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草若葉

シニアの俳句日記
 ~日々の俳句あり俳句談義あり、そして
折々の句会も

今日の俳句:朧:葉有露

2022-05-01 | Weblog
 自室から見える教会の菩提樹の葉は、雨にうたれて生命の
輝きを鮮やかに見せてくれています。
 今回の投句の内容は、4月上旬の俳句教室での作句でいささか
季節はずれの感があります。ご容赦ください。

 俳句教室 兼題:春愁・朧・蝶
 ・春愁を遠くに置きて老いを得る
 ・遠き日の面影いまも月朧
 ・長き日の出会ひし人のみな朧
 ・さなぎ捨て蝶軽々と飛び去りし
 ・高き塀助走もなしに蝶は越え





今日の俳句 早苗田/龍峰

2022-04-26 | Weblog


      
             早苗田

急に思い立ち、三里に灸据えて、「東京さ」へ出かけた。これまでも訪ねようと思っていたがきっかけがなかった。しかし、コロナがやや下火になった今がチャンスと思って出かけた次第。10数年ぶりの東京であった。
車窓からは春の光景が次々と目に飛び込んだ。

   早苗田や満々と水張られをり
   菜の花の里までつづく近江かな

山梨辺りを通過時に浮かんだ桃源郷
   一瞬過ぐは桃の花とや甲斐の山

     
        老舗のうなぎ屋
昼前に東京に着くや否や、懐かしい老舗のうなぎ屋に直行した。東京勤務の40年前、時に訪れた。老舗の鰻は一口食べて、数十年前の変らなぬ味がよみがえった。
   久に来し老舗の鰻とはの味

     
     小名木川が墨田川に流れ込む地点、その向こうは清洲橋
     芭蕉庵はこの近くにあった。

念願の深川の芭蕉庵のあった地を訪ねた。芭蕉記念館や実際に芭蕉庵が立っていたと思われる地、墨田川や小名木川の辺りを歩き匂いを嗅いだ。
   草の戸を偲ぶよすがや春の風
   翁愛でし石のかはずや芭蕉庵
   春光や時流るるも墨田川

江戸の頃小名木川は舟を浮かべ月見をする名所だった。芭蕉も然り。そして春は。
   舟浮かべ春惜しみけむ小名木川

そして庵を人に譲って1689年3月に奥の細道へ旅立った。
   若芽吹く庵払つて網代傘

       
      上野の森
上野では東京芸大美術館・芸大コレクション展や東京都美術館・二科会春季展を訪ねた。改めて上野の森の深さに印象付けられた。神保町の古書店街、その他都内のあちこちの変貌を遂げつつある姿を見て回った。そして代官山近くの西郷山公園でうぐいすの鳴き声を聞きホッとした。
   赤レンガ上野の森の深みどり
   アバンギャルドなる春季展疫払ふ
   刻止まる古書肆 のはしご春日差し
   うぐいすや都心の苑も裏山も


今日の俳句 菜の花/ゆらぎ

2022-04-11 | Weblog

 菜の花と淡路の海やユクレイヌ
  ~菜の花と淡路島の海の色が織りなすウクライナカラー。
 野田藤や雨に打たれし暮色かな
 
 炎(ひ)の装束やぶさめ射たる夏近し
  ~下鴨神社のやぶさめ神事にちなんで
 春愁やこの身このまま旅ごろも

 
 夜半の春恋のおみくじ紅閨に
  ~「紅閨」とは、高貴な美女の寝室のこと。

 遠目にも春の雨傘妹がさす

 落椿椿の寺の二三片
  ~京都の椿寺のことを振り返って。椿寺(地蔵院)は、五色散椿で 
   知られる。

 ランボーの詩を聴く夜の桜南風(*さくらまじ)
  ~*広島県で、桜の咲くころ、南からそよそよと吹いてくる暖かい風。

 ハフナーが枕頭の曲花の果*
  ~*花の果・・・花時がすぎると、盛の時、歓楽の時がすぎたと云ううつ      
   ろな感じがする。

 逢初やくりかえしゆき春深む
  ~逢初を繰りかえすことにより、愛惜が深くなる。







 

今日の俳句  暖か / 九分九厘

2022-04-03 | Weblog
           

 四月馬鹿の4月1日に投稿をしようと考えていましたが、ウクライナ戦争のこともあって俳句がうまく出来ませんでした。裏山の桜と雪柳が満開となっています。今日は急に花冷えとなって、まだ天候不順の日が続きます。日ごろの生活を詠んだ句を披露させてもらいます。並べてみると平和な句ばかりです。
 
          あたたかやへのへのもへじ杖で書く
          青い空桜並木に白い雲
          暖かな空気やすらか深呼吸
          鴬の発句に切れありホーホケキョ
          カップ酒ポケットに二つ花見とや
          あれこれの憂さは棚上げ花の下
                               
                                 以上

今日の俳句:春泥:葉有露

2022-03-23 | Weblog
 いかなごの時期は去り,櫻花の時が近づいています。雨水を吸って蕾も膨らんできました。

 俳句教室:兼題   春雷・春泥・いかなご

     ・春雷に森の木々さへ驚きぬ
     ・初雷は我が物顔よ道ゆずる
     ・春泥と戯れ進む通学路
     ・春泥に判子押し行く勤め人
     ・岩屋沖いかなご漁師競い合い
     ・松帆の浦小屋ごと匂ういかなごで
     ・いかなごは水より出でて釘となり
     ・いかなごや醤油と生姜の香をまとい




 

