松嶋菜々子主演の「火垂るの墓」を、途中からだけど見た。野坂昭如氏の原作も少し読んだし、ジブリ制作のアニメーションは何回も見ているので、ストーリーはほぼ知っている。と思っていたが、主人公を兄妹ではなく、西宮のおばさんを主人公にしている点が逆に新鮮だった。アニメではこのおばさん、結構キツく描かれていたけど、夫の戦死を契機に、少しずつ兄妹に辛く当たるようになっていく。そして、戦争が終わり、清太や節子も死に、生きる希望を見いだせないと嘆く長女に対し、「戦争はまだ終わっていない、死んだら負けなのよ」と諭す。生きるため、家族を食べさせるために、結果的には親戚を死なせてしまったが、おそらく、松嶋演じたこのおばさんは、当時としては当たり前、むしろまだ人の良かったほうかもしれない。
話変わって、先日の朝食を、時間がなくて玉子かけご飯にしたところ、腹具合を悪くしてしまい、午前中は殆ど仕事にならなかった。こんな話をしてもし、今回のドラマに登場する人がこの話を聞いたら十中八九、「贅沢なこと言いやがって」といわれるにちがいない。主人公の兄妹は海軍士官の子どもで、わりと裕福な環境に育ち、さらにプライドも高いこともあって、まるで戦争時代にタイムスリップした現代の子どもの様に描かれている。(記憶では、アニメ版のパンフにそう書いてあったと思う)。ぼくはこの物語に感情移入出来ない部分はあるけれど、清太少年の気持ちは良くわかる。ただ、むざむざと餓死を選ぶことはしないけれど。
戦争という極限状態の中で戦い、食べて、生き抜いてきたからこそ、今日の繁栄があるように思う。しかし、その気持ちを忘れたのだろうか、今は自分で働かなくとも人に頼って食べて行ける時代になってしまった。当時に戻れなどとは決して言わないが、もう少し「生きる」こと、「食べる」ことの意味を考えなければならない。そんな気にさえなった。
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