これは若い頃にはやったミュージカル映画です。
当時は見ていなくて、数年前にDVDを借りて見て、魅了されました。
音楽が素敵だし、カトリーヌ・ドヌーヴが信じられないほどきれいです。
物語はフランス風で、愛に生きるというより、
恋を卒業して大人になる、そんなお話だけど、
恋の余韻がいつまでも残る素敵な映画です。
昨夜借りてきてまた見ましたが、やっぱりいいですね。
実はここ数日私の頭の中は愛でいっぱいです。
といっても残念ながら現実の愛ではなく、愛の物語。
源氏物語が後半に入って来ました。
源氏が政治的に頂点に達するあたりは大して面白くないのですが、
歳をとって孫に囲まれるころ(まだ40代なんですが)、
長編の若菜の巻に入ってから、俄然面白くなります。
老齢に差し掛かった源氏の、若い妻の女三の宮が、
若い柏木と、好きでもないのに自分の不用意から通じることになってしまい、
おまけに妊娠する、それをまたまた彼女の不用意から源氏に知られてしまう、
そんな場面にきています。
柏木は源氏に知られたことにショックを受け、病気になって、死んでしまうことになります。
女三の宮は出家します。
源氏物語の中では、女性が男の浮気に苦しめられる場面はよく出てきますが、
男が恋ゆえに死んでしまうなんて初めてです。
あまりにも幼くて未熟な女三の宮に、道ならぬ恋したばっかりに、
病気になって死ぬ羽目になる、
こんな運命をたどる男の物語って、日本ではめずらしいんじゃないでしょうか。
でも相思相愛とは違いますね。柏木の一方的な恋、
それが露見して、社会的に生きていられないと自分が思うゆえの死。
ロミオとジュリエットのような、相思相愛による西洋物語の死とは違います。
さっきまで見ていた映画は「トリスタンとイゾルデ」、
これは相思相愛の二人が死を賭して愛し合う原型のような物語です。
アーサー王関連の話ですが、本来は独立した話だったようです。
映画はよく出来ています。
西洋の恋愛の物語はとても魅力的ですが、
この歳になると、自分が愛ゆえに身の破滅も恐れず突き進む、
そんな人間じゃないのが分かってきます。
そんなに夢中になるのは幻想を見ているのだ、と思っていますから、
愛や恋はどんどん遠くなっていきます。
でも人間って愚かなものですから、
突然嵐のなかに巻き込まれてしまうとも限らない、そんな思いもあります。
だから恋愛映画、恋の物語がいくつになっても好きなんでしょうね。
下の写真は3月に掛川の図書館のギャラリーでやる森の教室展に、
出品する仲間の作品です。彼は奥さんと今でも相思相愛みたいです。