今回は、季節の句に加え、今はなき吉岡幸雄さん(染織家)の『日本の色辞典』から、いくつか詠みました。また句友であった斉藤百鬼さんを偲んで
数句詠むことにしました。
(季節の句)
かんぱちの握りはうまし夏惜しむ
あやめ咲き鏡花の道は暮れなずむ
ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き
(浅草 辻屋本店製)
夕凪や鳥の声聞きステテコで
(日本の色を題材に)
美しき色を求めて雪の下
朝ぼらけあまた輝く夏の色
鎌倉朱縄文時代の色残す(あえて無季)
五月雨るる女学生らは臙脂(えんじ)色
助六や江戸紫は濃かりけり
~江戸紫は歌舞伎の助六が締めた鉢巻の色。
”紫と男は江戸に限るなり”という川柳がもてはやされた。
口福やくちなしの花三杯酢
(今は亡き句友 斉藤百鬼さんを偲んで)7月10日は、彼の忌日である。
思い出は暗号名と詠みし人
~2008年に、”女スパイ暗号名はミモザ咲く”、と詠んだ。こんな当 意即妙の歌人はいない。
二合半(こなから)と言われてみると夏のよそ
~百鬼さんが、句会「れいの会」で、”李白一斗われは二合半寝待ち月” と詠んで絶賛を博した。
思い出は小春に似たる妻を持ち
~百鬼さんに、”小春日や小春に似たる妻を持ち”という愛情あふれる名 句がある。
サスペンダぱちんと鳴らし虹二重
(今は亡き句友 斉藤百鬼さんを偲んで)7月10日は、彼の忌日である。
思い出は暗号名と詠みし人
~2008年に、”女スパイ暗号名はミモザ咲く”、と詠んだ。こんな当 意即妙の歌人はいない。
二合半(こなから)と言われてみると夏のよそ
~百鬼さんが、句会「れいの会」で、”李白一斗われは二合半寝待ち月” と詠んで絶賛を博した。
思い出は小春に似たる妻を持ち
~百鬼さんに、”小春日や小春に似たる妻を持ち”という愛情あふれる名 句がある。
サスペンダぱちんと鳴らし虹二重
今回は特別に、味わいのある、作者の人柄の奥深さと幅、にじみ出る人生経験と未だ青雲の意の高きものがいっぱい詰まった秀句のオンパレードです。
1句1句味わいつつ、何れを選句すべきやと一夜過ぎました。厳選して以下の句を頂きます。
あやめ咲き鏡花の道は暮れなずむ
鏡花と聞いただけで幽玄の境地、「あやめ」と「暮れなずむ」とくれば道具立ては揃い、句は作者の世界を100%表現していますね。
ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き
残念ながら百鬼さんに出会うチャンスはありませんでした。しかし、百鬼さんの句を拝見して伝わる、人生の本音を飾り気無しの言葉で詠む句にはぐっと腹底に響いてくるものがあります。
鎌倉朱縄文時代の色残す
鎌倉彫などに見る朱は、言われてみれば、渋く、遠く縄文の生活が留まっているように感じます。
口福やくちなしの花三杯酢
くちなしの花の三杯酢なる料理は初めて知りました。さすが、食通の頂点を行く人と感じました。来年トライしたいものです。
思い出は暗号名と詠みし人
思い出は小春に似たる妻を持ち
解説を読んで、原句には実に軽妙で唸らせるものがありました。その思いでの人を詠むに、それぞれ本歌取りのうってつけの句ですね。
今回のブログは、俳句を取り入れた随筆なのだと思い、すいすいと楽しく読ませてもらいました。俳句と文章が溶け合っているので、どの俳句がいいかどうかについて評価しないほうがいいのでしょう。どの句も面白く且つ素晴らしい出来です。
敢えて取り上げると、百鬼さんがらみの粋のいい句です。
ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き
夕凪や鳥の声聞きステテコで
サスペンダぱちんと鳴らし虹二重
百鬼さん主催の句会に何回か投稿して、優秀賞として頂いた「短冊」があります。ピンで柱に留めてあります。「霊吼」なる俳号の短冊ですが調べても誰か分かりません。サスペンダの句が一番好きです。
以上
ここ数日、急激な気温上昇となり、ゆらぎ様に於かれましては如何お過ごしかと存じます。
又世の中はコロナ禍の収束を未だ見ないうちに、ウクライナ戦争の長期化、その事に加え我が国各地での地震発生と、少しも明るい話題はないようですね?・・・ほんまどないなっとんのやろ!!?。
今回は趣向を変えてユニークな俳句をご紹介頂き、その沢山の力作の中より下記の句を選び鑑賞させて頂きました。
(季節の句)
☆かんぱちの握りはうまし夏惜しむ
夏の深まりと共に、海の魚のかんぱち、ひらまさなどの握りが美味しく感じられますね?真夏でも元気一杯で食欲旺盛なゆらぎ様ならではの一句ですね!!。
☆あやめ咲き鏡花の道は暮れなずむ
「鏡花の道」とは何処の事をイメージされているのでしょう?「高野聖」で有名であり、俳句もものした明治、大正のロマンティックな小説家の泉鏡花が想われます。あやめの咲く夕景の散策は思索に富んでいますね?
