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世界共同体憲章試案(連載第38回)

2020-07-11 | 〆世界共同体憲章試案

第25章 独立調査及び弾劾

〈独立調査〉

【第136条】

世界共同体総会は、その機構に属する諸機関または諸機関の構成員が関わるあらゆる不正もしくは非違行為を調査するため、独立調査委員会を設置することができる。

[注釈]
 世界共同体内部の不正・非違行為を調査する独立調査の制度である。調査対象となる非違行為には、各種のハラスメント行為のような個人的な非違も含まれる。

【第137条】

1.独立調査委員会は、その任務の遂行に当って、いかなる世界共同体構成主体からも、またはこの機構外のいかなる他の当局からも指示を求め、または受けてはならない。

2.各世界共同体構成主体は、独立調査委員会が責任を果たすに当たってその判断を左右しようとしてはならない。

[注釈]
 特記なし。

【第138条】
独立調査委員会は、調査のため必要と認めるときは、人権査察院の発付する令状に基づき、関係者を召喚し、または文書等の記録の提出を求め、もしくは立ち入り調査をすることができる。

[注釈]
 独立調査委員会は捜査機関ではないが、令状に基づき、一定の強制調査をすることができる。

【第139条】

1.独立調査委員会は、調査を終了した後、すみやかに特別報告書を総会に提出しなければならない。

2.独立調査委員会は、前条の報告に際して、不正行為等に関与した総会代議員、汎域圏全権代表者及び総会が任命する役職者並びに規則で別に定めるこの機構の幹部職員が弾劾に相当する場合は、その旨を勧告しなければならない。

[注釈]
 独立調査委員会自体は弾劾機関ではないが、第2項掲記の者が弾劾に相当する場合は、総会に勧告する。
 
〈弾劾〉

【第140条】

1.総会は、前条によって弾劾を勧告された者について、弾劾に相当する事由があると認めるときは、弾劾委員会を設置し、該当者を弾劾審査に付さなければならない。

2.弾劾委員会の委員は、問題となっている案件に関わる世界共同体構成主体または弾劾された者が属する世界共同体構成主体以外の構成主体から選任されなければならない。

[注釈]
 弾劾委員会は、問題のつど設置される非常置の審査機関である。

【第141条】

第137条の規定は、弾劾委員会にも準用する。

[注釈]
 中立性及び独立性に関わる規定の準用である。

【第142条】

1.弾劾委員会は、審査の結果、弾劾に相当する事実があると認めたときは、該当者を世界共同体公職からの永久または無期限の追放処分に付する。

2.前項の処分に不服のある者は、一回に限り、総会に対して、不服審査を請求することができる。

3.総会は、前項の不服を相当と認めるときは、決議に基づき弾劾の処分を取り消し、または減軽することができる。

4.総会は、無期限の追放処分に付せられた者が、追放処分の解除を申し立てた場合において、その申し立てに理由があると認めるときは、決議に基づき処分を解除することができる。

[注釈]
 弾劾審査とその処分をめぐる規定である。弾劾処分は、永久の公職追放または将来の解除可能性を残す無期限の公職追放の二種である。


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