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続・持続可能的経済計画論(連載第22回)

2020-12-27 | 〆続・持続可能的計画経済論

第2部 持続可能的経済計画の過程

第4章 計画化の時間的・空間的枠組み

(3)領域圏経済計画の地理的適用範囲
 全地球的に及ぶ世界経済計画の大枠に基づき、各領域圏ベースで策定される経済計画(領域圏経済計画)は、基本的に領域圏の施政権が及ぶ地理的範囲に適用されることになるが、この場合、領域圏の政治的な構制として、単独の領域圏と複数領域圏の合同から成る合同領域圏とでは、領域圏経済計画の地理的適用範囲が異なる。
 単独の領域圏の場合、領域圏経済計画は当該領域圏の施政権が及ぶ地理的範囲と一致する。ただし、領域圏の構制として、連邦的な連合型と、より集権的な統合型の二類型があり、連合型の場合、連合領域圏を構成する準領域圏(州)ごとに独自の経済計画を策定するかどうかは、各連合領域圏の自主的な判断に委ねられる。
 準領域圏が独自の経済計画を策定する場合、領域圏の計画経済は地方分権化されることになる。このような地理的な分権化の問題点として、各準領域圏ごとの利益配分競争が生じかねないことがある。これは、かつて連邦国家だった旧ソ連の計画経済システムにおいて地方分権化改革が実施された際にも生じた問題である。
 利益配分競争が激化すれば、汚職等の構造要因となるほか、領域圏経済計画の策定スケジュールにも遅れが生じる恐れがある。こうした弊害を回避するには、連合型領域圏でも、経済計画に関しては集権を貫くことが望ましいが、たとえ準領域圏が独自の経済計画を策定するとしても、それは連合全体の経済計画の枠内でのことであるから、準領域圏経済計画は領域圏経済計画の一部を組成することに変わりはない。
 以上に対し、合同領域圏は単独で経済計画を策定するには産業的な基盤が不十分な中小の領域圏が合同し、各領域圏の経済的な特性を生かしつつ、分業の形で合同共通の経済計画を策定することが、その制度的な主旨の一つである。従って、この場合の共通経済計画は、合同を構成する各領域圏のすべてに共通的に適用されることになる。
 ちなみに、より広い大陸的なまとまりから成る汎域圏は経済計画の策定主体とはならず、単に域内での経済協力その他の相互協力の地理的な構成体である。従って、汎域圏内の経済協力自体は域内協定であって経済計画ではないが、領域圏経済計画を補充するものとして、言わば各領域圏経済計画の外延部分を成す。

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