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韓国との関係修復の難しさは、どこに原因があるのだろうか?

2014年05月04日 15時39分27秒 | 日記
 日本に一番近い隣国である韓国との関係修復がなかなかうまく行っていない。

 韓国・中央日報に日本の韓国通である小此木政夫・慶応大学名誉教授とソン・ホグン ソウル大教授との興味ある対談が出ていた。

 その対談は悪化した両国感情が結局、破綻へと疾走するかも知れないという緊張感が漂っているように見えた。

 互いの国民が相手を見る目や考え方に、微妙に横たわる差異が筆者にも感じられた。

 1.両国の保守政権の政治家が、国家主義と民族主義で身を武装してしまっているため、ナショナリズムの弊害が、両国関係をより悪化させている。

  2. 国際関係の変化と日本の国力の低下、韓国の経済力の向上などから、日本の相対的な地位が弱まった感が大きくなり、日本側にも気持ちの余裕が無くなっている。

3. 慰安婦問題は、今や金銭で解決できる範疇を超え、人間的自尊心、ヒューマニズム、人間的価値の問題に切り替わってしまっている。こういう問題領域になってしまうと、日本政府の対応は解決能力がなくなってくる。

 4. 韓国側からは、日本とドイツの戦争への謝罪の差異を問われるが、ドイツは戦争責任をナチス・ヒトラーの行った事と決めつけられるが、日本では戦争責任者を特定の人物にする事が出来ない。
 これは靖国から戦争責任者を除く事をしないのと同じ考えである。

  
5. 日本は強大国になろうとしていない、平和国家でありたいという考えは変わっていない。

などなど両国の人達の間の微妙な考えの差を、浮き彫りにしていました。

簡単に片付く問題ではありませんが、近隣国である韓国、中国との関係を良くしなければ、今後の日本の経済発展上も問題があるのは誰でも認める事ですから、政治家任せではなく、我々国民の友好関係確立も、重要な要素であると思います。

(中央日報より貼り付け)

【特別対談】ソウル大教授が質問し慶応大名誉教授が答える
2014年05月02日10時33分
[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]

セウォル号に多数の尊い命が閉じ込められていた先月17日午後、筆者(ソン・ホグン)は韓日関係の日本での最高専門家に挙げられる小此木政夫・慶応大学名誉教授と向かい合って座った。 悪化した両国感情が結局、破綻へと疾走するかも知れないという緊張感が漂っていた。 解決策を見出そうとすれば互いに率直になろうという前提条件で合意した。 小此木教授は日本人の心情をそのまま伝え、筆者は韓国人の情緒を加減なく表明した。 話すほどに破局への憂慮が濃厚に漂ってきた。

ソン・ホグン:戦後の韓日関係がこれほど悪化したのは、かつてありませんでした。さらには両国の保守政権が国家主義と民族主義で武装したために、潜在していた歴史的摩擦が表面化して、政治家たちがそれを積極的に活用しているところです。 両国の共同責任論を述べることもできるでしょうが、加害者の日本はなぜこのようになったのですか?

小此木:何より国際社会の構造変化の中で日本の地位が弱まったという相対的剥奪感が大きくなり、韓国と中国の批判に直面しながらナショナリズム的傾向が大きくなったためでしょう。

ソン:それでも日本は加害者ではないのですか。歴史問題について韓国人が怒るのと同じぐらいに日本人も対応することが穏当ではないかということについて、少し残念です。日本が大きい国だと思えば、受け入れるべきではないでしょうか?

小此木:日本で市民講演をすると、質問が昔とは大いに変わりました。「教授の言葉は結局、韓国の人に譲歩しろという話ではないですか。私たちだけが譲歩すれば終わるのですか」と。譲歩してはいけないと考える人が多くなりました。だから心配なのです。

ソン:慰安婦問題もそうですか?

小此木:慰安婦問題も、韓国人が一番よく知っていると思うかも知れないが、これまでの協議過程でも日本の努力についてはよく知らない人が多いというのが現実でしょう。以前に慰安婦問題が出てきた時、日本も共感してアジア女性基金を作りました。日本政府も何度か公式謝罪をしました。ただし法的責任については認定しなかったのです。元慰安婦女性らは日本政府の謝罪と補償に満足したが、支援団体が法的責任を強調して解決しない状態になりました。

ソン:私の考えでは謝罪と補償も問題だが、自尊心の回復がより大きい次元の問題です。慰安婦問題は人間的自尊心、ヒューマニズム、人間的価値の問題に切り替わったと見ています。韓国政府で強調している「個人的請求権」の真の意味がそれです。

