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株式市場よりも、不気味な中国実体経済の中身は大丈夫か?

2015年08月27日 14時21分58秒 | 日記
 筆者は昨日までのブログで、株式市場の大幅な乱高下よりも、中国経済が今後、いといよ日本経済に影響を与えるだろう、実体経済の不安定こそが問題だと書いてきたが、最新号のダイヤモンド・オンラインで高橋洋一教授が、全く同じ考え方でコラムを発表されているので掲載しておきます。

 この号には野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問] 氏の『世界同時株安は「投機の時代」の終了を示す』と題したコラムも、興味を持って筆者は読みました。

 特にTVメディアなどは、中国発の株式市場の大暴落という映像で見せる場面が多く、リーマンショック以来の株式市場の混乱と伝えがちですが、リーマンショックは金融部門から発した混乱であり、実体経済の直接的な悪化ではありませんでした。

 それでも金融の混乱から世界中の株式市場にも大きな影響を与え、結果的にはその後の経済活動にも、いろいろと影響が跳ね返ったことは事実でしたが。

 当時、中国が莫大な財政出動を行ったのも、リーマンショックによる中国国内の経済悪化に対処するためであって、中国国内の過度な公共投資や民間の設備投資などで、諸外国は中国向けの輸出などで潤いました。

 規模の大きくなった中国経済である上に、共産党一党支配と言ういびつな政府の経済政策の結果が、不動産バブルや株式バブルに跳ね返ったと言えるでしょう。

 中国経済の実体が高橋洋一教授も指摘しているように、統計データが不正確であるというオマケまでついている為、真の経済の姿がつかめないと言う難しさもあるのです。

 高橋洋一教授は中国政府の発表数字とは違い、恐らくGDP成長率はマイナス3%と推定しておられるようです。

 これはしかし中国の巨大な経済変動と言えます。 少なくとも10%成長、最近の政府の主導が7%成長などと言われていたのですから。

 筆者は思うのです。 中国の成長鈍化がこれからいよいよ鮮明に、世界中に多方面に渡り、大きな影響を与える事になるでしょう。

 中国の富裕層の日本の高層マンション投資買い等も、影をひそめるようになるでしょう。
 中国観光客の化粧品や雑貨品などの爆買いも、だんだんと少なくなるかもしれません。
 中国が新興国のインフラである高速鉄道などの売り込みは、一段と激しさを増すでしょう。
 AIIB(アジアインフラ投資銀行)を早く軌道にのせ、必死で開発途上国に、あらゆるインフラ投資を行うようになる事でしょう。

 だから株式の動きに一喜一憂するよりも、もっと必要な経済対策の発動の用意が大事であるし、我々個人の生活の今後に与える影響も、考えておく必要がると思うのです。


「中国ショック」はリーマンショック級になる恐れあり
高橋洋一 [嘉悦大学教授]
2015年8月27日

●実体経済を反映する
シグナルとして株価を見る

 最近一週間の世界同時株安をどう見たらいいのだろうか。証券会社や投資家などの株式関係者に意見を求めると、世界経済の話をしながら、株式市場自体が自分の「世界」なので、それこそ大騒ぎである。自分の住んでいる所が大地震に見舞われたのと同じわけなので、とにかく「冷静に」と言うのが関の山だ。

 一方、株式関係者の他は、大きなニュースであることを知りながらも、当事者でないので比較的落ち着いている。「冷静に」と叫ぶのは株式関係者だけであり、それ以外の人たちはとても「冷静」なのは、どこか笑えるところだ。

 筆者はどうかといえば、株式関係者ではないので、世界同時株安になっても、直接の利害関係はない。その意味では、株価についてどうでもいいといえばいい。ただし、それが実体経済の将来または現状を反映したものである場合には、株価のシグナルを重要視している。

 筆者が株価に関心があるのは、こうした意味であり、株価はいくつかの経済指標の予測に役立つから見ているだけだ。マクロ経済政策の効果を測るには、雇用関係指標がポイントであるが、そのうち特に重要な就業者数を予測するために、日経平均はとてもいいデータになっている。

 上図のように、6ヵ月先の就業者数を予測するには、日経平均はとても役に立つ。(図は省略)

 筆者も仕事柄、株価の予想を求められるが、あくまでマクロ経済政策の結果、マクロ経済がこうなる、その場合、株価はこうなっているでしょう、という程度のものである。株価はマクロ経済分析の副産物であるので、短期予想は決してやらない。冗談めかして、株価は短期的な動きはランダムなので、短期予想をする人は霊感のある人かデタラメを平気で言える人といっている。中長期であれば、ランダム性は排除でき、ある程度理論通りになるので、一定の予測はできるという立場である。

