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民衆会議/世界共同体論(連載第11回)

2017-10-06 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第3章 民衆会議の組織各論①

(2)二つの類型:連合型と統合型
 前回、全土民衆会議と地方民衆会議の完全な対等性について論じたが、もう少し補足的に細かく見ると、両者の関係性にも二つの種別がある。一つは連合型であり、もう一つは統合型である。
 前者の連合型とは、現行の国家制度で言えば連邦制に相応するもので、これは複数の包摂領域圏―準領域圏―が連合して一つの領域圏を形成する型である。この場合、準領域圏は領域圏に準じた相当に広範な自主権を持つことになり、準領域圏民衆会議は地方民衆会議としては最も強力なものとなる。
 それに対して、後者の統合型は領域圏の統合性がより高く、準領域圏は存在せず、領域圏内の広域自治体は地方圏である。地方圏民衆会議も独自の憲章を持つことができるが、連合型における準領域圏ほどに広範な権限は持たず、全土民衆会議の権限が比較的強い。
 ちなみに、統合型を基本としつつも、ある特定の地方圏の民族的・文化的独自性を尊重するため、一般の地方圏よりも強い自治権を保障する特別地方圏のような制度を設けることもできる。
 とはいえ、民衆会議のシステムにおいて、全土民衆会議と地方民衆会議はあくまでも対等関係に立つから、連合型と統合型の相違は、現行国家制度における連邦国家と中央集権国家の相違ほどには大きくなく、その相違は相対的であって、「中央集権型」という類型は存在し得ない。
 また、各領域圏が連合型と統合型いずれの形態を選択するか、また上述した特別地方圏を設置するか否かは、各領域圏民衆会議の討議と議決に委ねられる。さらに、連合型における準領域圏にいかなる権限を与えるか、また連合型における準領域圏及び統合型における地方圏内部の地方自治体の権限関係如何についても、同様である。


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