「だって、しょうがないじゃない」とか言いたいバーのマスターやママは少なくないだろう。
東京都の小池知事が夜間の外出自粛を要請するに至った。オーバーシュートが、目前となり、やっと、夜のクラスターに手をつける気になったようだ。当然のことながら、そういう業界からの反発はものすごいものがあって、身の危険を感じるほどかもしれないが、このまま放っておいて医療崩壊を招いて数千人の死者を出してしまってはいけないということでの決断だろう。オリンピックの延期決定に続いての英断に、統治者としての勇気に尊敬と感謝の念を表する。
感染拡大の原因が、活動的な若者、とか、バー、ナイトクラブで飲んでいる中年以降の大人、にあるということがだいたいわかってきた。海外旅行に行って新型コロナウイルスに感染して、帰国後卒業式謝恩会カラオケにまで行ってウイルスをばらまいた大学生。夜な夜なバーだのクラブで飲んで、その挙句にウイルスに感染する中高年者。そしてそういう人たちによって感染症は拡大していく。自覚のない若者はしても、ほとんどの若者はマスクをしている。静かに生活をしているし、中高年者だって多くは飲みたいのを我慢して家飲みしている。話はそれるが、マスクについては、外出の際には正しく着用するという条件で、若者に無料で配布したらいいと思っている。
カラオケ、バー、クラブ、ライブハウス、キャバクラでの濃厚接触というのがどのような状況で起こるのかは定かではないが、密閉、密集、密接の3密状態となっていることだけは容易に想像がつく。こういうお店、なんでやっているのだろうと思うこともあるが、やっている方にしてみたら、店を閉じたところで何もやることはない。そして、店を開けたら少しでも客は来る。
「店がなきゃやってられないという客がいるんだからしょうがないじゃない。この店を必要としてくれるお客さんだっているんだから。」
「こっちは店を開いているだけで、お客が新型コロナウイルスに感染しているかどうかなんてわかりゃしないだろう?かえって迷惑しているのはこっちの方だよ。感染しているんだったら、来ないでくれって言いたいよ。そんなのが来ちまうんだからしょうがないだろう。」
「この店がやってなきゃ、晩飯どうするんだよ。飲み屋?ちゃんとサラダだって、サンドイッチだって出してくれるよ。出前だってとってくれるし。簡単に閉めさせないでくれ。」
となる。それぞれの立場に立って考えなくてはいけない。
「熱がある、喉が痛い、味覚がないといって突然やってきて、蓋を開けてみたら、新型コロナウイルス感染だったなんて患者が来たら、院内感染なんかどんなにやったって防ぎようがありません。しょうがないでしょう。」
「この患者さん、ヘビースモーカーだったということですね。それによく飲んでいらしたとか。呼吸機能は低く、糖尿病に高血圧というような状態では回復の見込みはありませんね。これ以上の加療は無駄なので、他の方のために中止させていただきます。」
そういう場面が、もう眼前に迫っている。
今、私たちが考えなくてはいけないこと、やらなくてはいけないこととは何か。それぞれの立場でできることが必ずある。遊んだ挙句にウイルスをばらまいている人を目の敵にしてスケープゴートとしてあげつらったところで、しょうがない。自分はちゃんとやっているか、自分に求められていることは何かといことを考え、多少なりとも犠牲を払って行動することが要求されている。
私も考える