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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第10回)

2024-01-13 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

二 汎東方アジア‐オセアニア域圏

汎東方アジア‐オセアニア域圏は、東南アジア、東アジアからオセアニアに至る島嶼地域を包摂する汎域圏である。主権国家体制の時代にはロシア領であった極東シベリア地方はロシアから分立し、当汎域圏に包摂される。またオセアニアに散在していた欧米植民地島嶼もすべて独立し、または周辺島嶼と合併して当汎域圏に包摂される。さらに、20世紀冷戦体制の残存であった大陸中国と台湾、南北朝鮮の統合も実現する。汎域圏全体の政治代表都市はアメリカから分立するハワイ領域圏のホノルルに置かれる。

包摂領域圏:
モンゴル、チャイナ、ミャンマー合同、メコン合同フィリピン、環海峡合同インドネシア、東ティモール、ニューギニア合同オーストラリア、ニュージーランド太平洋諸島合同沖縄諸島、日本統一コリア、極東ユーラシア

 

(1)モンゴル

(ア)成立経緯
主権国家モンゴルを継承する領域圏。後述のように準領域圏を含む複合領域圏

(イ)社会経済状況
かつては自足的であった伝統産業の牧畜(遊牧)は市場経済化の中で低迷していたが、持続可能的計画経済の導入により、牧畜が復活するとともに、過放牧を主因とする砂漠化現象が食い止められる。鉱業は世界共同体による資源管理下に移されることで、鉱業利権が生み出した汚職・政争問題が解消される。市場経済化の負の遺産であったストリートチルドレンの社会問題も解消される。

(ウ)政治制度
イスラーム教徒のカザフ人が人口の大半を占める西部のバヤン・ウルギー県は高度の自治権を持つ準領域圏となる。その余は統合的な10余りの県に区分される。

(エ)特記
旧版では中国との経済関係を強める現状にかんがみ、中国と統合された連合領域圏を構想したが、モンゴルの民族的自立性の強さから、改めて別個の領域圏とした。

☆別の可能性
可能性は高くないものの、情勢次第では中国との統合の可能性もなくはない。他方、極東方面と結び、後述する極東ユーラシア領域圏に統合される可能性もなしとしない。

 
(2)チャイナ

(ア)成立経緯
主権国家・中華人民共和国と台湾(中華民国)の平和的統合によって成立する連合領域圏。ただし、チベットと新疆ウイグルの両自治区は分立し、汎西方アジア‐インド洋域圏に包摂されるチベット領域圏ウイグリスタン領域圏として分立する。

(イ)社会経済状況
経済的には、共産党主導で社会主義市場経済に基づく経済発展を遂げていた中国と、資本主義的経済発展を遂げていた台湾の経済力を統合的に引き継ぐ形で、持続可能的計画経済体制へ止揚される。生産力では汎東方アジア‐オセアニア域圏の主軸であり、世界共同体全域でも後述する北アメリカ領域圏に匹敵するか、もしくは上回る。

(ウ)政治制度
旧中国の広域行政区分「省」(新規加入の台湾を含む)及び「省級」行政区分すべてが高度な自治権を有する準領域圏となり、連合領域圏として再編される。連合民衆会議は各準領域圏から人口比に応じて配分される定数抽選された代議員によって構成される。なお、長く支配政党であった中国共産党は民衆会議体制への移行に伴って中央組織は解散、地域的な民間政治団体として存続する。

(エ)特記
中国における世界共同体‐共産主義革命は、「共産党に対抗する共産主義革命」の代表例として実現される。結果、共産党は役割を終えて解散したうえ、近代史を通じて長く分断と対立・緊張関係にあった台湾との平和的再統合が実現する。 反面で、異民族支配の地となっていたチベット、ウイグルは分立し、本来の地政学的位置である西方アジアへ包摂される。

☆別の可能性
中台の分断が永続化し、台湾の独自性が強まれば、台湾との統合は成立せず、台湾がそのまま独自の領域圏として分立する可能性もある。一方、上述のように、モンゴルが統合され、チャイナ・モンゴル領域圏として再編される可能性もなくはない。ただし、中国共産党の支配力が強力なため、共産党支配体制が遷延し、世界共同体に包摂されない可能性もある。


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