 日本だけでいえば、今就業者数は伸びており、半年前に株価が上がっていたという現象に見合っている。もっとも、図を見るとわかるが、最近は株価の動きと半年先の就業者数で乖離があり、株価が若干割高になっていた。株価の上げのペースが速かった。そうした場合、ときたま株価の調整がある。もっとも筆者は、株式関係者ではないので、そうした株価調整にはまったく関心がない。

●原因となった中国経済の減速
だが同国の統計は信用できない

 今回の世界同時株安では、こうした日本の事情より、世界の要因のほうがはるかに重要だ。

 ここ一週間で日経平均株価は3000円近くも下落した。この間の株価下落は世界同時的に起こっており、その原因は中国株、ひいては中国経済の減速であるとされている。この意味で「中国ショック」といわれている。

 中国経済に関しては、断片的にいろいろな話が聞こえてくる。やれバブル崩壊だといったものだ。しかし、こうした話ではバブルという用語もきちんと定義されておらず、データなしの印象論だ。

 もっとも、中国で正確なデータを入手することがそもそも困難なので、この点は責められない。

 しばしば、中国のGDP統計は当てにならず、電力消費、貨物輸送量、銀行融資だけがまともな統計といわれる。これは、同国の統計の実態を告白したとされている李克強氏による「ウィキリークス」での有名なエピソードであり、これらの3指標は「李克強指数」ともいわれている。

(図省略)
 これらの数字は中国国家統計局が公表しており、その動きはGDPの数字とかなり連動している。 それぞれの伸び率とGDP伸び率の最近3年間の相関を見ると、それぞれ0.68、0.92、0.78と高く、「李克強指数」が正しく、GDPが間違っているとはいいにくい。

 この意味で、筆者は、中国の統計すべてが信用できないと感じている。これは、かつての社会主義体制のソ連と同じである。国家が経済活動に当事者として関与しすぎると、統計作成の主体にふさわしくなくなるのだ。経済活動の当事者と客観的な統計調査者の間には大きな利益相反がある。

 中国の経済統計の発表の早さも、統計の信憑性が疑問視される理由だ。例えば、今年4~6月期のGDPについて、日本では8月17日に公表された。中国では7月15日だ。アメリカは7月30日、イギリスは7月28日、ユーロ圏、ドイツは8月14日である。中国の発表時期は、アメリカやイギリスに比べて2週間前、日本、ユーロ圏やドイツに比べて1ヵ月前、と早い。GDP統計は、各種統計の加工・二次統計であるので、算出には一定の時間が必要であるが、中国の早さは飛び抜けている。統計処理が速いのは問題ないのだが、速すぎるのはきちんとやっているのかどうか疑問になるわけだ。

GDPを算出する際のもともとのデータは各地方から出てくる諸データであるが、中国の社会主義体制から、地方段階でデータが都合よく書き直されているという噂が絶えない。いい統計データであると、役人の出世につながるからである。

 GDPデータを第三者が外からチェックするのには、物価や失業率の動きと、GDPの動きが整合的かどうかを見るのが簡単だ。

 例えば、中国の消費者物価統計であるが、これも早く公表される。6月の消費者物価指数について、中国では7月9日に公表されている。日本では7月31日だ。アメリカでも7月17日である。消費者物価統計は、多くの品目を綿密に調べるので時間がかかるのだが、中国の場合は驚異的に早い。

 また、失業率についても、中国で全国を網羅した労働力の調査による失業率の調査は実施されていないので、検証はかなり困難だ。しばしば中国で報道されている失業率の正式名称は「登記失業率」といい、これは政府に登録された失業者のみが含まれているので、事実上は失業でありながら、「登記失業率」に入らない人は多い。

 こうした事情から、GDP統計の信憑性について、いつも疑問視されている。

●輸入統計から推計した
中国のGDP成長率はマイナス3%

 実は、筆者が注目しているのは、輸出入統計である。これは、相手国があるので、そう簡単にはごまかせない統計である。その数字を見ると、今年1月から7月までの中国の輸入は前年比14%も減少している。

 輸入の伸び率とGDPの伸び率との間には、かなり安定的な正の関係がある。GDP統計が比較的正しいと思われる先進国の2010~2012年の輸入の伸び率とGDPの伸び率は下図のとおりだ。(図省略)

 これを見ると、輸入が前年比10%以上も減少しているときに、GDPがプラス成長ということはまずあり得ないのがわかるだろう。この図を使って、中国のGDP成長率を推計すれば、マイナス3%程度である。

