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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第17回)

2024-03-19 | 〆世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

二 汎東方アジア‐オセアニア域圏

(15)統一コリア
 
(ア)成立経緯
主権国家の大韓民国及び朝鮮民主主義人民共和国が並立する南北朝鮮分断を止揚して成立する統合領域圏
 
(イ)社会経済状況
主権国家時代に資本主義的発展を遂げた韓国と社会主義的低開発状態にあった朝鮮の経済格差は通常の主権国家統合がほぼ不可能なまでに開いていたが、世界共同体内の領域圏としての統合と持続可能的計画経済の導入により、両者の止揚的統合が可能となる。
 
(ウ)政治制度
集権性の強い統合領域圏として統一されるが、南北ともに主権国家時代の広域行政区分である「道」を地方圏として継承しつつ、地方自治を推進する。旧北朝鮮領域では、民衆会議体制への移行に伴い、支配政党・朝鮮労働党は解散する。政治代表都市は分断時代の旧軍事境界線周辺を開発して造成される板門店特別市に置かれる。
 
(エ)特記
長年にわたる分断状況からの一挙的な統合は社会経済的な混乱を引き起こす恐れがあるため、さしあたりは南北コリアの両領域圏が単立したうえで暫定的な合同領域圏を形成し、準備期間を経て完全統合化するプロセスを辿る。
 
☆別の可能性
朝鮮側では金氏一族支配が強固に継続し、世界共同体に包摂されない可能性もある。さらに、望ましくない可能性ではあるが、朝鮮では民衆と支配体制の対峙が先鋭化し、民衆革命が流血事態となる可能性もなくはない。また、韓国側でも長年の強固な反共政策の影響から、連続革命の波が及ばず、世界共同体に包摂されない可能性がある。一方で、最終的に両者が完全に統合されることなく、上記の合同領域圏を形成するにとどまる可能性もある。
 
 
 
 
(16)極東ユーラシア
 
(ア)成立経緯
主権国家ロシア連邦内の極東連邦管区が分立して成立する連合領域圏。極東連邦管区サハリン州に含まれるクナシリ、エトロフ、シコタン、ハボマイの四島は日本に返還・編入される。
 
(イ)社会経済状況
ウラジオストックを含む沿海州を中心に、漁業に基盤を置く食品加工や造船のほか、自動車産業もあり、旧ロシア時代から継承した産業基盤を中心に、持続可能的計画経済が導入される。旧ロシア時代は辺境地のため、開発から取り残されがちで、人口流出にも悩まされてきたが、独立の領域圏となり、自立的な計画経済運営の可能性が開かれる。
 
(ウ)政治制度
ロシア極東連邦管区時代の連邦構成主体をすべて同格の準領域圏として構成される連合領域圏である。連合民衆会議は、各準領域圏から人口比に応じて配分された定数抽選された代議員で構成される。政治代表都市はウラジオストック。
 
(エ)特記
当領域圏がロシアから分立することで、ロシアは極東領土を放棄し、汎ヨーロッパ‐シベリア域圏の一員として純化されることになる。一方、旧ソ連→ロシアと日本の間での歴史的な懸案問題となっていたいわゆる北方領土問題は、係争地域がロシアから分立することで、汎東方アジア‐オセアニア域圏内での協商による平和的な解決を見る。
 
☆別の可能性
ロシア側では極東領土の喪失につながる極東連邦管区分立への反対が強く、極東連邦管区がロシアにとどまる可能性もある。また、可能性としてはかなり低いものの、モンゴルが極東ユーラシア領域圏に加入する可能性もなくはない。

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