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民衆会議/世界共同体論(連載第15回)

2017-11-16 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第4章 民衆会議の組織各論②

(1)総合的施政機関
 前章でも述べたとおり、民衆会議は単なる立法機関を超えた総合的施政機関である。このことの意味は、古典的な三権分立制を採らないということである。それはしかし、全権独裁を意味するのではなく、特に立法と行政を一体的にとらえることを意味する。
 考えてみれば、立法と行政を分立させることで、官僚制を擁する行政府が少数の議員だけの立法府を凌駕する傾向を生じ、かえって非民主的な官僚支配をきたしているのが、諸国の国家体制の現状である。
 民衆会議体制はこうした官僚支配を打破する体制であるから、立法と行政を分けることをしないのである。その結果として、政策を立法化するということ自体に消極的となる。
 もちろん、法律なしの無法を来たすわけではなく、基幹的政策は立法化される。しかし、法律は必要最小限とし、多くの事柄は政策ガイドラインに委ねられる。政策ガイドラインとは、政策遂行上の指針を定めた一種の規範文書であるが、法律ほどの強い拘束力は持たず、柔軟に運用・改廃できるものである。
 そうした政策ガイドラインの制定が民衆会議の重要な任務となり、その中心を担うのが各常任委員会及び特別委員会である。政策ガイドラインは、民衆会議本会議での可決を必要とする法案とは異なり、委員会レベルでの審議・議決と政務理事会での承認だけで有効に成立する。
 この委員会制度は、議会制度の委員会制度と似ているが、民衆会議制度の委員会は本会議の便宜的な小口分割組織ではなく、政策立案の中核機関としての役割を担うため、いずれもその内部に細目的な問題別に設置される小委員会が設けられ、委員となる代議員は必ずいずれか一つ以上の小委員会に所属する。
 そうした委員会の政策立案・立法活動を補佐するために、常任委員会の下に政策調査機関(シンクタンク)が設置されるほか、民衆会議の活動全般を資料的に支えるため、民衆会議図書館も設置される。


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