黒猫書房書庫

スイーツ多めな日々です…。ブログはちょー停滞中(´-ω-`)

『都市伝説セピア』朱川湊人(文藝春秋)

2005-10-11 | 読了本(小説、エッセイ等)
25年前、高校を中退し精神の安定を欠いていた私は、伯父の家に預けられていた。ある日、出かけた祭場で少女に出会い、見世物小屋で氷漬けの河童を見せられるが……『アイスマン』、
直前まで一緒に遊んでいた親友・マチが、事故死したという。悲嘆に暮れる幼き日の遠藤だったが、翌日、事故前の同じ昨日を繰り返していることに気づく。そんな中で、何とか彼の命を救おうと懸命に奔走するが……『昨日公園』、
自らが作り出し広めた都市伝説”フクロウ男”…茶色のコートにミラーグラス。彼に出会ったときには、フクロウの鳴き真似で返せば見逃すが、ネズミの鳴き真似を返したものには死が訪れるという。やがてその虚像を自ら具現化するように、いたるところに出没し始めるが……『フクロウ男』、
夭折画家に恋した少女は、彼の足跡を辿るうちに、同じように彼に恋する女性と知り合う。しかしその女性の彼への、その常軌を逸した愛情に怖れを抱くようになり……『死者恋』、
通勤電車の中から見える、とあるマンションの一室。そこに、以前彼がやむを得ずリストラ対象にした男の姿を見た藤田。来る日も来る日も、彼の姿を見かけたその部屋に、今度は亡き母の姿を見て……『月の石』の5編。

 ”都市伝説”とタイトルについてるところから、ちょっと敬遠気味だったのですが(ホラーは苦手;)、確かに都市伝説をモチーフにしているけれど、必ずしも恐怖をもたらす話ばかりでなく(どちらかというと不思議な事象より、人間に恐怖を感じる内容だし/笑)、多彩な印象を受けました。
 特に『昨日公園』や『死者恋』のラストのひねり方が秀逸。

<05/10/11>

最新の画像もっと見る

コメントを投稿