☆ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き
嘗ての好漢、斎藤百鬼様の想い出も下地にあるのでしょうか?江戸の街浅草寺のほうずき市の賑わいが「百鬼夜行の下駄」とのそじに想われます!!。
(日本の色を題材に)
☆朝ぼらけあまた輝く夏の色
今は亡き染織作家の方の家には、夏の朝に数多の色が輝いでいるのですね?さすがゆらぎ様ならではの「色の道」修行のようですね!!
☆鎌倉朱縄文時代の色残す(あえて無季)
確かに!!。鎌倉塗のお盆や調度品は丹色の朱色のようですね?縄文時代の道具の色を連綿と伝えているのですね?
☆助六や江戸紫は濃かりけり
~江戸紫は歌舞伎の助六が締めた鉢巻の色。
江戸紫とは歌舞伎の題名「助六」より来ているのですね?團十郎演ずる所の紫の鉢巻きが想われます。
(今は亡き句友 斉藤百鬼さんを偲んで)
☆思い出は暗号名と詠みし人
「~2008年に、”女スパイ暗号名はミモザ咲く”、と詠んだ。こんな当意即妙の歌人はいない。」・・・「女スパイ暗号名」とは驚きの着想ですね?
☆二合半(こなから)と言われてみると夏のよそ
「~百鬼さんが、句会「れいの会」で、”李白一斗われは二合半寝待ち月”と詠んで絶賛を博した。」
その当時、ゆらぎ様より「二合半(こなから)」なる言葉を百鬼様の句の紹介により覚えた事を思い出しました。
☆思い出は小春に似たる妻を持ち
「~百鬼さんに、”小春日や小春に似たる妻を持ち”という愛情あふれる名句がある。」
思い出しましました!!。百鬼様の薬局を営んで居られ、愛妻家と云う事を
☆サスペンダぱちんと鳴らし虹二重
「サスペンダぱちんと鳴らし」との措辞が抜群に好いですね?小回りの利く、粋なスタイルが想われます!!。
=小生の最近の拙句を!!=
白き筋あの子にりゅうと草矢打つ 栄太郎
父の日やくせある父の所作思ふ 栄太郎
まことに過分なお言葉を頂き恐縮です。恐れ入り谷の・・・・! 吟行にでも行けば、皆さんのような季節の句を詠むこともできるのですが、それも叶わず、頭でっかちの句を並べてすみません。
”あやめ咲き鏡花の道は暮れなずむ”
金沢に吟行に行った時、その前夜に一人で東を散策しました。「鏡花の道」があるのですね。それを思い出して詠みました。
”ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き”
斉藤百鬼さんは、滅多にあえぬ歌人でした。彼が、もし生きていたら、草若葉に、時にはきびしく、時にはユーモラスにコメントしてきただろうと思います。この句の、「百鬼夜行」は、浅草の下駄屋の最近の製品の一つです。。
”鎌倉朱縄文時代の色残す”
吉岡幸雄さんの、本を見て色遊びしてみました。
”口福やくちなしの花三杯酢”
くちなしの花は、梅雨時の野草料理の一つです。三杯酢にすると美味いですよ。
”思い出は暗号名と詠みし人”
”思い出は小春に似たる妻を持ち”
百鬼さんの奥様とは、東京でお会いしたことがありますが、仲のよいご夫婦でした。
拙文をお読み頂きありがとうございました。
百鬼さんは亡くなってしまわれましたが、彼のことは今も強く印象に残っています。もし、彼が存命であったら、草若葉にコメントし、そして時には句会に参加してユーモアあふれるコメントを、さらには厳しき批評をしてくれたのではないかと思っています。
”サスペンダーぱちんと鳴らし虹二重”の句は、それほど深く受け止めてはいなかったのですが、大兄が取り上げられたので、改めて考えて見ました。サスペンダーをぱちんと鳴らす小気味の良い音と、幸福の象徴と言われる二重虹が重なっているのですね。ユニークな着眼点に感じ入りました。こんな句は、到底、私には詠めません。
日々の生活の中で、俳句を存分に駆使されていて