 もしこの推計が正しければ、中国経済は大変な局面だ。中国の貿易取引を、輸出入額を合計した貿易総額で見ると、4兆ドルを超えて、世界第一位である。中国経済の減速は、輸入減になって、相手国の輸出減になる。これが相手国のGDPを押し下げ、その国の輸入減となって第三国の輸出減となるなど、世界各国への「波及効果」がある。

●実体経済にじわじわと悪影響が波及
適切な政策対応の準備が必要

 リーマンショック後の2009年、アメリカのGDPは3%程度減少、輸入も15%程度減少した。貿易関係を通じた実物経済への影響については、リーマンショック後のアメリカと似ている状況といえるかもしれない。

 ただ、リーマンショックでは、金融資産市場の崩壊によって、まず金融機関が大きな打撃を受け、金融機関経営の悪化が実体経済へも波及した。つまり、金融危機の側面が強かった。

 ところが今回の場合、上海市場が急落したといっても、その打撃を受けたのは多くが個人投資家である。もちろん上海市場では、これまで中国系ファンドや機関投資家が買い支えをしており、そうした投資家も経営問題になるだろう。しかし、リーマンショックのように欧米の一流金融機関がおしなべて影響を被ったという状況ではない。この意味で、今回は金融危機を伴うものではなく、実体経済の問題である。

 この点から、リーマンショックや1997年のアジア通貨危機のような金融危機ではないだろう。筆者の見立ては、あくまで中国の実体経済の減速、急落である。しかも、中国の国家体制から、経済統計が信用できず、実体経済の悪化が客観的にわからないという信頼性の問題が大きいと思う。

 また、実体経済の問題であると、金融危機のように問題が一気に顕在化するというより、じわじわと悪影響が波及するだろう。それに対応するためには、しっかりと政策対応の準備を怠ってはいけない。

 リーマンショックのときには、日本政府はうまく対応できなかった。リーマンショックの前の2006年3月に量的緩和を解除し金融引き締めに転じ、景気が悪くなったときに、リーマンショックの追い打ちがあったからだ。しかも、デフレ脱却が完全に済んだ後に金融引き締めであればよかったものの、インフレ率がマイナスだったにもかかわらず、早すぎた金融引き締めをしたという完全な政策ミスであったので、その後のリーマンショックには耐えられなかった。

 その当時のエピソードとして、リーマンショックについて、当時の与謝野経済財政相は「蚊に刺されたようなもの」と過小評価している。早すぎた量的緩和解除をしたので、そう言うしかなかったのだ。

 また、リーマンショックが顕在化した後、各国中央銀行は量的緩和を採用したが、当時の白川日銀総裁は採用せず、それが過度な円高を招いて、日本経済を苦しめたのも、政策ミスである。

●補正予算でショックに備えるべき
消費税再増税は実行不可能

 現在の政府や日銀は、その当時に比べればまだましだ。これまで十分な金融緩和をしているので、雇用環境を格段に好転させた上で、円高になったとしても110円台である。また、2014年4月から消費増税して景気を落ち込ませたのは政策ミスであるが、今年10月からの消費増税はスキップしたので、ダメージはまだ少ない。もし今年10月からの消費増税を決めていたら、それこそ取り返しのつかない事態になっていただろう。

 しかも、これまでの円安によって、外為特会では含み損を解消して20兆円程度の含み益まである。それを活用すれば、即効性のある経済対策を打つことも可能だ。

 ドル円が1ドル120円になったら、日本は破綻するという意見もあったが、現実はまったく逆になっており、破綻どころか景気対策の余裕ができていた。

 リーマンショック級の実体経済の悪化になる恐れがあるので、外為特会の含み益を活用して、補正予算を今国会中に組むことがベストだ。この場合、即効性があり有効需要を作りやすい、減税・給付金などの政策が望ましい。国会会期はあと1ヵ月あるので実現可能な話だ。補正予算は、政府に歳出権限を与えるだけなので、もし実際に使わなくても問題はない。備えあれば憂いなしだ。

 また、2017年4月からの消費再増税は、もし今回の中国ショックがリーマンショック級であれば、実行できるはずない。今回のショックがなくても、今年の経済財政白書による消費増税の影響分析を参考にして、2017年の消費増税の影響を試算すると、2014年度と同じように、2017年度は再びマイナス成長になる可能性がある。(図省略)

 もし今回の中国ショックがリーマンショック級であれば、消費増税など狂気の沙汰だ。

’貼り付け終わり)

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