こんな気持ちでいられたら・・・一病理医の日々と生き方考え方

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よりよく生きるにはどうしたらいい?

引き分けの論理

2012年05月26日 | 日本のこと、世界のこと
 柔道家の山下泰裕氏が、北方領土問題についてのロシアのプーチン大統領の「引き分け」発言を評価していた。
 この問題に関して、私なりの解決案などというものはない。私が生まれた時には既に存在していた問題で、「日本の領土だったけど、戦争に負けてソ連に占領された場所」という認識でこれまで過ごしてきた。アメリカが沖縄を返還したこともあって、ソ連も同様に返還してくれまいか、と思ったが、なかなかそうもいかない。それに、返還されたといっても、沖縄にも深刻な問題がいまだにある。北方領土問題にしても、沖縄問題にしてもそれぞれの問題の明確な解決策というのは、おそらくないだろう。アメリカにしても、ロシアにしても立場が違えば、ものごとの見方は日本とは真逆になる。

 そこで「引き分け」。何をもって「引き分け」とするかは、これまた難しいことだろうが、「引き分け」という決着があってもいいのではないかと、私も思う。

 山下氏は柔道を通じてプーチン大統領と知己であるようで、その「引き分け」発言を評価しているようだ。山下氏と言えば、1980年のモスクワオリンピック日本不参加の最大の被害者の一人であるといっていいだろう。当時、誰もが疑わない最強の柔道選手であり、その頃の日本国民の英雄であった。その英雄が、テレビで涙したのを高校生だった私はよく覚えている。

 だから、「引き分け」なのかもしれない。

 結局のところ、モスクワオリンピックに西側諸国が参加しなかった理由(ソ連のアフガン侵攻)も、いまでは多くの人が忘れているし、その効果もわからない。ロサンゼルスオリンピックに東側諸国が参加しなかったことと合わせ、少なくとも、オリンピックが多分に政治的なものであるということが世界中の人に認識されただけだ。外交上の勝ち負けということばかりにこだわっていたら、いつまでもケリがつかない。

 そろそろ、「決着を着ける」ということにこだわるのはやめてもいいのではないか。
 なんとなく、居心地が悪くても、それが、「引き分けのせい」とわかっていれば、居心地はよくなる。
 領土問題は、国家存続の最重要事項であるが、先の大戦の負の遺産からの脱却を目指すためには、一部「引き分け」という論理もあるのかと思う。

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