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世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版](連載第6回)

2023-12-06 | 世界共同体通覧―未来世界地図―[補訂版]

一 汎西方アジア‐インド洋域圏

(9)スリランカ

(ア)成立経緯
主権国家スリランカを継承する統合領域圏。前出環インド洋合同領域圏の招聘領域圏ともなる。

(イ)社会経済状況
21世紀以降、資本主義的経済成長を続けていたが、地域格差や絶対的貧困の問題を抱えていたところ、貨幣経済によらない計画経済の導入により、こうした問題は解消する。旧植民地プランテーションの流れを汲む茶の生産は環境的に持続可能な農業計画の下に再編される。

(ウ)政治制度
統合型領域圏であるが、主権国家時代からの地方分権化の取り組みを受け継ぎ、広域自治体である地方圏の自治権が広く認められる。

(エ)特記
かつて激しい内戦の要因ともなった多数派仏教徒シンハラ人と少数派ヒンドゥー教徒タミル人の抗争は、党派性のない抽選制による民衆会議制度の導入により止揚される。加えて、民族紛争や少数民族差別を防止するため、準司法的な機能を備えた民族問題弁務監の制度が常設される。

☆別の可能性
可能性としては高いと言えないが、インドを基軸とする南アジアという伝統的な地域区分を脱して、環インド洋合同領域圏の正式なメンバー領域圏となる可能性もある。

 

(10)ベンガリスタン

(ア)成立経緯
主権国家バングラデシュ継承しつつ、インドの西ベンガル州全域を編入して成立する統合領域圏

(イ)社会経済状況
主権国家バングラデシュの時代に構造的な問題となっていた絶対的貧困率の高さは、貨幣経済によらない計画経済の導入により解消される。主権国家時代に設立されたNGOも経済計画に参加する。インド時代にインド東部の経済的中心地となっていた西ベンガルの編入によって主権国家時代より領域面積が西に拡張されたことで、経済的な基盤が強化され、高い人口密度も緩和される。環境的に持続可能な計画農業の発展により、農村の貧困も解消され、海外出稼ぎ労働の必要もなくなる。

(ウ)政治制度
統合型領域圏であるが、中央集権制の強かった主権国家時代は名目的な地方区分にすぎなかった地方管区が自治的な地方圏に転換され、地方分権化が進められる。

(エ)特記
インドから編入される西ベンガルは元来、バングラデシュの主要民族であるベンガル人住民が多数を占めていた地域であり、編入によりベンガル人の分断が解消され、名称もベンガリスタンに変更される。

☆別の可能性
可能性としては高くないが、ベンガル系住民(ロヒンギャ)がイスラーム教徒少数派として民族浄化の標的となり、大量の難民を出してきたミャンマー側ラカイン州の現バングラデシュ国境に近い一部地域を分割編入することで、ロヒンギャ問題解決の一助となる可能性もなくはない。


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