監督 若松孝二
出演 寺島しのぶ
大西信満
吉澤健
この日、布施ラインシネマでの2本目の映画が、このシネコンでは異色の作品。
十三でお盆に公開されてた話題作「キャタピラー」ですが、この映画は寺島しのぶが第60回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞したという事で大きな話題になり、彼女の演技にも注目の作品です。
(あらすじ)
ましく戦場へと出征していったシゲ子の夫、久蔵。
しかし戦地からシゲ子(寺島しのぶ)の元に帰ってきた久蔵(大西信満)は、顔面が焼けただれ、四肢を失った姿だった。
多くの勲章を胸に、「生ける軍神」と祭り上げられる久蔵。
シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていくが……

先ほどの活劇時代劇とはガラっと変わった、重いテーマの作品です。
顔面が焼けただれ、手足を失いまさに肉の塊のようなグロテスクな姿で帰ってきた夫の姿に戦争の惨たらしさを感じづにはいられないんだが、それ以上に寺島しのぶ演じる妻とその四肢を失った夫との関係が壊れていく姿に、戦争という恐ろしくも悲しい出来事を凝縮されてるように思いました。
見るも無残な姿になった夫に最初は嫌悪感を抱くも、周囲からは戦争の英雄=「軍神」の妻と崇められ、彼女もその妻として献身的に夫の面倒を見て行くのだが、言葉も話せず、食べては寝て、妻の体を求める・・・そんな夫に苛立ちと、そして軍神として崇められる夫へ尽くす事や、軍神の妻として周囲から尊敬される自分への疑問など様々な思いが彼女を変容させていく。
またその夫も戦地では数々の虐殺や悪行を行ってきた自分の罪に対する意識が彼を苦しめるが、それを誰にも伝えれない悔しさやもどかしさ・・・そして帰国すれば戦争の英雄として周りから持てはやされる苦しみなどを、彼の家に飾られている、皮肉にも戦争での功績を称え、天皇から授かった勲章を通して感じます。

全裸の妻の体の上に同じく全裸で四肢の無い体を重ねる夫との異形なSEXの場面は、ある意味語弊があるかも知れないがショッキングであり、一種グロテスクでもあります。
でもこれが戦争という行為がもたらしたある夫婦の悲劇の末路でもあるのです。
寺島しのぶさんはさすがに熱演で、鬼気迫るものがありました。
あまりにも上手すぎて、少々やり過ぎ?なんて思わなくもないが、でも素晴らしい熱演でしたね。
夫を演じた大西信満もよかったです
★★★ 2010.9.30(木) 布施ラインシネマ シネマ5 19:05 F-3
出演 寺島しのぶ
大西信満
吉澤健
この日、布施ラインシネマでの2本目の映画が、このシネコンでは異色の作品。
十三でお盆に公開されてた話題作「キャタピラー」ですが、この映画は寺島しのぶが第60回ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞したという事で大きな話題になり、彼女の演技にも注目の作品です。
(あらすじ)
ましく戦場へと出征していったシゲ子の夫、久蔵。
しかし戦地からシゲ子(寺島しのぶ)の元に帰ってきた久蔵(大西信満)は、顔面が焼けただれ、四肢を失った姿だった。
多くの勲章を胸に、「生ける軍神」と祭り上げられる久蔵。
シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていくが……

先ほどの活劇時代劇とはガラっと変わった、重いテーマの作品です。
顔面が焼けただれ、手足を失いまさに肉の塊のようなグロテスクな姿で帰ってきた夫の姿に戦争の惨たらしさを感じづにはいられないんだが、それ以上に寺島しのぶ演じる妻とその四肢を失った夫との関係が壊れていく姿に、戦争という恐ろしくも悲しい出来事を凝縮されてるように思いました。
見るも無残な姿になった夫に最初は嫌悪感を抱くも、周囲からは戦争の英雄=「軍神」の妻と崇められ、彼女もその妻として献身的に夫の面倒を見て行くのだが、言葉も話せず、食べては寝て、妻の体を求める・・・そんな夫に苛立ちと、そして軍神として崇められる夫へ尽くす事や、軍神の妻として周囲から尊敬される自分への疑問など様々な思いが彼女を変容させていく。
またその夫も戦地では数々の虐殺や悪行を行ってきた自分の罪に対する意識が彼を苦しめるが、それを誰にも伝えれない悔しさやもどかしさ・・・そして帰国すれば戦争の英雄として周りから持てはやされる苦しみなどを、彼の家に飾られている、皮肉にも戦争での功績を称え、天皇から授かった勲章を通して感じます。

全裸の妻の体の上に同じく全裸で四肢の無い体を重ねる夫との異形なSEXの場面は、ある意味語弊があるかも知れないがショッキングであり、一種グロテスクでもあります。
でもこれが戦争という行為がもたらしたある夫婦の悲劇の末路でもあるのです。
寺島しのぶさんはさすがに熱演で、鬼気迫るものがありました。
あまりにも上手すぎて、少々やり過ぎ?なんて思わなくもないが、でも素晴らしい熱演でしたね。
夫を演じた大西信満もよかったです
★★★ 2010.9.30(木) 布施ラインシネマ シネマ5 19:05 F-3