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御坊市・防災重点ため池、来年度から対策 〈2023年10月29日〉

2023年10月30日 08時30分00秒 | 記事


来年度で事業計画を策定する新池


 令和2年10月に施行された「ため池工事特措法(防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法)」に伴い、御坊市は、3~4年度で防災重点農業用ため池39池で豪雨耐性評価を行った結果、38池で洪水吐の断面が不足していることが分かった。優先順位を付けながら6年度から必要な対策を行っていくが、予算規模や期間とも見通せないのが現状で財源確保など大きな課題がのしかかる。

 ため池工事特措法は、和歌山県など地方から要望の多かった防災重点農業用ため池の防災工事を集中的かつ計画的に進めるための令和3年度から令和12年度まで10年間の時限立法。防災重点農業用ため池とは、貯水量、堤高など規模の大小にかかわらず、決壊した場合の浸水区域に家屋や公共施設等があり、人的被害を与える恐れのあるため池で、御坊市内では県が令和31月に59池を指定した。
 このうち未利用19池、改修済みの花立池(吉田)を除く、39池を対象に3~4年度で豪雨耐性評価を実施した。調査は県土地改良事業団体連合会が行い、問題がなかったのは畑池(吉田)だけで、残りの38池は「洪水吐の断面が不足している」「劣化している」との結果だった。畑池についても今年度で地震耐性評価を行っており、結果によっては対策が必要になる。
 特に問題だった洪水吐とは、大雨で池から越水しないように一定の水量になった際、池から水路へ流すためのもの。過去に池から越水した事例はないというが、今回の調査は県の基準に基づき「200年に一度の大雨」でシミュレーションしたため、現状の吐け口では豪雨に追いつかず、越水または決壊するおそれが生じるとの結果となり、断面を広げるなどの対策が必要不可欠。
 6年度から池の大きさや決壊時の危険度などから優先順位を付けて必要な対策を進める。まず6年度で湯川町富安地内の新池(総貯水量13万7千立方メートル)薬師池(5万立方メートル)古池(3万2千立方メートル)の事業計画を策定。同時に地震耐性評価も行い、その結果も踏まえて全面改修など必要な対策を決める。3池とも県営事業に該当するため、7年度で国に申請し、8年度から事業着手の予定。
 残りの35池も7年度以降に順次、事業計画策定、地震耐性評価を行い、必要な対策を進めるが、すべて完了するまで何年かかるか、予算がどれだけ必要かは見通せないのが現状。市内には大小あわせて137カ所の農業用ため池があり、防災重点農業用ため池はハザードマップを作成し、関係町内会に配布・回覧したほか、市ホームページにも掲載している。


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