ザ・コミュニスト

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すげない「友好国」

2013-03-10 | 時評

「保守本流」とされる懐かしい自民党政権に復帰して、米国をはじめ友好国の信頼を台無しにしたと非難される民主党前政権の「外交敗北」を立て直してくれるはずであった。ところが、どうも友好国の態度がすげない。

オバマ政権が二期目に入った米国は尖閣諸島問題での対中強硬策に同調しようとしない。米国は中国を旧ソ連に代わる新たなライバル大国として警戒しつつも、中国との新冷戦は回避したいのだ。

史上初の女性大統領が就いた韓国も対日関係より対中関係を重視し、歴史問題―竹島問題を含む―でも妥協するつもりはない。朴槿恵新大統領は保守系とはいえ、女性として慰安婦問題に象徴される歴史問題を無視できない。父・朴正煕にならい歴史棚上げで「親日」を演じて父親の独裁体制時代の記憶を蘇らせることも政権運営上プラスにはならない。

こうして、無条件で味方になってくれるような真の意味での日本の友好国は実は存在していないという現実を突きつけられているのだ。要するに、「日米同盟基軸‐親韓」という困った時にはそこに逃げ込めた冷戦時代の便利な思考が通用しなくなったのである。

東アジアには朝鮮、中国という二つの分断国家、日本とロシアの間の領土問題等々、冷戦時代の積み残しとしての残雪が残されているとはいえ、時代はポスト冷戦期、世界が流動化する中での独自外交の時代である。しかし、これは日本の苦手分野だ。民主党前政権は対米従属からおずおずと抜け出そうとしたものの、失敗に終わり、中国という竜の尾(?)も踏んでしまった。

日本の歴史的な岐路である。私見によれば、当面の事態を打開する基本的な切り札は重装軍隊でも丸腰でもない自衛隊という国防における「第三の道」によって物理的にも担保された独自の平和外交である。


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