goo blog サービス終了のお知らせ 

草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句 桔梗/ゆらぎ

2022-08-03 | Weblog
  九分九厘さんにならって、花の名前で句を詠んでみました。

 廬山寺に桔梗(きちこう)をみるいとをかし
  京都は上京区にある廬山寺は紫式部ゆかりの地。『源氏物語』は、ここで       執筆されました。

 桔梗や永遠の愛喜雨の降る
   桔梗の花言葉(永遠の愛)にかけた。

 白桔梗百済観音宙(そら)のなか

 桔梗白し国葬なんぞ知らぬこと
   桔梗の花言葉は誠実とのことであるが、正直というのもある。
   己に正直に言うと、今回の「国葬」はいかがなものかと思う。

  このように詠んできて顧みるに、のんびりと花の句など詠んでいていい  のかと内心忸怩たるものがある。そう思って、時事句を一句詠みました。

 ウクライナ今は夏春はいつの日に

 老年やかき氷みる三尺寝

 三尺寝するいとまなく雨滴る

 風の道三尺寝して虞美人草
  ~白い花の花言葉は、「眠り」

 夏のよそ愛酒楽酔わが人生


 駄句ばかりで失礼しました。わが俳句人生を振り返れば、初めてまもない頃,”いかなごのたいたんもろて春やわあ”、と自由闊達な句を詠んでいました。
ああ、あの頃に戻りたい。

今日の俳句   風蘭 /  九分九厘

2022-07-23 | Weblog
           

 我が家に風蘭が二株ある。もう30年近く永らえているが手間のかからない花である。秋の彼岸花と同じで、花の姿を描くにはいささか複雑過ぎるのである。そろそろ花も終わりの時期が来た。漸くにして、秋の絵画展の作品に手を付け始めることになった。

           
           風蘭の影うつろひし風の道

           うすうすと明日が透け見る風蘭かな

           風蘭や互ひのいのち計り合ひ


           冷素麺つくづく二人だけの昼
            
           炎天下妻の歩みに蹤き添ひて
           
           祇園祭コンコンチキショーと聞こえたり

           一些事に執して残る夏疲れ

           炎昼の謐けさに描く仏画かな
     
                            以上

今日の俳句 :涼し  :葉有露

2022-07-09 | Weblog

今年の雨安居は、ことのほか早く終わってしまいました。暑さの向かう心準備も整わないままに、夏にはいりました。

 ・絵具溶き夏の色をば探しおり

 ・浅葱色まとう女の尚涼し

 ・風呉れる手首の先の舞扇

 ・聖堂の奥に進みつ涼気知る

 ・聖堂の奥の木立や鐘涼し

 ・花合歓と戯れし時見つからず


今日の俳句 夏/龍峰

2022-07-01 | Weblog
 
   名護屋城址大手口(正門)
 
       名護屋城址本丸跡 中央の碑は東郷平八郎の筆なる「名護屋城址」
 
先日所用にて佐世保まで出かけたが、往きに寄り道、博多より玄界灘を臨む筑肥線にて唐津まで行き、バスを乗り継いで50分ばかり、名護屋城址を訪ねた。
テレビドラマの太閤記等で登場する文禄・慶長の役(1592~98年)の拠点として、秀吉は、朝鮮半島へ渡る最短距離のこの地に名護屋城を築城した。城は当時5層の天守を備え、大阪城に次ぐ規模を誇った。全国160を超える大名や武将が築城に参加し、城の周りに各大名が陣地を構え、人口20万の都市を築いた。朝鮮半島へ攻め入った結果はご存知の通りである。そしてその寿命はわずか7年だった。
江戸時代に廃城になったが、現在まで残る大規模な石垣と城址の広大さ、幻の都市の大きさに秀吉の当時の威力を偲んで余るものがある。正に兵どもの広大な夢の跡である。
   
