗な水が流れています。それを見事に写真に捕らえられています。以前、半日程町中を歩いたことを思い出しました。
感動の句の中から次の句を頂きました。

万緑や郡上八幡光りをり
ストレートに強く、万緑の中の郡上八幡をよまれましたね。感動が強く伝わってきます。

万緑を超えて歴すや天守閣
万緑の向こうに燦然と輝く立派な天守閣、写真に一段と映えています。それを「歴す」と詠まれたのが簡潔でいいです。

初夏や町の古きがくだちゆく
初夏の町を歩いていると町並みの古さが心を癒し、迷い苦しみを救い出してくれると言う解釈で宜しいのでしょうか。なかなか味わいの深い句ですね。
好きな句とコメント (桑本栄太郎)
2018-05-30 12:30:09
九分九厘様

お早う御座います!!。
先般は5月10日、又絵画展ではお世話頂き大変有難う御座いました。忌憚無く質問を行い、楽しめればと思って出かけましたので、「耳障り」な点も少なからずあったかな?と少し反省しました。
郡上踊りと鮎で有名な郡上八幡への旅行とは羨ましい限りです。山も川の水も緑あふれ、万緑とはまさにこの光景ですね?

☆長良川そは緑をよしとする
古来より、「長良川を制する者は美濃を制す」とも言われ、豊富な水量は豊かなみどりを育みます。みどり為す長良川の流域ですね?

☆万緑や郡上八幡光りをり
☆万緑を超えて歴すや天守閣
この辺りでは犬山城は有名ですが、郡上八幡城はあまり知識がなく、googleで少し調べました。郡上八幡城は日本最古の再建木造城のようですね?「歴す」とは、古い昔を正しく回顧するとの意味があり、万緑の中に立つ光景は歴史大好き人間にとって堪えられません。

☆奔る水みどりを捉へ流れ去る
長良川の緑色に輝く、奔流なのですね?みどりの渦巻きさえ想われ壮大な景色ですね!!。

☆初夏や町の古きがくだちゆく
古語「くだちゆく」とは衰え行くとの意であり、新緑の初夏の街並みを歩み行けば、悠久の歴史に癒され、これも滅びゆくものの美学なのですね?

郡上八幡の万緑に刺激され、一句を!!
「万緑や肺の奥までみどりなる」

初めての試みの「連句」はとても興味があり、大変楽しみにしています。
御礼 (九分九厘)
2018-05-30 16:36:10
ゆらぎ様
 「歴」は語源辞典に「歳月や世代が順を追って続く/古事や過去を一つ一つ順に追っていく」とあります。「回歴する」という言い方もあります。これはさておき、きっかけの話は別ものとして、一年ほど前から「白川文字学」にはまり込んでいます。甲骨文字・篆字を源にする「漢字」の発祥に興味が高まり、ついにとても重い辞書『字統』『字通』を買ってしまいました。最後の一冊『字訓』もいずれ手に入れたいと思っています。詳しいことはコメント欄には書けませんが、「歴」は3種の象形を組み合わせた会意文字です。大元の意味は、「崖の下を軍旗を掲げて進んでいく行軍の足跡」となります。多くの漢和辞典の解釈はこれを元に変わっていったものです。「歴」の下部にある「止」は人の足跡の象形です。因みに、「暦」は同じく会意文字ですが、「日」は祝詞を入れた容器を意味します。「歴史」の「史」は、「日」を掲げて歩く人の姿です。かなり、独りよがりの俳句になってしまってすみません。
「ゆれゆれて」はいま合唱で歌っている「ブルー・ライト・ヨコハマ」から引っ張ってきました。「さわさわ」のほうが俳句らしいですね。いただきます。
 「くだつ」は日の暮れるの意味で使いました。漢字の使わない俳句を、本で見たものですので、これこれと流用しました。

とても役立つコメントをありがとうございました。
好きな句 (九分九厘)
2018-05-30 20:32:09
龍峰様
 コメントありがとうございます。「初夏や町の古きくだちゆく」の「くだちゆく」は直接的には町の日が暮れる風情をよみました。貴兄のコメントにありますように、連休直前の日の町は人も少なく、川の水の流れを見ながら夕暮れは心が安らぐひとときでした。「歴す」はいささか造語的な感じもしますが、ゆらぎさんの返答欄にも書きましたが、戦いに関係する城にはピッタリの言葉と思って使いました。
好きな句 (九分九厘)
2018-05-30 20:59:40
たろう様
 絵画展に遠くからお出でいただきありがとうございました。おかげさまで無事盛会にて終わりました。
太郎さんの絵に関するご指摘、流石に目が肥えておられます。感心した次第です。
 多くの句を選んでいただきありがとうございます。そして我が意を汲むコメントをありがとうございます。
 「万緑や肺の奥までみどりなる」の句は肺と緑が呼応して、なんと生々しい句なのかと思いました。万緑の森で大きな深呼吸をする人は百歳まで生きるのであろうと思いました。私の句ではありませんが、ある俳人の句で好きなのが、
 「万緑やざぶざぶ洗ふ児の手足」
 「万緑におく鞍の位置狂いなし」
 「万緑を二分して最上川」
というのがあります。

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