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民衆会議/世界共同体論(連載第17回)

2017-11-30 | 〆民衆会議/世界共同体論[改訂版]

第4章 民衆会議の組織各論②

(3)民衆会議の行政機能
 すでに強調してきたように、民衆会議は単なる立法機関ではなく、総合的施政機関である。従って、政府(内閣)機構を持たず、行政機関としての役割もそれ自身が兼ねる。このような民衆会議の行政機能の司令塔的な役割を果たすのが、政務理事会である。
 政務理事会とは、以前先取り的に説明したように、民衆会議の執行部であると同時に、それ自体が内閣のような機能を持つ意思決定機関でもある。しかし、内閣のように立法府から独立した行政機関ではなく、あくまでも民衆会議の内部組織である。
 政務理事会を主宰するのは民衆会議議長であり、別途首相や首長に相当するような主宰職は置かない。民衆会議体制は合議を重視するからである。政務理事会は正副議長のほか、常任委員会及び特別委員会の委員長で構成される。
 政務理事会は法律の委任を受けて政令を制定する権限を持つが、急を要する一定の場合には法律の委任なしに独立命令を制定する権限も持つ。政務理事会はあくまでも民衆会議の内部組織であるため、独立命令も民衆会議自身の政令として民主的な性質を担保されているからである。
 一方、民衆会議が行政機能を適切に果たすには、個別的・専門的な行政執行機関の存在が欠かせない。そこで、民衆会議の下部機関として、各種の行政執行機関が置かれる。それらの機関は、各々該当する常任委員会の監督を受けて活動する。
 なお、政府という機構が廃される民衆会議体制にあっては、行政官庁はすべて法令の適用を本務とする法執行機関であり、政策立案には関わらない。従って、本章(1)で言及した政策調査機関(シンクタンク)も行政官庁ではなく、あくまでも民衆会議の政策立案・立法を補佐する調査機関であるにとどまる。
 地方の民衆会議の場合には、現在の地方自治制度における政庁(役所)が廃される代わりに、住民サービス委員会のような常任委員会の管轄の下に、民衆会議直属の出先サービス機関が地区ごとに配置され、日常的なサービス業務に当たることになる。


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