       崖抜けて玄界灘や朝の凪
       四百年の石垣堅固夏巡る
       太閤の野望ど豪(え)らし夏の夢
 
       家康のむかひ政宗夏の草
       兵どもつどひし跡や梅雨滂沱
       夏の海指呼の先なる対馬かな
 
       あじさいや呼子の浦の舟隠し
       二両電車佐賀平野行く梅雨晴れ間
       玄海の島また島や夏夕焼
 

今日の俳句 ミモザの花/ゆらぎ

2022-06-24 | Weblog

 今回は、季節の句に加え、今はなき吉岡幸雄さん(染織家)の『日本の色辞典』から、いくつか詠みました。また句友であった斉藤百鬼さんを偲んで
数句詠むことにしました。

(季節の句)
 かんぱちの握りはうまし夏惜しむ

 あやめ咲き鏡花の道は暮れなずむ

 ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き
               
                  (浅草 辻屋本店製)
 夕凪や鳥の声聞きステテコで


(日本の色を題材に)

 美しき色を求めて雪の下

 朝ぼらけあまた輝く夏の色

 鎌倉朱縄文時代の色残す(あえて無季)
 
 五月雨るる女学生らは臙脂(えんじ)色

 助六や江戸紫は濃かりけり
  ~江戸紫は歌舞伎の助六が締めた鉢巻の色。
   ”紫と男は江戸に限るなり”という川柳がもてはやされた。

 口福やくちなしの花三杯酢

(今は亡き句友 斉藤百鬼さんを偲んで)7月10日は、彼の忌日である。


  思い出は暗号名と詠みし人
  ~2008年に、”女スパイ暗号名はミモザ咲く”、と詠んだ。こんな当    意即妙の歌人はいない。

 二合半(こなから)と言われてみると夏のよそ
  ~百鬼さんが、句会「れいの会」で、”李白一斗われは二合半寝待ち月”   と詠んで絶賛を博した。


 思い出は小春に似たる妻を持ち
  ~百鬼さんに、”小春日や小春に似たる妻を持ち”という愛情あふれる名   句がある。

 サスペンダぱちんと鳴らし虹二重




今日の俳句 / 紫陽花  九分九厘

2022-06-16 | Weblog

        

 
 インプラントの手術は半年くらいかかるが、わざわざ信頼のおける夙川の歯医者に通っている。阪急苦楽園から河川敷緑地を通って、15分くらいかけて阪急夙川まで歩くときがある。春は勿論桜であるが、今は紫陽花の最盛期である。

       夙川の流れに添ひつ梅雨夕焼
       うすむらさきの想ひ出ばかりあぢさゆの花
       木漏れ日の薄もみ抱く紫陽花かな

       芍薬のいよよ白きや円い宙
       新樹晴ハッケヨイヨイ身も軽く


 ウクライナを憂いての二句です。

       人として人を愛してヒマワリの種
       ウクライナのことなど口に柏餅

 追記:下記の写真は、我が家の庭に咲く一重の白い芍薬です。「立てば芍薬、坐れば牡丹、歩く姿は百合の花」と唄われてきましたが、白い芍薬は清楚そのものです。実際に咲く時期は5月の中頃です。我が家の芍薬は、かつては牡丹の台木であって牡丹を咲かせていたもの、今では牡丹は咲かずに芍薬に変ってしまいました。

                          

                               以上

今日の俳句:雨安居:葉有露

2022-06-08 | Weblog
 昨日一年半振りの光彩会展が、無事終了しました。
懐かしい仲間に会えたのが、作品鑑賞以上の収穫でした。
 やがて梅雨入りです。

 ・バンコクの熱き大地に雨安居
   梅雨近くなると、この地の雨期を思い出します。一日しとしと
  降るのではなく、毎日ほぼ同じ時間にどっかとシャワー状に降ります。
   この時期、僧侶は寺院に籠り修行三昧です。

 ・五月雨に古き手紙を開くのみ
 ・五月雨の止みし朝は径光り
 ・梔子は姿見せず香でかたり
 ・短夜の朝の冷気に我を知り


  