小此木:いや、ですから日本政府もそれは受け入れます。歴代首相が謝罪した理由もそうなのです。

ソン:ところが首相は謝罪をしないでしょう。

小此木:首相が、ですから私たちは謝罪をしたが、韓国側が受け入れないというふうに…(思うのです)。それでこのまま「問いただしていけば」どうなるのか、そんなふうになってくるのです。

ソン:それでも安倍首相や麻生太郎副首相の発言は、実際理解するのが難しいです。

小此木:私も理解できません、私は日本の立場に立つべきなのですが(笑)。安倍政権がこのようになったこと、両国関係が悪化したことには、日本側の指導者の責任も大きいと見ています。「複合骨折」という意がこれに該当します。なので韓日関係は1つだけ直せばうまくいくものではありませんね。来年はより一層難しくなります。日本では「2015年問題」というのですが。来年6月には韓日条約50周年で安倍談話が出てこなければならず、4月には地方選挙、9月には自民党総裁選挙があります。

ソン:終戦70周年でもあるし。

小此木:それで来年は、韓日関係を解決していくのがとても難しいのです。

ソン:1960年代の韓日協定と外交正常化当時には、両国指導者が互いによく分かり合っていたが、この頃の指導者は全く違う環境で育ったし、彼らが作った歴史空間で成長しました。その枠組みに閉じ込められて両国間の敵対意識がますます大きくなっています。こうした状況で2015年を無事に通過できますか?

小此木:今が最も難しい時期です。韓日の両国関係自体が新しい段階に入っているのです。世代的にもそうで、国際関係も冷戦時代とは全く変わり、韓国に対する日本の経済的優位もなくなり、だからこそ日本が受動的に変わるのです。

ソン:その新しい韓日関係の核心は、平和憲法を守ろうとしてきた戦後の日本精神を延長させるものではないでしょうか。ところが政治的・経済的にも寛容ではなくて、韓国と中国を牽制し始めました。靖国神社の参拝や大臣らのそうした発言が続けば、新しい関係は困難です。破綻までは行かないでしょうか?

小此木:破局は避けなければならないのですが、可能性は高いです。

ソン:韓国は歴史対立と軍事対立という二重の戦線に囲まれた状況です。これに比べれば日本のほうが余裕があり、寛容になれると思いますが。

小此木:大統領も首相も、リスク負担を押し切って妥協の道に進めばいいと思います。最も難しいのが慰安婦問題ですが、法的責任をどのようにするのかについて両指導者は決断を下さなければなりません。互いに国内反発が大きい。反発が出てきても妥協する時に、さらに一歩踏み出せるのです。

ソン:韓国の指導者はできないと思うのですが、日本の指導者はどうでしょうか?

小此木:できないのではないだろうかと思います。だから難しいのです。

ソン:なぜ日本はドイツのように行動しないのでしょうか。日本がドイツのようにならない理由は、中国のためだからですか。でなければ日本自体に何かがあるからなのですか。心理的な被害意識?

小此木:韓国人が日本とドイツを同一視することについて日本側では常に不満に思っています。植民地主義についてはそれでも謝罪しようと努力しているのに…。英国がインドと中国に謝罪をしたのか、フランスはアルジェリア合併について謝罪したのでしょうか。植民地の清算だけを見れば欧州に比べ日本がむしろしっかりやっているのですが。戦争問題はちょっと違います。もちろん日本も非人道的なことをたくさんしたが、ヒトラーがしたことと比較するのはちょっと、ということでしょう。2番目は、ドイツがその責任をヒトラーやナチスに回して謝罪しているのであって、民族の名として謝罪はしなかったということです。ですから戦犯たちが悪いのであって日本人全体が悪いのではない、そのように言えるのですが、日本人たちはなぜかそのように話さないのです。

ソン:なぜ、そのように言えないのですか?

小此木:考え方が違うのです。それは日本人全体の責任であって数人の責任だと言わないのです。

ソン:その中に天皇がいるから言えないのではないでしょうか?

