弥谷地内のゴンパチ栽培地には多くの視察が訪れている
美山村当時、旧美山産品所がオープンした昭和63年に全国で初めてゴンパチ(イタドリ)を商品化した特産品「ごんちゃん漬け(塩漬け)」が名物となった日高川町美山地区で、ゴンパチ栽培が軌道に乗り、山間地域などの新たな栽培品目として脚光を浴びている。町生研グループの専門部会が、県林業試験場(上富田町)の協力を得て平成25年春から弥谷、熊野川両地内の休耕田で栽培を始め、2年前に初収穫に成功。3年目の収穫期を迎えた今年は、県内はじめ高知県などから視察が相次いでいる。
ゴンパチは、全国各地に広く自生するタデ科の山菜(多年草)で、タケノコ状の若芽が食べられ、県内は紀南地方が中心、全国では高知県などごく一部地域で食用に用いられている。昭和60年ごろ、このゴンパチを特産品に出来ないかと考えた旧美山村生活研究グループのメンバーが、3年がかりで塩漬けした「ごんちゃん漬け」の開発に成功。昭和63年4月、椿山ダム畔に誕生した産品所の開所記念で発売開始すると、予想以上のヒット商品となり、県外に知れわたる特産品になった。
以前は美山地区にも多くのゴンパチが自生していたが、自生物が少なくなったため、地元でも栽培に取り組む動きがあったが軌道に乗らなかった。そんな中、平成20年からゴンパチの栽培方法を研究してきた県林業試験場が栽培方法を確立。その方法を生かして平成25年、国補助の現地適用化事業を活用して弥谷、熊野川両地区の遊休農地で地元の生活研究グループ・ゴンパチ部会(竿本みき代部会長)が栽培を始めた。
平成25年春、同事業で弥谷地内では約1・5アールに約400本のゴンパチが植えられ、平成27年春に念願の初収穫。生研グループが行う栽培と平行して、県林業試験場が長期栽培に適した収穫方法や生育状況などの調査も行っている。これらの取り組みがテレビなどで紹介されると、遊休農地や休耕田対策に関心のある地域から同試験場に問い合わせが相次ぎ、今収穫期は有田地方や白浜町、県外では高知県などからも現地視察に訪れた。
弥谷、熊野川の両栽培地だけでなく、今年3月からは寒川地内、さらに今年度から県と町の防護柵補助を受けて打尾地内でも約9アール弱の土地で約1300株の栽培を開始した。ゴンパチ部会の竿本部会長は「県林業試験場の指導のおかげで栽培が可能になった。取り組みが紹介されたことで、ごんちゃん漬けの人気がさらに高まり、原材料のゴンパチを確保しようとしても自生の物では追いつかず品薄の状態。今の栽培量では材料の不足を補うことは出来ないので、今後も栽培面積を増やして栽培に力を入れたい」と話す。
昨年4月には、椿山ダム近くのリフレッシュエリアみやまに新しい新産品販売所が開所したが、商品不足や地域の特色ある加工品の開発などが大きな課題。そんな中、国の地方創生拠点整備交付金を活用し、役場美山支所南隣に「ふるさと産品加工所」が今年度内に完成予定で、栽培によるゴンパチが確保できれば名物の「ごんちゃん漬け」の大量生産や新たな商品開発にも期待が高まる。
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