昨日のブログに書いていたように、黒田日銀総裁の再度の大巾金融緩和発言で、400円以上上昇した日経平均株価は、二日を経過してほゞ元の株価に戻ってしまった。
基本的に日本企業の輸出競争力が無くなり、主要な企業は生産拠点を海外に移してしまっている現実で、円安効果が輸出競争力に跳ね返らない。
輸入は、エネルギーの輸入増もあるが、実際は円安による負担増が大きくのしかかる。
その上に、スマートフォンなどの民生電子機器や部品の輸入増が大幅に増加している。
有名な投資ファンドのジョージソロスが「日本株は売却だ」と言ったとかの噂のせいでもなかろうが、やはり米国の株価も軟調であるし、中国の経済指数も低下傾向であり、株の買いにつながらない。
このような環境下で日経平均株価は1万4千円台がやっとなのではなかろうか。
海外のWSJなどはアベノミクスの第3の矢に懐疑的であり、海外の投資ファンドが、アベノミクスに飽きたとの論評も出ている。
一方で政治面では衛藤首相補佐官が「我々こそアメリカに失望」とYoutubeにビデオクリップをアップし、菅官房長官が、取り消しを迫るなどのドタバタを繰り広げている。
NHK籾井会長や百田NHK経営委員等の物議をかもした発言があっても、安倍首相は更迭人事に手を加えようともしない。
果して安倍首相の靖国参拝以降の日本政府の行為によって、米国が真のパートナーシップの相手として、気持ち良く手を伸ばしてくると思っているのであろうか?
筆者がオバマ大統領であれば、4月のアジア訪問時には日本をパスしたいのが本音である。
田中秀征氏が、ダイヤモンドオンラインのコラムで、最近の景気状況は決して良くなっていないと、アベノミクスへの警告文を書いておられる。
(ダイヤモンドオンラインから貼り付け)
【第221回】 2014年2月20日
田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
アベノミクスはアベマジックだったのか?
○「街の景気指標」は、昨年末から悲鳴を上げている
私はタクシーに乗ると口癖のように「景気はどうですか?」と聞いてしまう。
ほかに必ず聞くのは、床屋とクリーニング屋。
なぜ、この3つかと言うと、1991年の経験からだ。
大きなバブルが崩壊したのは、その後の政府の認定で91年の年明けとされている。ちょうど湾岸戦争のときであった。
しかし、その頃はバブルという認識も薄かったし、いわんやそれが一気に崩壊しつつあるとは誰も感じなかった。景気が一息ついている程度だっただろう。
「景気がおかしい」と春頃から私に言ったのは、タクシー運転手、床屋、クリーニング屋だった。床屋では、景気が悪くなると散髪期間が長くなるという。ふだんより、1週間、10日間と長くなる。そうなると売り上げがかなり少なくなる。クリーニング屋も同じ。極端に言えば、毎日取り換えていたワイシャツが2日着るようになれば売り上げは半減する。タクシーは言わずもがなだろう。いつもの客の半分が電車を使用すればやはり半減だ。
最近のタクシー運転手は「年末以来急に悪くなった」と異口同音に言う。「ひどい」「目も当てられない」と言葉も激しくなった。
彼らの景況感は、地震の初期微動のようなもので景気の落ち込みの前兆と思ってきた私は、最近の景気の先行きに一層危機感を持たざるを得なくなった。
そんなところに、2月17日、昨年の10~12月期のGDPの速報値が発表された。
それは、民間の予測であった年率2.6%を大きく下回った1.0%であった。予測の半分以下だったのだ。
○「第三の矢」はどこへ行った?
これが4期連続プラスだと強調されるといかにも虚しく聞こえる。もしも消費税増税前の駆け込み需要がなければどうなったのかと反論もしたくなる。
駆け込み頼みの個人消費も、わずか0.5%の増。前回の税率アップ(1997年4月、3%→5%)の前年10~12月期には、今回の約2倍となる1.1%もあった。今回は設備投資が前期比1.3%増と比較的堅調であったことが救いだが、これも消費増税後の経済を下支えするほど強くはない。
駆け込み需要が盛り上がらないのは「日用品を買いだめするための手元資金に事欠いている」人が少なくないとも言える。一体、消費増税後、4月からの日本経済がどうなるのか、深刻に考えざるを得なくなった。
金融政策と財政政策に過剰に依存したアベノミクスは正しかったのか。アベノミクスは単なるマジックではなかったのか。そんな疑念が強まってくる。
安倍晋三首相は、肝心の第三の矢(成長戦略)をさて置いて、特定秘密保護法、集団的自衛権、原発再稼働の安倍カラー全開の方向に全速力で走り出した感がある。本欄で何度も指摘してきたが、日本経済を本格的回復軌道に乗せることこそ安倍首相への国民的期待であったはずだ。
もはや、為替相場、関税、法人税、規制などに政策的関心を集中させるだけでは経済の活性化には限界があることが明らかになっている。それは円安誘導政策が輸出の激増をもたらさなかったことでもわかる。
新しい商品、新しい技術が牽引するようにならなければ日本経済は決して新しいステージに上がることはできない。原発ゼロ社会への出発は、そんな新しい経済のステージへわれわれが転換するまたとないチャンスだ。
(貼り付け終わり)
基本的に日本企業の輸出競争力が無くなり、主要な企業は生産拠点を海外に移してしまっている現実で、円安効果が輸出競争力に跳ね返らない。
輸入は、エネルギーの輸入増もあるが、実際は円安による負担増が大きくのしかかる。
その上に、スマートフォンなどの民生電子機器や部品の輸入増が大幅に増加している。
有名な投資ファンドのジョージソロスが「日本株は売却だ」と言ったとかの噂のせいでもなかろうが、やはり米国の株価も軟調であるし、中国の経済指数も低下傾向であり、株の買いにつながらない。
このような環境下で日経平均株価は1万4千円台がやっとなのではなかろうか。
海外のWSJなどはアベノミクスの第3の矢に懐疑的であり、海外の投資ファンドが、アベノミクスに飽きたとの論評も出ている。
一方で政治面では衛藤首相補佐官が「我々こそアメリカに失望」とYoutubeにビデオクリップをアップし、菅官房長官が、取り消しを迫るなどのドタバタを繰り広げている。
NHK籾井会長や百田NHK経営委員等の物議をかもした発言があっても、安倍首相は更迭人事に手を加えようともしない。
果して安倍首相の靖国参拝以降の日本政府の行為によって、米国が真のパートナーシップの相手として、気持ち良く手を伸ばしてくると思っているのであろうか?