今日の俳句 麦秋/龍峰

2022-05-28 | Weblog

            信楽のたぬき達

コロナ小康状態の今がチャンスと捉え、先日信楽の陶芸村へ出かけた。
沢山の窯元があるが、訪ねたのは明治21年に開窯の老舗。すでに引退はしているが、大きな100年の歴史を支えた登り窯は、満身創痍のひび割れ、窯の天井や壁は1300度の熱で実に味わいのある緋色で存在感があった。但し、今は雰囲気のある喫茶店として活用されている。
信楽と云えばやはり、たぬきの置物。本格的に作り出したのは昭和26年の昭和天皇のこの地への行幸がきっかけとか。
戦後間もなし迄は、火鉢の生産で全国の9割り方をしめていた。今は、昔ながらの茶器の他、植木鉢、傘立て、スパ用の五右衛門風呂等など。時代と共に陶芸品のニーズも変わってきているようであり、苦労がしのばれた。

    黄あざやか長雨前の麦秋かな
    植え揃ふ棚田のひかる伊賀の里
    竹の秋山郭深く家二軒

    新緑や今も変わらぬたぬき達
    葛饅頭スカーレットの湯飲みかな
    万緑や緋色の壁の古茶房

    緑陰や深きねむりののぼり窯
    薫風や信楽背負ひし登り窯
    老鶯や明治のひびののぼり窯

今日の俳句 キビタキ/ゆらぎ

2022-05-19 | Weblog
     ~写真は、美しい声で鳴くキビタキ。

くちずけを知り染めし日の若楓
  ~こんな日もあったかなあ!
今いちど言葉少なに蛍の夜

香水や罪の闇路を踏み迷う

少年のような目差し五月晴れ

マロニエや色と色とは弾き遊ぶ
  ~三木露風の詩(現身)より採りました。鳥も花も春の日差しの中に酔う  、その様を”色と色とは弾き遊ぶ”、と詠んだもので色彩感覚を半ば踏まえ、それをまた何かの楽器の合奏するさまに言いかけたもの。

夕ぐれの時はよい時初蛍


白鳥は大空を翔け風薫る

父の日や娘(こ)の鏡裏思い羽(ば)を
  ~おしどりの雄が橙色の飾り羽をピンと立てている。雌を引き付けるための勝負服。これを鴛鴦の思い羽という。かつては、その思い羽を嫁ぐ娘の鏡の裏に忍ばせる習わしがあった。夫婦愛の筆頭に挙げられていた。

五月野に瑠璃囀(るりてん)の鳥鳴くこずえ
  ~伊良子清白の詩「五月野」より。「瑠璃囀」の囀は、さえずるの意。オオルリの鳴き声から詠んだ。澄んで、まろく、珠のように揺らめく。
 

五月晴れなんじゃもんじゃの花が咲く
  ~六甲アイランドでの自然詠。次の句も。

著莪(しゃが)の花キビタキたまにわが家へも
















今日の俳句 / 鉄線花  九分九厘

2022-05-11 | Weblog
          

 今日の俳句は、我が家の庭で今が盛りの鉄線の花と、見事な緑を演出してくれる柿若葉を詠みます。朝起きたときに目に入る濃の鉄線花と光に輝く柿若葉の色に、朦朧とした頭が新鮮に蘇ります。
     
          鉄線花日の差す空に対峙せり

          鉄線やこれぞおのれと濃紫

        
        


          柿若葉ひかりの先の空の青

          腑に落ちる色がすべての柿若葉

          柿若葉ひかりに匂ひありにけり


 前回の葉有露さんの俳句投稿で「蝶」を詠まれました。これに引かれて三句ができ上がりました。

          マリュウポリ慄く蝶は地下に舞ふ

            緩歩する吾に戯るる蝶ありて

          夏の蝶平和の日々を待ち望む

                                                                      以上