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人類史概略(連載第19回)

2013-11-27 | 〆人類史之概略

第8章 電気革命以後(続き)

電動機から電算機へ
 19世紀に始まる電気革命を大きく二期に分ければ、発電機・電動機の発明を中心とした「第一次電気革命」に対し、20世紀半ばにおける電算機の発明を「第二次電気革命」と位置づけることができる。
 第一次電気革命の主役はドイツ・米国であったが、第二次電気革命の主役は圧倒的に米国である。従って、これ以降の用具革命はほとんど常に米国が主導していく。
 最初の機械式電算機はあまり知られていないドイツ人発明家ツーゼが1938年に開発したが、より完全な最初の電算機は1946年、米国のペンシルベニア大学が開発した。これを機に、1950年には初の業務用電算機が開発され、その後も米国系企業による電算機の改良的開発が続発していく。その結果は、周知のとおりの「情報社会」の到来であった。
 発達した電算機はもはや単なる計算機ではなく、人間の脳に代行して様々な業務をこなす半有機的な頭脳機械であり、いわゆるコンピュータを「電算機」と訳すのは誤りとは言わないまでも、不正確となりつつある。おそらく中国語訳の「電脳」のほうが実態に沿うかもしれない。
 こうした電算機の発明に始まる第二次電気革命は、工業のみならず、商業のあり方をも変革し、商取引と付随業務のコンピュータ処理・オンライン化が進展し、国境を越えた敏速な取引決済が実現するようになった。
 さらに第二次電気革命の余波としてのインターネットの全世界的普及―別個の「第三次電気革命」と位置づけることもできなくない―は、世界中のコンピュータをネットワーク化することにより、20世紀末に起きた資本主義革命の世界輸出を可能とし、地球全体を資本主義一色に染める勢いを示している。いわゆる「グローバル化」とは、そうした電気革命以後における資本主義の地球規模化を示す標語である。
 グローバル化された資本主義においては、物より情報の流通が先行するから、工業と商業の区別も曖昧となり、資本を媒介する情報産業が投資銀行と並ぶ主役となる。 
 第二次電気革命はまた、労働世界にも重大な変化をもたらした。すでに18世紀の機械革命によって機械が人間の労働者に取って代えられる事態は始まっており、有名なラッダイト運動はそうした労働者の危機感を背景とした打ちこわし運動であった。
 電気革命は工場のオートメーション化、商業オフィスのオンライン化の波を作り出し、当然にも労働者の削減を結果している。今後さらにコンピュータの性能が高度化し、コンピュータのロボット化が進めば、人間の作業の大半をロボット=コンピュータが代行することも考えられる。
 そうなると、人間の労働者はいよいよ削減される。資本主義の代名詞であった賃労働が例外的なものとなる可能性もあるのだ。そうなると、人類史は言わばロボ・キャピタリズムの時代に入ることになるだろう。 


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