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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第7回)

2023-12-15 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

一 汎西方アジア‐インド洋域圏

(11)環ヒマラヤ合同

(ア)成立経緯
ヒマラヤ山脈を囲む主権国家のネパールとブータン、中国から分立するチベット、さらにインドから分立するシッキムが合同して成立する合同領域圏

(イ)構成領域圏
合同を構成する領域圏は、次の4圏である。

○ネパール
主権国家ネパールを継承する連合領域圏

シッキム
ネパールとブータンをつなぐ位置にあるインドのシッキム州が分立し成立する統合領域圏

○ブータン
主権国家ブータンを継承する統合領域圏

チベット
中国からチベット自治区が分立して成立する統合領域圏

(ウ)社会経済状況
経済的には圧倒的に農牧業が主軸となるが、貨幣経済の廃止と合同全域での環境的に持続可能な農牧業の施行により、貧困問題は解消される。電力事業は水力発電が盛んなブータンが担う。

(エ)政治制度
合同領域圏は、各領域圏民衆会議から選出された同数の協議員から成る政策協議会を常設して、圏内重要課題を討議し、共通政策を協調して遂行する。政策協議会は、ブータンのティンプーに置かれる。また、次項のパキンディアとの歴史的な結びつきの強さから、パキンディア連合民衆会議にオブザーバーを送る。ブータンの君主制は廃止されるが、王は精神的指導者としての地位を保持する。チベットでも、化身世襲制の宗教指導者ダライ・ラマは精神的指導者としての地位を保持する。

(オ)特記
ネパールとの合同化により、ブータンが抱えていた多数派チベット系住民と少数派ネパール系住民の民族紛争が解決される。

☆別の可能性
シッキム州はインドから分立せず、次項パキンディアに留まる可能性もある。また、チベット仏教を共有するチベットとブータンが一つの統合領域圏となる可能性もなくはない。一方、そもそも合同化せず、四つの領域圏が別個の領域圏として分立する可能性もあるが、その場合も何らかの協力機関が設置されることが望ましい。

 

(12)パキンディア

(ア)成立経緯
主権国家インドとパキスタンが統合して成立する連合領域圏。ただし、インドの西ベンガル州はベンガリスタンに、アフガン系住民の多いパキスタンのカイバル・パクトゥンクワ州はアフガニスタンに編入される。名称パキンディアは、パキスタンとインドの英語名であるインディアを合成したもの。

(イ)社会経済状況
汎西方アジア‐インド洋圏内で最大の人口を擁する領域圏となる。インドとパキスタンは21世紀には共に資本主義的な経済成長を遂げ、新興国として台頭しつつも、人口爆発もあり、貧困問題を解決できずにいたが、貨幣経済の廃止と統合的な計画経済の導入により、貧困問題が解消される。それに伴い、特にパキスタンで跋扈していた宗教過激主義も収束する。

(ウ)政治制度
連合民衆会議は、ともに連邦国家であるインドとパキスタンの州を継承する準領域圏から100人、連合直轄圏から20人ずつ抽選された代議員で構成される。連合民衆会議は、インドのニューデリーとパキスタンのイスラマバードで一期ごと交互に開催される。多宗教社会のため、各派宗教指導者で構成される宗教評議会が常設され、宗教紛争の解決に当たる。

(エ)特記
ヒンドゥー系のインドとイスラーム系のパキスタンとして英国から分離独立して以来、両国はカシミール地方の領有権争いも絡み、常に緊張関係に立ってきたが、世界共同体の下に統合を果たし、長年の対立を解消する。世界共同体憲章の戦力保有禁止規定により、ともに非公認で保有していた核兵器も廃棄され、平和が回復される。

☆別の可能性
望ましいことではないが、印パの対立が解消されず、インドとパキスタンが分立したまま、別個の連合領域圏に移行する可能性もある。また、ブータンがパキンディアに加入する可能性もなくはない。


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