今日の俳句 春/龍峰

2022-03-16 | Weblog

         住吉川の堰

長かった寒さも和らぎ、自然界には再び春の暖かさが戻ってきた。
しかし、東欧ではクマが牙を剥き出し、無垢な隣人に襲い掛かっている。
何と愚かなことか、時代は100年以上逆戻りして列強の弱肉強食の時代に戻ったような様である。
果たして安眠を貪ってきたわが同胞は目覚めるだろうか。

    水音の一段高し春の堰
    思い出すごとく降り出す春の雪
    ややの虫笑いのごとく春の雪

    身の毛よだつ戦の報や春一番
    種物やふれば太古の音のする
    侘助の思いやいかに垣の奥

    冴え返る首すくめたる寝起きかな
    途中より意に介さざり春泥かな
    鰊群来と渚に駆くる赤銅色

    灯台へたどる草むら花大根
    仲春の狭庭にひびくシューベルト
    込み上ぐる「蛍の光」桜餅 

今日の俳句 春二番/ゆらぎ

2022-03-08 | Weblog
    写真は、置賜地方の風景です。
九分九厘さんの「春一番」にならって、春二番と題しました。

 今回は、言葉の遊びのようなもので、あまり聞き慣れない言葉を選んで句を詠んでみました。

(春二番)

春二番もうすぐ花が咲きますよ
 ~この季重なりは許されるかも。
  所ジョージの歌(ギター伴奏)がありますね。”角の喫茶店で珈琲を飲ん             で湯気がうずを巻く鳴門に見えた・・・”。

啓蟄や日の辻休みけふもまた

黄水仙海に向かいて咲満てり


灯の赤きみやこ歩めば大石忌
 ~三月二日、大石良雄は祇園の一力で遊興していました。

ヤルヴィーも悲しみの中春の闇
 ~指揮者パーヴォ・ヤルヴィーはエストニア出身ですが、ウクライナに親近 感を抱いています。

さ丹つらふ乙女遊べる涅槃西風
 ~涅槃西風は、涅槃会の頃七日間ほど柔らかに吹きつづく西風。浄土から
  現世への訪れとして感じる。

  さ丹とは、(赤みを帯びて)美しく映えている。ほの赤いの意味。

くちびるの紅刷く女(ひと)やお水取り

春の月灘の白鹿いただきて

花冷えや冷や酒飲みて春の宵
 ~春宵一刻値千金花に清香あり・・・
  春の宵の一刻は千金の値打ちがあるほど素晴らしい。花は清らかな香りを  放ち、月はおぼろにかすんでいる。先ほどまで歌声や笛の音(ね)がにぎ  やかだった高殿からは、名残りを惜しむように細々とかすかに聞こえるだ  けで、乗る人も無くなったぶらんこのある中庭に、夜は静かに更けていく。

  当時貴族の邸では寒食(かんしょく)という行事があった。陰暦3月の清  明節の前後3日間ほど、火を使わないで冷たいものを食べる風習である。

朽木谷花折峠風光る
 ~京都と・・を結ぶ鯖街道にある名前をならべました。車で走ると、素敵な 街道です。


置賜(おいたま)は国のまほろば菜種花咲く
 ~斎藤茂吉門下の結城逢草果の歌から、採りました。置賜は、山形県にあり、四方を吾妻山地、飯豊三地に囲まれた豊かな土地です。




今日の俳句  春一番 / 九分九厘

2022-02-26 | Weblog
       

 二月は私の誕生月。二月末ぎりぎりの投句になりました。誕生日の九日の日に、春一番の風が吹いたことを克明に覚えています。毎日のことですが、連れ合ひと裏山を散歩しています。一緒になって、もう六十年になろうかという年月が経ちました。まだまだ長生きをするつもりですのよろしくお願いいたします。狭庭に沈丁花がほころび始めました。まだ香りはしていませんが俳句では満開のようです。


       梅二月いのち授かり八十五年

       春一番ふと連れ合いの手を取りて

       春一番背中を押してくれる君

       風やさし野梅の空の広さかな

       沈丁花あかき蕾の明媚なる

       狭庭ゆえ丁子の風のなやましき

                             以上

今日の俳句 盆梅(2)/葉有露

2022-02-22 | Weblog
 立春が過ぎても、東北・北海道中心に冬に逆行するような日々が続いています。この時分に、温かい風が少しでも混じっていたら、気分も随分明るくになるのですが。今日初めて、新聞に梅便りが出ました。

 いつもながら、少ない投句で恐縮です。

  ・掌に光掬へど春浅し

  ・絵具溶き浅き春をば求めたり

  ・近づけばなにやらありて草萌ゆる

  ・盆梅の枝に手をいれ目覚め待ち

  ・盆梅のくねりし幹ぞわが身なる

  ・盆梅の老い枝先青い苔

今日の俳句 盆梅/龍峰

2022-02-15 | Weblog

                庭の盆梅

この春も引き続き寒いのか、梅の出足が鈍いようだ。近所の梅林に行ってみたが、3分咲きぐらいだった。世の中なべて縮み込む、人も万象もか。否、左様なことはあるまい。
今回も乱れ打ちとなった。

         盆梅の耐へ耐へぬいて咲きそろふ
         紅梅の一輪咲いて声上げし
         石段の目と目の会釈梅見かな
         海見えて梅の遅速を楽しめり

         明け六つを聞き一ねむり春障子
         代替わり塀直したる余寒かな
         獺祭りの魚魚棚に勝りけり
         夜な夜なに引き留めらるや浮かれ猫

         春浅し潮騒未だ荒荒し
         朝市のいか干す軒や春疾風
         春の海日の沈むころ静もれり
         春の雪なほ降り来しと兄の文