筆者がオバマ大統領であれば、4月のアジア訪問時には日本をパスしたいのが本音である。
田中秀征氏が、ダイヤモンドオンラインのコラムで、最近の景気状況は決して良くなっていないと、アベノミクスへの警告文を書いておられる。
(ダイヤモンドオンラインから貼り付け)
【第221回】 2014年2月20日
田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
アベノミクスはアベマジックだったのか?
○「街の景気指標」は、昨年末から悲鳴を上げている
私はタクシーに乗ると口癖のように「景気はどうですか?」と聞いてしまう。
ほかに必ず聞くのは、床屋とクリーニング屋。
なぜ、この3つかと言うと、1991年の経験からだ。
大きなバブルが崩壊したのは、その後の政府の認定で91年の年明けとされている。ちょうど湾岸戦争のときであった。
しかし、その頃はバブルという認識も薄かったし、いわんやそれが一気に崩壊しつつあるとは誰も感じなかった。景気が一息ついている程度だっただろう。
「景気がおかしい」と春頃から私に言ったのは、タクシー運転手、床屋、クリーニング屋だった。床屋では、景気が悪くなると散髪期間が長くなるという。ふだんより、1週間、10日間と長くなる。そうなると売り上げがかなり少なくなる。クリーニング屋も同じ。極端に言えば、毎日取り換えていたワイシャツが2日着るようになれば売り上げは半減する。タクシーは言わずもがなだろう。いつもの客の半分が電車を使用すればやはり半減だ。
最近のタクシー運転手は「年末以来急に悪くなった」と異口同音に言う。「ひどい」「目も当てられない」と言葉も激しくなった。
彼らの景況感は、地震の初期微動のようなもので景気の落ち込みの前兆と思ってきた私は、最近の景気の先行きに一層危機感を持たざるを得なくなった。
そんなところに、2月17日、昨年の10~12月期のGDPの速報値が発表された。
それは、民間の予測であった年率2.6%を大きく下回った1.0%であった。予測の半分以下だったのだ。
○「第三の矢」はどこへ行った?
これが4期連続プラスだと強調されるといかにも虚しく聞こえる。もしも消費税増税前の駆け込み需要がなければどうなったのかと反論もしたくなる。
駆け込み頼みの個人消費も、わずか0.5%の増。前回の税率アップ(1997年4月、3%→5%)の前年10~12月期には、今回の約2倍となる1.1%もあった。今回は設備投資が前期比1.3%増と比較的堅調であったことが救いだが、これも消費増税後の経済を下支えするほど強くはない。
駆け込み需要が盛り上がらないのは「日用品を買いだめするための手元資金に事欠いている」人が少なくないとも言える。一体、消費増税後、4月からの日本経済がどうなるのか、深刻に考えざるを得なくなった。
金融政策と財政政策に過剰に依存したアベノミクスは正しかったのか。アベノミクスは単なるマジックではなかったのか。そんな疑念が強まってくる。
安倍晋三首相は、肝心の第三の矢(成長戦略)をさて置いて、特定秘密保護法、集団的自衛権、原発再稼働の安倍カラー全開の方向に全速力で走り出した感がある。本欄で何度も指摘してきたが、日本経済を本格的回復軌道に乗せることこそ安倍首相への国民的期待であったはずだ。
もはや、為替相場、関税、法人税、規制などに政策的関心を集中させるだけでは経済の活性化には限界があることが明らかになっている。それは円安誘導政策が輸出の激増をもたらさなかったことでもわかる。
新しい商品、新しい技術が牽引するようにならなければ日本経済は決して新しいステージに上がることはできない。原発ゼロ社会への出発は、そんな新しい経済のステージへわれわれが転換するまたとないチャンスだ。
(貼り付け終わり)