小此木:天皇というよりは…。島国なので、島国の人々が「この人は悪くて、この人は悪くない」というふうには言いませんね。ドイツ式なら軍国主義者の責任というのはいくらでもできるということでしょう。

ソン:とても重要な指摘ですが、それを韓国人は、とうてい納得できませんね。実際、欧州の植民主義と日本の植民主義は根本的に違います。欧州は言葉どおりコロニーです、日本は強圧的な占領でした。そして戦争に駆り立てた、中国と韓国で。多くの人々を徴用・徴発したが、それを直視すればドイツのようになるべきだというのが韓国人の心情です。ところで「私たちは集団として考えます」という指摘は、深く考えてみなければならない問題です。

小此木:軍国主義者らの責任で処理すれば、解決することはとても容易なのですが。靖国も同じことではないでしょうか。彼らを分離して神社で閉鎖すれば良いのに、それをしないという話です。

ソン:靖国よりも千鳥ヶ淵を国立墓地にすればどうでしょうか?

小此木:私はそれがより良いと見ています。それなのに、やはり靖国に対する特別な感情があって…。

ソン:韓日関係に未来志向的な解決法を提示するならば?

小此木:相手方が包容できる限度以上を要求すれば、良い関係は持続しにくいでしょう。日本が加害者ではあるが、包容限度を超えなければと思います。

ソン:私は2つの提案をしたいと思います。日本人たちは子供を育てながら迷惑をかけるなという話をたびたびするでしょう。コミュニティではうまく作動するが、なぜ隣国に対しては作動しないのでしょうか。もう1つは戦争や植民地の記憶が忘れられるにはおよそ100年かかるとすれば、日本人はさらに耐えて治癒を助けるべきだ、そのような面でさらに寛容になれば良いということです。

小此木:韓国と日本がすべき2つの役割があります。政治的には中国と米国の間における掛け橋の役割、経済的にはアジア全体の経済的な統合と協力を主導しなければならないことです。日本は強大国ではありません。中間的な役割をしなければならない国です。

ソン:日本は強大国ではない?

小此木:実際、日本国民は強大国になりたいとかスーパーパワーになりたいと考えたことがありません。むしろ平和的な国になりたいと考えてきました。

ソン:4強ではなく3強2中ですね。良い話をいただきましたが、6カ国協議は北朝鮮の核問題や東アジア平和問題を同時に扱ったら良いと思われます。韓日中については済州(チェジュ)あたりで3カ国がいつでも会って話せるような未来平和構想委員会とでもいいましょうか、「未来協力構想3カ国会議」を結成して、代表と特使が対話を続けて問題を解決していけばどうだろうかと思います。一種の韓日中歴史非武装地帯を済州ではなくてもどこかに設けて、恒常的に稼動すれば良いという考えです。

◆インタビュー後記…小此木教授「日本の立場も考えてほしい」と呼び掛け

日本の知韓派の知識人がこの頃そうであるように、小此木教授も困惑している表情だった。最悪な状況に向かっている韓日関係が破局を迎える可能性が高まった今、突破口がよく見えないという部分では、むなしい苦笑いを作るしかなかった。両国の指導者が、歴史摩擦と領土紛争をこの状態で凍結させる「度量の大きな妥協」が最上の解決法だが、復活した民族主義の前にそのような可能性はゼロに近い。慰安婦問題の「法的責任」は結局、破局を催促する爆発性のある争点だ。

「あまりに責め立てないでくれ!」-知韓派知識人の共通した注文だ。ところでオバマ米国大統領も認めたように「甚だしくひどい人権侵害」をなぜ公式に認めないかという韓国人の即刻反応は事実、怒りに近い。その怒りはドイツと対比してより一層増幅されるものだが、日本人たちはこのような対比を納得できないといった。島国の人の性格は違うといった。韓国人が慰安婦問題を繰り返し取り上げるのと日本人たちが拉致された人を送還を求める対北朝鮮への度重なる要求の間には、相同関係が存在するように見られた。日本はすでに強大国ではないと力を込めて話す小此木教授の確認の中には、日本の立場も少しは考慮してみてほしいという呼び掛けが垣間見えた。韓日関係は、加害者の萎縮された心理までを配慮してこそ解決する、非常に特異な問題だ。

◆小此木氏とは…

日本を代表する韓半島の専門家。韓国・北朝鮮いずれの政治・外交についてもこれだけ博学な日本の学者は探し難い。韓国の学界はもちろん政官界、言論界に幅広い人脈を持っている。韓日関係に関してはパイプラインの役割を果たしてきた。韓日共同研究フォーラムの日本側座長、韓日歴史共同研究委員会の日本側委員長を歴任し、各種委員会で活躍した。1978~2011年慶応大法学部教授をつとめ、現在は慶応大名誉教授と韓国東西(トンソ)大学客員教授。小泉・福田内閣時期には日本の中長期外交戦略を立てる首相諮問機構委員をつとめた。

(貼り付け終わり)