羨ましい限りです。小生の愛読書の中に、小川軽舟著「俳句と暮らす」があります。俳人にして、サラリーマンでもある著者は、「飯を作る・会社で働く・妻に合う・散歩する・酒を飲む・病気で死ぬ・芭蕉も暮す」の夫々の場面での句を披露しています。
前回の山手会で色を題材に句を作ると言われていましたが、早速お目にかかれたので以下の三句に
集中させていて頂きます。
・鎌倉朱縄文時代の色残す
・五月雨るる女学生らは臙脂色
・助六や江戸紫は濃かりけり
「鎌倉朱」とは日本画の顔料のようですが、小生
が習っていた陶芸では、「辰砂」に相当します。古来湖南省辰州の産で、日本では弥生時代に産出され始めてようです。藤沢勤務時、家内が鎌倉彫を習っていてその作品が手許に残っています。
「臙脂色」は小生にとっては、子供の頃から
乗っている阪急電車の車体の色「マルーン」に相当します。この色は生活の一部にもなっています。ゆらぎ様は「女学生は臙脂色」と表現されていますが、充分な理解に達し得ず、ご教示賜りたくよろしくお願いもうしあげます。
「江戸紫」ですが、「紫」はイギリスの紋章では「王位と高位」を表し、キリスト教徒にとって重要な祭日である「イースター」の象徴です。紫の果たす意味合いは共通のものがあるようです。
句全体のコメントにならず恐縮です。
葉有露拝
拙句にお目通し頂きありがとうございました。その上、全十句にコメントを頂き、恐縮です。ありがとうございました。
☆かんぱちの握りはうまし夏惜しむ
~かんぱちは、ある意味高級魚、ブリより味わいが上品で、じわりと脂から甘みが浮かんできます。まさ夏の握りに最適です。
☆あやめ咲き鏡花の道は暮れなずむ
~以前金沢に吟行にいきました。太郎さんは、残念ながらご欠席でしたが、私は一日早く、東京から参加しました。着いたら、もう夕方。”東”を浅野 川に沿って散策していると、そこに「鏡花の道」がありました。静かな夕ぐれでした。
☆ほほずき市百鬼夜行の下駄を履き
~浅草の鬼灯市は賑やかです。東京に行った時、そこを浴衣がけで散策した、という趣向です。下駄は、浅草の下駄屋「辻屋本店」の下駄です。写真にあるように百鬼夜行のデザインがされています。
☆朝ぼらけあまた輝く夏の色
~ハイ、「色の道」修行です。ナニした後の朝帰りです。あはは・・・。
☆鎌倉朱縄文時代の色残す
☆助六や江戸紫は濃かりけり
~歌舞伎で見たとおりです。
☆思い出は暗号名と詠みし人
~”女スパイ暗号名はミモザ咲く”。こんな句は、本当に詠めません。脱帽です。
☆二合半(こなから)と言われてみると夏のよそ
~百鬼さんの本歌のようには、詠めません。それにしても、うまいなあ!
☆思い出は小春に似たる妻を持ち
~”小春日や小春に似たる妻を持ち”などと詠まれたら、ミセスは百鬼さ に深い愛情を感じられたでしょうね。実際に、奥様とは東京でお会いしまし たが、ほんとに夫唱婦随、いや婦唱夫随でした。
☆サスペンダぱちんと鳴らし虹二重
~「サスペンダぱちんと鳴らし」との措辞が抜群 に好いですね?」・・・本当そう思います。
○たろうさんのお句
~”白き筋あの子にりゅうと草矢打つ ”
”父の日やくせある父の所作思ふ”
どちらも父上への愛惜の感がありますね。佳句 です!
拙句をお読み頂き、その上三句をお採り頂きありがとうございました
○鎌倉朱縄文時代の色残す
~鎌倉朱というのは明るくていい色ですね。太陽の色とも。古くは、縄文時代の土器も朱で彩色されています。古代の朱は、法隆寺の玉虫厨子にも 残されています。
○五月雨るる女学生らは臙脂色
~臙脂色は、明治時代の女学生の袴の色ですね。また早稲田大学の校旗の色としても知られています。阪急電車の車体の色は、マルーン。まさに 臙脂色ですね
○助六や江戸紫は濃かりけり
~「紫。は、日本でも『源氏物語』にみられるように高貴な人しか使えなかったと言われています。洋の東西を問わず、おなじことが言われていました。
俳句の世界で百鬼の魂は健在なんですね
命日に、贈られた俳句とても嬉しいです
ありがとうございます