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旧ソ連憲法評注(連載第27回)

2014-11-28 | 〆旧ソ連憲法評注

第百二十五条

1 連邦会議および民族会議は、ソ連最高会議の管轄に属する問題のあらかじめの審理および準備、ソ連の法律とソ連最高会議およびその幹部会のその他の決定の実施にたいする協力ならびに国家機関および国家的組織の活動の監督のために、代議員のなかから常任委員会を選出する。ソ連最高会議の両院は、対等の原則にもとづいて合同委員会を設置することができる。

2 ソ連最高会議は、必要とみとめたとき、任意の問題についての調査委員会、監査委員会およびその他の委員会を設置する。

3 すべての国家的および社会的な機関、団体ならびに公務員は、ソ連最高会議の委員長および両院の委員会の請求にこたえ、これらにたいし必要な資料および文書を提出する義務をおう。

4 委員会の勧告は、国家的および社会的な機関、施設および団体によって、かならず審理されなければならない。審理の結果または採択された措置は、定められた期間に委員会に通知されなければならない。

 ソ連最高会議も、ブルジョワ議会と同様に、政策分野ごとに常任委員会・特別委員会を設けることができたが、ブルジョワ議会の委員会よりも強力な権限を与えられていた。しかし、共産党支配体制下で実際にどの程度機能したかは疑問である。

第百二十六条

1 ソ連最高会議は、自分にたいして報告義務をもつすべての国家機関の活動にたいする監督を行なう。

2 ソ連最高会議は、人民的監督機関の体系を指揮するソ連人民監督委員会を組織する。

3 人民的監督機関の組織および活動手続きは、ソ連人民的監督法が定める。

 ソヴィエト機関は単なる立法機関ではなく、自身監督機関でもあり、また第二項のように監督機関を組織することもできた。これは北欧型の議会オンブズマンに類似するが、共産党支配体制下では独立性を欠き、党の方針を遵守させるための監督機関にすぎなかった。

第百二十七条

ソ連最高会議およびその諸機関の活動手続きは、ソ連憲法にもとづいて公布されるソ連最高会議規則およびソ連のその他の法律が定める。

 本条は最高会議の活動に関する法的根拠に関する規定である。議院規則や国会法に相当するものだが、規則は両院統一規則によっていた。


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