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世界共同体憲章試案(連載第37回)

2020-07-10 | 〆世界共同体憲章試案

第24章 事務局及び人事評議会

〈事務局〉

【第130条】

事務局は、1人の事務局長及びこの機構が必要とする職員から成る。事務局長は、世界共同体総会が任命する。事務局長は、この機構の行政職員の統括者である。

[注釈]
 世界共同体の事務局は主要機関ではなく、文字通りの事務処理機関である。その点で、事務局自体が主要機関の位置づけを持ち、官僚主義に陥っている現行国際連合とは異なる。

【第131条】

事務局長は、事務局の活動について、総会及び汎域圏全権代表者会議に対して、年次報告を行う。

[注釈]
 特記なし。

【第132条】

1.事務局長及び職員は、その任務の遂行に当って、いかなる世界共同体構成主体からも、またはこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、または受けてはならない。事務局長及び職員は、この機構に対してのみ責任を負う民際的職員としての地位を損なうおそれのあるいかなる行動も慎まなければならない。

2.各世界共同体構成主体は、事務局長及び職員の責任のもっぱら民際的な性質を尊重しなければならず、またこれらの者が責任を果たすに当たってこれらの者を左右しようとしてはならない。

[注釈]
 事務局長及び職員の民際的中立性に関わる担保規定である。

〈人事評議会〉

【第133条】

1.人事評議会は、事務局長を除く全事務局職員の人事及び懲戒を司る。

2.人事評議会の評議員は、総会がこれを選任する。

[注釈]
官僚主義に陥らないため、世界共同体事務局職員の人事及び懲戒については、事務局から切り離し、総会の補助機関である人事評議会が一元的に管掌する。

【第134条】

1.人事評議会は、その任務の遂行に当って、いかなる世界共同体構成主体からも、またはこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、または受けてはならない。

2.各世界共同体構成主体は、人事評議会が責任を果たすに当たってその判断を左右しようとしてはならない。

[注釈]
 人事評議会の中立性に関する規定である。

【第135条】

1.職員は、人事評議会の指名に基づき、事務局長が任命する。

2.人事評議会が職員の雇用及び所属並びに勤務条件の決定に当たって最も考慮すべきことは、民際公務員としての最高水準の見識及び誠実を確保しなければならないことである。職員をなるべく広い地理的基礎に基いて公平に採用することの重要性については、十分な考慮を払わなければならない。

[注釈]
 事務局人事は、新規採用から転属、昇進に至るまで、人事評議会が管轄し、事務局長の任命権は形式的なものにとどまる。


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