kenyのキャンピングカーライフ!

キャンピングカー遍歴からの楽しみ、苦しみ、整備などに付いて思い付くまま綴ります。何かの参考に成れば幸いです。

ホィールのハブ径は合わせるのが基本

2014-12-11 10:14:08 |  アルミホイール

<安全で快適なキャンカーライフを目指して>

最近、ブロ友さんがアルミホィールを新調されました。お話を聞いて行く内に、驚くような内容に出会ってしまい、キャンカーのドレスアップに付いて考えて見たいと思います。

キャンカーのと言いましたが、今回の内容は自動車全般に言える事ですから、今後、ホィール交換を予定されている方は充分注意して欲しいものです。

自動車の一般的な強度に関わる設計は、大まかに以下の経過を取ります。

1、設計段階(図面作図)での強度計算

2、図面に基づき製作された単品での強度試験

3、単品を組立、完成車での悪路耐久試験

図面作成から完成車での試験により、最終的に自動車の強度は保障されています。現在でも新型車は悪路を何十万Kmも走行し強度等を確認しています。

しかし、それでも見逃しなどが有りますと、リコールを行う事になります。

ホィールに付いても同様でして、自動車の純正状態を維持する事が、安全に快適に使用できる事に繋がります。

しかし、自動車も趣味の領域、時にはレースなど非常に短期間機能すれば良いとして、耐久性が無い、壊れる事は承知で極端に軽量化した部品が使われる事もあります。

前置きが長く成りましたが、キャンカーを安全に快適に長く使用したいのであれば、その車の純正状態を維持する事が大切だと思います。

 

コルドバンクスのリアホィール、ハブ廻りです。今回の現物写真は全て小生のコルドバンクスです。

今回のウンチク内容ですが、赤矢印部の赤錆が浮いている部品がハブです。(リアアクスルシャフト)

ホィールのハブと密着している穴をハブ穴と呼びます。

このように純正は、ハブとホィールのハブ穴はインロー(3~5/100mmのクリアランスを持ったハメアイ)

で設計されています。この形状、姿が基本と成ります。

この部分の設計形状は自動車メーカーは、ほぼこのようなインロー構造を取っているようです。

トヨタ ダイナのハブ廻り断面図です。

ハブ部を拡大しますと、ホィールのハブ穴とハブがインロー構造に成っている事が分かります。

ホィールのディスク部(ハブ穴が明けられている部分)の板の端面が、ハブに対しインロー構造です。

次に日産、スカイラインの例です。スカイラインではディスク部の板の端面では無く、絞り加工を入れ、面でインロー構造を取っています。この場合、単位面積当たりの荷重は下がりますから、大きな荷重を受け止める事が出来ると考えられます。

アウディー80です。ディスク端面でインロー構造を取っています。

次にホィールを締付ける、クリップナット(以下 ナット)ですが、トヨタ車は座面がテーパーナットを使用しています。その他、他社では曲面、平面などが有ります。

このテーパー部がホィールのナット座に当たり、ホィールを締付けます。

赤丸部がナット座ですね。黄色矢印がハブ穴です。

外したホィールの裏面です。

ドラム面への当たりの状況です。赤丸部を見て頂くと錆が無く、金属光沢を呈しています。

これは、フレッティングと呼びますが、ホィールがドラム面間で動く事により発生します。

ここでホィールが動くと言うと、ナットで締結されているホィールが動くハズは無いと考えられるかも知れませんが、動くのです。

動く原因は大きく2つ有ります。

1、ホィールが受ける車重、路面からの衝撃によりホィールがタワミむ。(弾性変形)

2、ナット締付けトルクは、弾性域での締付けですから、ホィールスタットボルト(以下 ボルト)が大きな荷重を受け伸び、縮みする。

ここでは、弾性域、塑性域のお話は長くなりますので、ごめんなさいです。

この様にホィールはコルドバンクスの場合、4輪で3トン近い車重を支え、高速道を時速100Kmで走り、時には舗装路面の段差に乗り上げる訳です。その衝撃動荷重は、何トンになるのでしょう?

 

赤丸はドラム側 フレッティング状況。

黄丸部は、ハブにホィールハブ穴部が当たっていた痕跡(フレッティング)。尚、この痕跡はハブ全周の6個所に発生しています。

ハブ穴側の当たり状況。この当たり跡はハブでお話したように、全周の6個所に有ります。と言う事からボルト部はナット締付けにより変形し、インロー隙間が小さく成っていると考えられます。

言い換えるとインロー隙間を小さくする事で、ハブとホィールは密着状態と成り、ボルトが受ける荷重を分散している、ハブ側に逃がしていると言う事です。

ここまで来ますと、ハブ穴合わせの重要性が理解して頂けるものと思います。

ハブに対し、ホイールが浮いた状態です。ホィールのセンタリングが出来ていません。ボルトに対し、ボルト穴が偏っています。

ハブに対しホィールのハブ穴を合わせセットしますと、ほぼセンタリングが出来ます。これもハブ径が合ってるからこそですね。この時、実際にセットして見ましたが、インロー構造が有りますので、かなりキツイ感じがし、「キューキュー」音が出る位のタイトさです。

ホィール穴のほぼ中央にボルトが有ります。これを見て賢明な読者諸君はすでにお気付きと思いますが、ホィール穴とボルト外形の間には大きな隙間が見えます。ボルトは直接、ホィールを受けている訳ではありません。ボルトはホィールが受ける荷重をナットを通し受けているのです。

ホィールとナットの接点は、テーパー部なのです。このテーパー部は非常に大切でして、ナットトルクダウンを防止する摩擦力の大部分を受け持っています。

もう何を言おうとしているか、お気付きでしょう。ハブのインロー構造が無いと大きな荷重を受けたさい、ホィールボルトはタワムのです。そうしますとナットの座面であるテーパー部がヘタリ、動く事でナットの締付けトルクはダウンするのです。

最悪時、ナットの脱落からホィールの外れ、ボルトの疲労破壊につながります。

尚、疲労破壊は予見性は有りません。一発で来ます。

 

従って、ホィールはしっかりセンタリングし、フィティングし、6本ボルトの場合、対角線順に均等に締めて行きます。

リヤタイヤはタイヤが浮いた状態でも、サイドブレーキを引いていますから、車載工具で力一杯締める事が出来ます。その際は、あくまでフィティングに注意し6本を均等締付けが重要です。

リヤの場合、更に降ろしタイヤが軽く接地状況で均等に締めます。

フロントタイヤの場合は、ジャッキをやや降ろしタイヤが軽く接地し、締付けで回転しない状況で締めます。

 

小生のナット締付け工具はこれです。御老体ですので、大トルクの締付けには力を要しますからパイプを噛ましています。

締付けトルクは指定のトルクでお願いします。

正規トルクで締付け後は、町内を1周走り、更に増し締めを行って下さい。走行により更にフィティングが進み驚くほどトルク低下が有ります。

この増し締め確認は必ずやる様にお願いします。

最後に成りますが、ハブ合わせが出来なかった方はハブリングの装着で、合わせる事は出来ます。

ハブリングのネガとしましては、錆付きにより外れ無くなる恐れがあります。むりむりドライバーなどでコジリ外す事は可能です。またハブリング装着状況ではドラムが外れ無くなりますので、メンテ時はハブリング外しを要します。錆付きを軽減する為にグリスを薄く塗布する方法もあります。

以上、何かの参考に成れば幸いです。

 

<参考資料> 自動車工学便覧