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民衆会議/世界共同体論(連載第10回)

2017-10-05 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第3章 民衆会議の組織各論①

(1)全土民衆会議と地方民衆会議
 本章及び次章では、半直接的代議制の制度である民衆会議の具体的な組織構成を見ていく。まず民衆会議の全体的なシステムについて見ると、この制度は議会制度における国会(国民議会)と地方議会のように、全土と各地方に相似形的な会議体―全土民衆会議と地方民衆会議―が置かれる構成を採る。
 ここで留意すべきことは、民衆会議システムは国家という制度を前提とせず、国家に代えて領域圏―究極的には世界共同体に包摂される―と呼ばれる統合的または連合的な政治体を前提とするということである。従って、ここに「全土」とは各領域圏の全域を意味する。
 その点、国会と地方議会とは組織上全く別個の機関であって、相互に連絡関係もないのが通例であるのに対し、全土民衆会議と地方民衆会議とは有機的につながる一つの会議体システムの一環である。従って、両者には活動上の連絡関係がある。
 ただし、全土民衆会議と地方民衆会議の関係は国家を前提とした中央‐地方の上下関係ではなく、完全な対等関係である。従って、全土民衆会議は地方民衆会議に対して指令することはできず、地方民衆会議も全土民衆会議に対して拘束力のある要求をすることはできない。
 地方民衆会議は地方議会と同様に、地方自治体ごとに設置される。地方自治のあり方は民衆会議の組織構成とは別個の問題であるが、筆者はかねてより三層自治を提唱している。すなわち、基礎自治体としての市町村に加えて、中間自治体としての地域圏、広域自治体としての地方圏の三層である(拙稿参照)。
 三層自治で組み立てるとすれば、地方民衆会議も市町村‐地域圏‐地方圏のそれぞれの圏域に設置されることになるが、この三層の民衆会議もまた上下関係ではなく、対等関係で結ばれたネットワークを構成する。
 このようにして、民衆会議は全土と三層の各地方にそれぞれ隈なく設置され、その全体が一つの民衆会議のネットワークとして機能する有機的な統治システムであると言える。
 そして、この民衆会議システム全体の運営規範の位置づけを持つ民衆会議憲章が、実質上憲法に相当する共通規範となるが、地方民衆会議もそれぞれこの共通憲章の範囲内で、自主的に独自の憲章を制定することができる(例えば、X市民衆会議憲章、Y地域圏民衆会議憲章、Z地方圏民衆会議憲章)。


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